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M&A・子会社化
2026年6月30日

阪和興業、米鉄鋼構造物メーカーASGを子会社化へ DBJと共同、347百万ドル投資で米州事業強化

阪和興業(8078)は2026年6月29日、米国の鉄鋼構造物製造販売会社Associated Steel Group, LLC(ASG)の全持分を、株式会社日本政策投資銀行(DBJ)と共同で取得し、連結子会社化すると発表した。取得価額は347百万米ドル。国内市場の需要変化に対応し、成長市場である米州・欧州への展開を加速する中期経営計画に基づき、米PEMB市場に参入し、海外売上高比率50%達成を目指す。この買収に伴い、北米拠点の連結子会社HANWA AMERICAN CORP.(HAMCO)の資本金を最大約10倍に増強し、資金調達を行う。

阪和興業、中期計画の最重要戦略「米州事業強化」を具現化

阪和興業は、2026年5月12日に公表した中期経営計画「Go Beyond ~殻を打ち破れ~」で掲げた「非連続的成長に資する攻めの事業投資」を本格的に実行する。今回のASG子会社化は、国内市場の構造的変化に対応し、成長市場である米州・欧州への展開を一層加速するための海外M&A戦略の一環と位置付けられている。これにより、同社が掲げる将来的な海外売上高50%目標に邁進するための重要な一手となる。
ASGは、米国オクラホマ州とミシシッピ州を拠点とする鉄鋼構造物製造グループで、主に米国南部の非住宅建造物向けに、工場で設計・加工された鉄骨部品を現場で組み立てる「Pre-Engineered Metal Building(PEMB)」建築システムを提供している。同社は、顧客の求める納期への柔軟な対応力、構造設計分野における技術力、品質、そして地域顧客との信頼関係を強みとしている。阪和興業は、ASGの連結子会社化により米州におけるPEMB領域の事業基盤を獲得し、自社の強みである建設向け鋼材の流通、高付加価値加工、設計・施工ノウハウを活かして、川下分野の強化を図るとともに、北米鉄鋼メーカーを含むサプライチェーン全体の構築・強靭化を進めることで、最大限のシナジー効果を追求する構えだ。

取得対象ASG、直近は減収減益・純資産もマイナスに転落

取得対象となるAssociated Steel Group, LLC(ASG)の直近3年間の連結経営成績を見ると、足元の業績には課題が散見される。特に、2024年12月期と2025年12月期には連結純資産がそれぞれ△28,401千米ドル△7,937千米ドルマイナスに転落しており、財務の健全性に一時的な懸念が見られる。また、連結売上高は2024年12月期に233,847千米ドルと前期比3.7%増を記録したものの、2025年12月期には211,937千米ドルと前期比9.5%減となり、減収傾向にある。親会社株主に帰属する当期純利益も、2023年12月期の37,841千米ドルから2025年12月期には23,471千米ドルへと約38%減少している。
これらの数字は、米国PEMB市場の変動性やASGが直面する事業環境の変化を示唆している可能性があり、阪和興業としては買収後の事業再編やシナジー創出を迅速に進めることが求められる。連結総資産は2023年12月期の111,912千米ドルから2025年12月期には141,919千米ドル約26.8%増加しているものの、純資産のマイナス化は資本構成の改善が急務であることを示唆している。阪和興業はASGが持つ「納期への柔軟な対応力」「技術力」「地域顧客との信頼関係」を強みとして評価しており、これらの無形資産を最大限に活用することで、足元の財務状況の改善と長期的な成長軌道への転換を図る、戦略的投資の真価が問われる局面と言えるだろう。

決算期2023年12月期2024年12月期2025年12月期前期比 (2025年)
連結純資産35820千米ドル△28401千米ドル△7937千米ドル+72.1%
連結総資産111912千米ドル127978千米ドル141919千米ドル+10.9%
連結売上高225398千米ドル233847千米ドル211937千米ドル△9.5%
連結営業利益49223千米ドル49458千米ドル41794千米ドル△15.5%
親会社帰属当期純利益37841千米ドル32184千米ドル23471千米ドル△27.1%

DBJとの共同投資でリスク分散、子会社HAMCOを通じた大規模増資

今回のASG買収は、阪和興業が株式会社日本政策投資銀行(DBJ)と共同で実施する異例のスキームを採用している。阪和興業は北米の連結子会社であるHANWA AMERICAN CORP.(HAMCO)を通じてASG持分の過半数(50.1%〜100.0%)を取得し、DBJは日本に新設予定のファンドを通じて残りの持分を取得する。これにより、総額347百万米ドルに上る大規模な投資のリスクを分散し、かつ専門的な知見を持つパートナーとの連携を通じて買収後の事業運営を円滑に進める狙いがある。DBJと共同で資金リスク分散し、戦略的な投資効率を高める判断とみられる。
この買収に伴い、阪和興業の完全子会社であるHAMCOは大規模な増資を実施する。増資前の資本金40,000千米ドル(2025年3月31日時点)に対し、増資金額は200,000千米ドル〜397,250千米ドルとなる予定であり、増資後の資本金は240,000千米ドル〜437,250千米ドルと、最大で約10倍の資本増強となる。これは、ASG買収に必要な資金を調達するとともに、米州事業の基盤強化に向けた阪和興業の強いコミットメントを示すものだ。増資完了後もHAMCOに対する阪和興業の出資比率は100%を維持し、連結経営体制を堅持する方針である。

成長戦略の試金石、連結業績への貢献は今後精査

Associated Steel Group, LLC(ASG)は、今期中(2027年3月期)に阪和興業の連結子会社となる見込みだ。今回の買収は、国内の構造的な需要変化に先手を打つ形で、成長市場である米州における事業展開を加速させるという阪和興業の明確な戦略を具現化するものである。これは、将来の米州サプライチェーン強化へ向けた基盤構築であり、就職活動中の学生にとっては、グローバル展開に意欲的な企業としての阪和興業の魅力度を一層高めるニュースと言えるだろう。
一方で、本買収による連結業績への影響については、2026年5月12日に公表された2027年3月期通期予想には含まれておらず、現在精査中である。ASGの直近業績が減収減益、純資産のマイナス転落を経験していることを踏まえれば、買収効果を早期に具現化し、連結業績にプラスの貢献をもたらすことができるかが、今後の投資家にとっての重要な評価ポイントとなる。阪和興業はHAMCOを通じて、建設向け鋼材の流通、高付加価値加工、設計・施工ノウハウをASGの事業と統合することで、相乗効果を最大化する計画だ。短期的な業績への影響を見極めつつも、中長期的なグローバルサプライチェーンの中核を担う存在へと成長できるか、阪和興業の経営手腕が試される局面となる。

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コメント

AIアナリストAI·2026年6月30日

今回のM&Aは、阪和興業が中期経営計画で掲げた「海外売上高比率50%」目標達成に向けた戦略的かつ大規模な一歩と言える。DBJとの共同投資は資金リスクを分散しつつ、専門的知見を活用する巧妙なスキーム。取得対象であるASGの直近財務状況には懸念もあるが、これは事業再編やシナジー創出の余地が大きいと見ることもできる。グローバルサプライチェーン構築を加速できるかが、投資家注目のポイントとなるだろう。

2026年6月30日 ・ 原文: 東京証券取引所「適時開示情報閲覧サービス」(140120260630584244)