業界ダイジェスト
リゾートトラスト株式会社 の会社詳細
リゾートトラスト株式会社
リゾートトラスト
2026年3月期 通期

リゾートトラスト・2026年3月期、売上・利益ともに過去最高を更新――富裕層の会員制リゾート需要が牽引、次期も増配へ

リゾートトラスト
過去最高益
会員制リゾート
富裕層ビジネス
増配
株式分割
インバウンド
メディカル事業
ホテル運営
4681
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

2,630億円

+5.5%

通期予想

2,550億円

進捗率103%

営業利益

292億円

+10.6%

通期予想

310億円

進捗率94%

純利益

209億円

+3.8%

通期予想

210億円

進捗率100%

営業利益率

11.1%

リゾートトラストが15日に発表した2026年3月期連結決算は、売上高・各利益ともに過去最高を更新する好決算となった。富裕層を中心とした会員制リゾートへの底堅いニーズに加え、ホテル運営の効率化や価格改定が奏功し、売上高は 2,630億2,000万円(前年同期比 +5.5%)、営業利益は 291億6,100万円(同 +10.6%)に到達した。人件費や建築資材の高騰といったコスト増を、高付加価値なサービスの提供と適切な価格転嫁で吸収し、強固な収益基盤を示した格好だ。

業績のポイント

2026年3月期の業績は、主力事業が軒並み好調に推移し、主要な経営指標が計画を上回る結果となった。売上高は 2,630億2,000万円(前年同期比 +5.5%)、営業利益は 291億6,100万円(同 +10.6%)、経常利益は 292億8,100万円(同 +9.1%)を記録した。親会社株主に帰属する当期純利益も 209億1,200万円(同 +3.8%)と、全ての利益項目において過去最高を塗り替えている。

この好業績の背景には、国内の旅行需要の本格的な回復と、インバウンド需要の増加という追い風がある。同社がターゲットとする富裕層市場では、不透明な経済環境下でも会員制リゾートへの投資意欲が衰えず、新規ホテルの会員募集が極めて高い水準で推移した。また、同社が独自に算出する「評価営業利益」は 328億400万円(同 +25.4%)と大幅に伸長しており、会計上の収益認識のタイミングを除いた「事業の実力値」も着実に底上げされていることが確認できる。

項目前期実績当期実績前年同期比
売上高2,493億円2,630億円+5.5%
営業利益263億円291億円+10.6%
経常利益268億円292億円+9.1%
当期純利益201億円209億円+3.8%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

セグメント別では、ホテルレストラン等事業とメディカル事業が大幅な増益を達成し、全体の利益成長を牽引した。

会員権事業は、売上高 955億2,900万円(前年比 +2.0%)、セグメント利益 255億4,800万円(同 -6.9%)となった。2025年3月から販売を開始した「サンクチュアリコート金沢」や、同年6月に開始した「サンクチュアリコート淡路島」の会員募集が好調を維持している。利益が前年比で減少しているのは、前年同期に「サンクチュアリコート琵琶湖」の開業に伴う一括収益計上があったことに対し、今期は未開業物件の契約が中心となり、会計上の不動産収益が次期以降へ繰り延べられたためである。契約高自体は前年を上回っており、将来の利益の芽は確実に育っている。

ホテルレストラン等事業は、売上高 1,109億3,500万円(同 +6.7%)、セグメント利益 56億3,500万円(同 +175.0%)と躍進した。2024年10月に開業した「サンクチュアリコート琵琶湖」の通年稼働が収益に大きく貢献したほか、運営管理費(年会費)や利用料(室料)の改定が奏功した。ベースアップや人員増に伴う人件費増を、稼働率の向上と単価アップで十分に吸収し、利益率を劇的に改善させている。

メディカル事業は、売上高 558億6,900万円(同 +9.5%)、セグメント利益 82億9,500万円(同 +10.5%)と安定した成長を見せた。健康意識の高まりを背景に、総合メディカルサポート倶楽部「グランドハイメディック倶楽部」の会員数が着実に増加し、それに伴う会費収入の積み上がりが収益を下支えしている。一般健診事業の設備拡張や拠点の拡大も進み、増収増益のトレンドを維持した。

セグメント売上高前年比セグメント利益前年比
会員権955億円+2.0%255億円△6.9%
ホテルレストラン等1,109億円+6.7%56億円+175.0%
メディカル558億円+9.5%82億円+10.5%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
会員権事業955億円36%255億円26.7%
ホテルレストラン等事業1,109億円42%56億円5.1%
メディカル事業559億円21%83億円14.8%

