リンナイ・2026年3月期通期、売上高4,703億円で過去最高——高付加価値商品の伸長と豪州のM&Aが貢献
売上高
4,704億円
+2.2%
通期予想
5,000億円
営業利益
505億円
+9.8%
通期予想
505億円
純利益
362億円
+21.8%
通期予想
363億円
営業利益率
10.7%
給湯機器大手のリンナイが12日に発表した2026年3月期通期決算は、売上高が前期比 2.2%増 の 4,703億9,200万円、営業利益が同 9.8%増 の 505億3,100万円 となり、いずれも過去最高を更新しました。国内での高付加価値商品の販売拡大に加え、オーストラリアでの M&A効果 が収益を押し上げ、中期経営計画「New ERA 2025」の目標を達成しました。純利益も同 21.8%増 の 361億6,000万円 と大幅な増益を記録しています。
業績のポイント
リンナイの2026年3月期決算は、原材料高や地政学リスクといった厳しい外部環境にありながら、戦略的な商品展開と海外事業の拡大によって 増収増益 を達成しました。売上高は 4,703億9,200万円(前年比 +2.2%)、営業利益は 505億3,100万円(同 +9.8%)に達し、売上高営業利益率は前期の 10.0% から 10.7% へと向上しています。
利益面を大きく牽引したのは、国内における「ECO ONE(エコワン)」やガス衣類乾燥機といった 高付加価値商品 の好調な販売です。また、豪州での企業買収による収益上積みも寄与しました。経常利益は 576億8,600万円(同 +14.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益は 361億6,000万円(同 +21.8%)となり、1株当たり純利益は 259.96円(前期は 209.66円)まで伸長しました。
業績推移(通期)
セグメント別動向
国内事業(日本セグメント)は、新設住宅着工が低迷するなか、リフォーム需要を確実に捉えたことで売上高 2,072億100万円(前年比 +1.7%)を確保しました。損益面では、浴室暖房乾燥機の無償修理費用の発生があったものの、商品ミックスの改善が勝り、営業利益は 271億1,500万円(同 +21.5%)と大幅な増益を記録しました。
海外事業では地域ごとの明暗が分かれました。オーストラリアは買収企業の収益貢献により、営業利益が 21億1,000万円(同 +88.6%)と激増した一方、中国は景気減退による消費冷え込みの影響を受け、売上高が 606億8,200万円(同 11.5%減)、営業利益が 94億1,500万円(同 6.7%減)と苦戦を強いられました。
| セグメント | 売上高 | 前年比 | 営業利益 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 2,072億円 | +1.7% | 271.1億円 | +21.5% |
| アメリカ | 721億円 | +8.5% | 18.5億円 | △12.8% |
| オーストラリア | 440億円 | +20.3% | 21.1億円 | +88.6% |
| 中国 | 606億円 | △11.5% | 94.1億円 | △6.7% |
| 韓国 | 342億円 | △1.3% | 10.9億円 | +17.7% |
| インドネシア | 175億円 | +3.2% | 38.4億円 | +0.0% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 2,072億円 | 44% | 271億円 | 13.1% |
| アメリカ | 721億円 | 15% | 19億円 | 2.6% |
| オーストラリア | 442億円 | 9% | 21億円 | 4.8% |
| 中国 | 635億円 | 14% | 94億円 | 14.8% |
| 韓国 | 349億円 | 7% | 11億円 | 3.1% |
| インドネシア | 181億円 | 4% | 38億円 | 21.2% |
財務状況と資本政策
当期末の総資産は前期末比 429億8,300万円 増の 6,495億6,900万円 となりました。これは主にM&Aに伴う のれん などの無形固定資産が増加したことによるものです。自己資本比率は 67.3%(前期末は 66.9%)と高水準を維持しており、盤石な財務基盤を背景に積極的な株主還元姿勢を打ち出しています。
年間配当金は、前期の 80円 から 20円増配 となる 100円 を実施しました。配当性向は 38.5% となり、株主への利益還元を強化しています。次期(2027年3月期)についても、年間 106円 の配当を予定しており、安定的な配当継続を目指す方針です。
通期見通しと戦略トピック
2027年3月期の業績予想については、売上高 5,000億円(前期比 +6.3%)、営業利益 505億円(同 0.1%減)を見込んでいます。売上高は初の5,000億円突破を狙う一方、営業利益は原材料高や部品調達リスクを考慮し、ほぼ横ばいの慎重な計画となっています。
また、新たに2030年度を最終年とする中期経営計画「accelerate 2030」を策定しました。脱炭素化の流れを背景に、ヒートポンプ給湯器など 電化商品 の拡大を中核戦略に据え、2030年度には売上高 6,200億円、営業利益 700億円(利益率 11.3%)を目指す野心的な目標を掲げています。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,703億円 | 5,000億円 | +6.3% |
| 営業利益 | 505億円 | 505億円 | △0.1% |
| 当期純利益 | 361億円 | 363億円 | +0.4% |
リスクと課題
同社は今後の経営リスクとして、以下の要因を挙げています。
- 中東情勢の緊迫化: 部品調達網や原材料価格への影響が不透明であり、現時点の業績予想には織り込まれていません。
- 中国市場の景気停滞: 不動産市場の不振や消費マインドの低下が継続しており、収益回復へのハードルとなっています。
- エネルギー転換への対応: 世界的な脱炭素シフトにより、主力のガス機器から電化製品(ヒートポンプ等)への移行を加速させる必要があります。既存の強みであるガス技術と先進技術の融合が、今後の競争力を左右する鍵となります。
リンナイの今回の決算は、主力市場である日本での「高付加価値シフト」が鮮明に数字に表れた格好です。特に国内の営業利益が2割以上伸びている点は、物価高局面での価格転嫁と、付加価値の高い省エネ・時短商品の訴求が成功していることを示唆しています。
一方で、アメリカや中国といった主要海外市場での利益成長が鈍化、あるいはマイナスとなっている点は懸念材料です。特に中国の二桁減収は、同社の海外戦略における大きな課題となっています。
新たに発表された「accelerate 2030」では、ガス機器メーカーからの脱却とも取れる「電化への本格参入」が宣言されており、この事業ポートフォリオの大転換をいかにスムーズに遂行できるかが、今後の株価と企業価値を左右する焦点となるでしょう。
