大手証券2社・2026年3月期Q3——市場活況で利益急伸、野村の圧倒的収益力と大和の国内成長が鮮明に
今期の総括
収益の野村、成長の大和。市場の恩恵が業績格差を広げた。
日経平均の高値圏推移と新NISAの浸透により、証券大手の業績が絶好調です。野村ホールディングスは海外事業が利益を牽引し、営業利益は4,321億円に到達。一方の大和証券グループ本社は国内の資産管理部門がV字回復を遂げました。市場の恩恵を最も利益に変えたのはどちらか、両社の「稼ぐ力」を徹底比較します。
業界全体の動き
この期間、証券業界には強力な追い風が吹きました。主な要因は以下の4点です。
- 活況な株式市場: 株高により売買手数料が大きく伸びました。
- 資産形成への意識変化: 新NISAの普及で個人マネーが流入しました。
- 海外案件の回復: 欧米でのM&Aや資金調達が活発化しました。
- 金利上昇の恩恵: 運用環境の改善で利息収益が向上しました。
売上高ランキング
野村が売上で大和を3倍以上引き離しています。規模の差は依然として大きく、業界のリーダーとしての地位を維持しています。
売上高 前年同期比
大和は売上高4.8%増と成長を示しました。一方、野村は売上こそ3.1%減ですが、中身は利益重視の体質に改善されています。
純利益 前年同期比
野村は純利益を7.2%伸ばしました。大和は0.8%増に留まっており、本業以外の評価損が成長のブレーキとなりました。
勝者と敗者:収益力で野村が圧倒、大和は利益率に課題
今期の勝者は、圧倒的な収益効率を見せた 野村ホールディングス です。売上は 35,457億円(3.1%減)と微減しましたが、営業利益は 4,321億円(15.5%増)と大きく伸ばしました。特に営業利益率 27.2% は、業界でも驚異的な水準です。
対する 大和証券グループ本社 も健闘しました。営業利益は 1,478億円(29.8%増)と伸び率は野村を上回ります。しかし、最終的な純利益は 1,254億円(0.8%増)で足踏みしました。再生可能エネルギー関連の 投資評価損 が響き、野村との利益の「質」の差が浮き彫りとなりました。
勝者
野村ホールディングス
苦戦
大和証券グループ本社
営業利益ランキング
両社とも利益を伸ばしていますが、野村の4,321億円という規模は圧倒的。大和も29.8%増と勢いでは負けていません。
営業利益率ランキング
野村の27.2%という利益率は特筆すべき効率性です。大和の13.7%に対し、収益構造の強さで大きな差がつきました。
注目の動き・戦略比較
各社の生き残り戦略には明確な違いが出ています。
- 野村ホールディングス:グローバル展開を加速。海外のホールセール部門が利益の柱に育っています。また、運用資産残高は 130兆円 を突破。安定収益の基盤を固めています。
- 大和証券グループ本社:国内の「ウェルスマネジメント」を強化。新NISAを追い風に、対面コンサルで稼ぐモデルが奏功しています。下限配当 44円 の設定など、株主還元への執念も特徴です。
業界共通のリスク
好調な今だからこそ、以下のリスクには注意が必要です。
- 相場急落の懸念: 市場環境が悪化すれば、手数料収入は一気に減ります。
- オルタナティブ投資のリスク: 伝統的資産以外の投資(再エネ等)は評価額の変動が激しいです。
- コスト増の圧力: IT投資や高度な専門人材の獲得競争で、経費が膨らんでいます。
就活生・転職希望者へ
証券業界は「商品を売る」仕事から「資産を管理する」仕事へと激変しています。高い専門性と、顧客に寄り添う力が求められます。グローバルに挑戦したいなら 野村、国内の顧客基盤でじっくり勝負したいなら 大和 という選択肢がより鮮明になりました。