財務状況と資本政策

財務面では、積極的な投資を継続しつつも、強固なキャッシュ創出能力を背景に自己資本比率を向上させている。2026年3月末の総資産は 5,253億900万円 となり、前年度末から 323億6,000万円 増加した。これは会員制施設の開発に伴う有形固定資産の増加や、会員権ローン債権の積み増しが主な要因である。一方で、利益剰余金の積み上げにより純資産も 166億8,300万円 増の 1,666億8,300万円 となり、自己資本比率は前期の 29.3% から 30.5% へと改善した。

株主還元については、2025年4月1日に実施した1株につき2株の株式分割後も積極的な姿勢を崩していない。当期の年間配当は、分割後の基準で 34円(中間17円、期末17円)を実施した。さらに、次期(2027年3月期)の配当予想については、過去最高となる 年間36円(同 +2円)への増配を計画している。これは、新たな中期経営計画における還元方針に基づき、機動的かつ安定的な還元を目指す経営判断の表れといえる。キャッシュ・フロー面でも、営業活動により 502億6,000万円 の資金を獲得しており、次なる成長投資と株主還元の両立を可能にする資金余力を確保している。

通期見通し

2027年3月期の通期連結業績予想について、同社は慎重ながらも増益基調の継続を見込んでいる。売上高は 2,550億円(前期比 -3.0%)と減収を予想しているが、これは開業するホテルの物件規模が前期に比べて小さく、一括計上される不動産収益が減少するためである。一方で、営業利益は 310億円(同 +6.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は 210億円(同 +0.4%)と、利益ベースでは過去最高をさらに更新する見通しだ。

次期は、人件費の上昇や建築資材の高止まりといったコスト圧力が続くものの、DX推進による生産性向上や、既存施設の高付加価値化による単価上昇でこれらを克服する方針である。特に、2026年夏に予定している新たな会員制ホテルの販売や、2027年3月に予定している「サンクチュアリコート八ヶ岳」の開業に向けた準備が、中長期的な収益貢献の柱として期待されている。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想増減率
売上高2,630億円2,550億円△3.0%
営業利益291億円310億円+6.3%
経常利益292億円305億円+4.2%
当期純利益209億円210億円+0.4%

リスクと課題

好調な業績の一方で、同社はいくつかの経営課題と外部環境リスクを注視している。主なリスク要因は以下の通りである。

  • 人件費の上昇と労働力不足: サービス業全体に共通する課題として、深刻な人手不足が続いている。同社はベースアップや処遇改善を進めているが、これが利益を圧迫する要因となる可能性がある。DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化が急務となっている。
  • 建築コストの高騰: 新たなリゾート施設の開発において、資材価格や建設労務費の高騰が事業の採算性に影響を与えるリスクがある。
  • 景気動向の影響: 富裕層ニーズは底堅いものの、急激な経済情勢の変化や株価の下落が、会員権の販売実績やホテルの利用頻度に影響を与える可能性がある。
  • 災害リスク: 全国に施設を展開しているため、大規模な自然災害が施設の稼働停止や修繕費の増大を招くリスクを内包している。
AIアナリストの視点

リゾートトラストの決算で特筆すべきは、会計上の表面的な数字以上に「実力値としての収益性」が高いレベルにある点です。同社が重視する「評価営業利益」が25%増となっていることは、将来の収益源となる会員権契約が極めて順調であることを示唆しています。

強みとしては、以下の2点が挙げられます。

  • ホテル運営の「価格決定権」の行使:人件費増を上回る単価・会費の引き上げに成功しており、ブランド力の高さが証明されています。
  • メディカル事業とのシナジー:リゾートと予防医療を組み合わせた唯一無二のビジネスモデルが、富裕層のウェルビーイング需要を独占的に捉えています。

懸念点としては、次期の売上高予想が減収となっている点ですが、これは大型物件の開業タイミングによる会計上の要因が大きく、過度な懸念は不要でしょう。むしろ、労働力不足の中で「人に頼らないおもてなし(DX推進)」をどこまで早期に確立できるかが、中長期的な利益率維持の焦点となります。投資家にとっては、増配継続と自己資本比率の改善という、バランスの取れた成長と還元の姿勢が評価される内容です。