エア・ウォーター、子会社日本海水の不正会計詳細判明 累計40億円超の売上水増し、幹部による調査妨害も発覚
エア・ウォーターは22日、子会社である株式会社日本海水における多岐にわたる不正会計の詳細と、連結財務諸表への累計影響額として売上収益4,080百万円、営業利益2,988百万円の過大計上が判明したと発表しました。これを受け、同社は現旧の取締役および監査役の任務懈怠責任を含む法的責任の有無を調査する責任調査委員会の設置を決定し、経営責任の追及に本格的に乗り出す方針を示しています。
日本海水における不正会計の全容が判明
エア・ウォーター株式会社は22日、子会社である株式会社日本海水における不適切な会計処理に関する特別調査委員会の追加調査報告書を受領し、その内容を公表しました。この報告書により、2020年度から2026年3月期に至る約6年間にわたり、日本海水が予算達成を主な目的として、預かり在庫取引による売上先行計上や仕入単価の調整による利益操作など、多岐にわたる不正を行っていた実態が明らかになりました。特に、監査法人の往査を回避するための在庫隠蔽や、経営幹部による調査妨害行為も発覚し、問題の根深さを浮き彫りにしています。
連結財務諸表への影響額は、売上収益で累計4,080百万円、営業利益で累計2,988百万円の過大計上が判明しました。これは、先行して開示された2026年2月13日付の半期報告書で自主点検に基づき修正された金額の一部も含むものの、同社グループの業績に与えるインパクトは大きいとみられます。同社は、今後、この追加調査報告書の内容を踏まえた上で、過年度の有価証券報告書等および決算短信の訂正開示を行う予定です。
| 項目 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 累計(百万円) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | Δ34 | 535 | 717 | 644 | 766 | 1,289 | 161 | 4,080 |
| 売上原価 | Δ630 | 292 | 240 | 96 | 478 | 742 | 189 | 1,410 |
| 売上総利益 | 595 | 242 | 477 | 548 | 287 | 546 | Δ28 | 2,670 |
| その他収益 | - | - | - | - | - | 82 | - | 82 |
| その他費用 | 155 | Δ1 | - | - | - | Δ388 | Δ1 | Δ235 |
| 営業利益 | 440 | 243 | 477 | 548 | 287 | 1,017 | Δ27 | 2,988 |
多岐にわたる不正の手口と関与
報告書によれば、日本海水で確認された不適切な会計処理は、10種類に及び、その内容は極めて多岐にわたっています。具体的には、「預かり在庫取引を通じた売上の先行計上」として、Cp社との間で翌期に買い戻すことを前提に塩や設備を販売し、予算達成のために売上を水増しする意図的な不正が認定されました。また、Dc社との仕入取引においては、「架空の水分調整清算金」名目で仕入単価を一時的に引き下げ、当期の利益を確保する「利益の前借り・後返し」のような操作が常態化していた実態が示されています。
さらに、日本海水が実質的な機能を持たない商流に介在し、販売代金の総額を売上計上する「スルー取引」(電力販売、産業廃棄物仲介など)や、工場設備の定期修繕費および労務費を実態に合わない恣意的な振替率で固定資産に計上し、費用計上を先送りする行為も行われていました。これらの行為の背景には、各期の予算達成への強いプレッシャーがあり、特に経営管理部が主導し、関係部署や外部取引先を巻き込む形で実行されていたことが指摘されています。日本海水の当時の代表取締役社長Nf氏、経営管理部長Lz氏、経営企画部長Mk氏ら複数の幹部がこれらの不正を認識し、一部は調査妨害行為にまで及んでいたことも明らかになりました。
経営責任の追及とガバナンス強化
エア・ウォーターは、今回の追加調査報告書を受け、不適切な会計処理に関与した現旧の取締役および監査役に対し、その職務執行における任務懈怠責任を含む法的責任の有無を調査するため、責任調査委員会を設置することを決定しました。この委員会は、中井康之弁護士を委員長とし、利害関係を有さない外部の専門家3名で構成され、2020年度から2025年度第2四半期までの調査対象期間における関係者の関与の程度や責任の所在について、より詳細な調査・検討を進めます。
同社は、委員会の報告・提言に基づき、損害賠償請求を含む法的措置を行うべきか判断するとしており、これは、これまでの関係者の処分に加え、==経営層への責任追及==を明確にするものとなります。日本海水の一部役職員による調査妨害行為も判明したことから、今回の責任調査委員会は、より公正かつ厳格な調査を通じて、企業統治の健全性を取り戻すための不可欠なステップと位置づけられます。
再発防止と情報開示への取り組み
エア・ウォーターは、今回の追加調査報告書を真摯に受け止め、再発防止策を最優先課題として取り組む姿勢を強調しています。既に2026年5月29日に公表した「改善計画の策定方針に関するお知らせ」に基づき、特別注意銘柄指定を受けたことを踏まえ、既存の再発防止策が十分であるかを再検討します。さらに、今回の追加調査報告書で指摘された原因や改善点も踏まえ、より詳細な改善計画を策定し、2026年7月下旬に改善計画・状況報告書を提出する予定です。
財務面では、追加調査報告書の影響額を反映した過年度有価証券報告書等および決算短信の訂正開示を準備しており、監査法人による過年度訂正監査の完了を待って速やかに実施します。また、遅延している2026年3月期第3四半期および通期決算短信についても、監査法人による当年度監査および期中レビュー完了後、速やかに発表します。これらの対応を通じて、==経営の透明性向上==と社会的信頼の回復に全力を尽くすとしています。
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今回のエア・ウォーターの開示は、子会社日本海水における不正会計が==組織ぐるみの恒常的な行為==であったことを明確にし、経営層の意図的な関与と調査妨害までが明るみに出たことで、企業文化とガバナンス体制の深刻な問題が浮き彫りになりました。累計40億円を超える売上水増しは企業価値評価に大きな影響を与えかねず、今後の責任追及と抜本的な改善計画の実行が、投資家や就職活動中の学生からの信頼を取り戻せるかの鍵となります。
