MCJ・2026年3月期Q3、売上・各利益ともに過去最高を更新——国内PC市場の需要回復が追い風、BTOパソコン好調
売上高
1,626億円
+10.2%
通期予想
2,140億円
営業利益
171億円
+17.0%
通期予想
197億円
純利益
119億円
+12.5%
通期予想
135億円
営業利益率
10.5%
パソコン大手MCJの2026年3月期第3四半期(2025年4〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比 10.2%増 の 1,625億9,300万円、営業利益が同 17.0%増 の 171億1,700万円 となり、第3四半期として過去最高の業績を記録しました。国内PC市場の出荷台数が大幅に回復するなか、主力ブランドの「マウスコンピューター」や「ユニットコム」が利益率の高い高付加価値製品を伸ばし、全体を牽引しました。また、積極的な自己株式の取得を実施するなど、資本効率の向上と株主還元にも注力しています。
業績のポイント
当第3四半期累計期間におけるMCJの業績は、売上高・営業利益・経常利益・純利益のすべての項目で過去最高を更新する極めて堅調な内容となりました。売上高は 1,625億9,300万円(前年同期比 +10.2%)、営業利益は 171億1,700万円(同 +17.0%)を達成しています。親会社株主に帰属する四半期純利益についても、前年同期の106億円から 119億3,300万円(同 +12.5%)へと拡大しました。
この好業績の背景には、国内パソコン市場の力強い回復があります。2021年3月期をピークに減少が続いていた市場環境が反転し、同期の出荷台数は前年同期比で 46.4%増 と大幅な伸びを見せました。政府のGIGAスクール構想関連の需要により、出荷台数の伸び(+46.4%)に対して出荷金額の伸び(+30.7%)は緩やかですが、同社が得意とするBTO(受注生産)パソコンの強みが発揮され、実質的な収益性は大幅に向上しています。前期に計上された資産売却による一時的要因を除いた実質ベースでも、営業利益は 22.8%増 と極めて高い成長を実現しました。
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力であるパソコン関連事業がグループ全体の成長を力強く牽引しました。国内では、一般向けモデルに加え、クリエイター向けやゲーミングPCといった高付加価値・特化型製品の販売が好調に推移しました。特に「マウスコンピューター」や「ユニットコム」のブランド力が寄与し、部材価格の上昇や円安といったコスト増要因を慎重な価格設定と効率的な調達で吸収しました。また、海外事業(iiyamaブランド)も、欧州の景気低迷という逆風がありながら、第3四半期単体では増収増益に転じるなど、回復の兆しが見え始めています。
総合エンターテインメント事業についても、構造改革と積極的な営業施策が奏功しました。複合カフェ「aprecio」や24時間フィットネスジム「MIRA fitness」を運営する本セグメントは、コロナ禍以降に進めたコストカットの効果が継続しています。売上高は 51億5,000万円(前年同期比 +6.8%)、営業利益は 7億9,300万円(同 +23.1%)となり、売上・利益ともに過去最高を更新しました。既存事業の収益安定化が着実に進んでいることが鮮明となっています。
| セグメント名 | 売上高(百万円) | 前年同期比 | 営業利益(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| パソコン関連事業 | 157,455 | +10.3% | 16,452 | +16.0% |
| 総合エンターテインメント事業 | 5,150 | +6.8% | 793 | +23.1% |
| 連結合計 | 162,593 | +10.2% | 17,117 | +17.0% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| パソコン関連事業 | 1,575億円 | 97% | 165億円 | 10.4% |
| 総合エンターテインメント事業 | 52億円 | 3% | 8億円 | 15.4% |
財務状況と資本政策
財務基盤は引き続き強固な状態を維持しています。総資産は前連結会計年度末から 103億9,700万円 増加し、 1,445億8,000万円 となりました。主な要因は、売掛金や棚卸資産の増加、および敷金保証金の増加です。自己資本比率についても 65.4%(前期末比1.2ポイント低下)と高い水準を保っており、成長投資と株主還元の両立が可能な財務体質を誇っています。
特筆すべきは、積極的な株主還元姿勢です。当期において 3,714,900株(取得価額ベースで約50億円規模の自己株式増)の自己株式取得を実施しました。これにより、1株当たりの利益(EPS)の向上と資本効率の改善を図っています。配当については、通期で1株当たり 44.00円(前期実績は43.00円)を予定しており、好調な業績を背景に株主への利益還元を強化する方針を鮮明にしています。
リスクと課題
今後の懸念材料として、同社は外部環境の不透明さを挙げています。特に第3四半期に入り、一部の原材料・部材の世界的な需給逼迫と、それに伴う急激な価格高騰が発生しています。これに対応するため、同社は一部製品について一時的な受注停止措置を講じるなど、品質と納期を守るためのコントロールを優先しています。
また、為替のボラティリティや物価上昇に伴う実質賃金のマイナス基調も、個人消費への下押し圧力として警戒が必要です。市場全体ではGIGAスクール関連の安価な製品が台数シェアを押し上げているものの、利益率を維持するためには、同社が得意とする高機能PCへの需要をいかに持続させるかが中長期的な焦点となります。
通期見通し
2026年3月期の通期連結業績予想については、2025年10月30日に発表した修正値を据え置いています。国内パソコン事業が期初想定を上回るペースで推移していることや、欧州事業の回復傾向を織り込んでいます。純利益の予想が前期比で微減となっているのは、前期に計上された一時的な資産売却益の反動によるものであり、本業の収益力は引き続き拡大基調にあると判断されます。
| 項目 | 前回予想(10/30) | 今回予想 | 前期実績(2025/3) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,140億円 | 2,140億円 | 2,071億円 |
| 営業利益 | 197億円 | 197億円 | 193億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 135億円 | 135億円 | 140億円 |
MCJの決算は、日本のPC市場が停滞期を脱し、明確な「買い替えサイクル」に入ったことを証明する内容となりました。
特に注目すべきは、出荷台数の伸び(+46.4%)に対して利益がしっかりとついてきている点です。通常、GIGAスクール需要のような官公庁・教育向け案件は単価が低くなりがちですが、同社は個人・法人向けのハイエンドBTO(マウスコンピューター等)で高い利益率を維持できています。
- 強み: 徹底したコスト管理と、ゲーミング・クリエイター向けという高単価市場への食い込み。
- 懸念点: 足元で再燃している部材の需給逼迫。一部受注停止を行ってまで品質を維持する判断は賢明ですが、これが第4四半期の機会損失に繋がらないかが焦点です。
- 投資判断: 自己株買いによるEPS下支えと増配傾向は、投資家にとって評価が高いポイントでしょう。通期予想は据え置かれていますが、進捗率は高く、上振れの可能性も含んだ着地と言えます。
