エンジニアリング・EPC大手 2026年3月期Q3——日揮の利益急回復とコムシスの安定高成長を比較
今期の総括
量から質への転換が進み利益格差が鮮明に
今回の決算では、不採算案件の清算が進んだ 日揮HD のV字回復と、データセンター需要を掴んだ コムシスHD の堅調さが際立ちました。売上高では 日揮HD が 5,668億円 で首位ですが、利益額と成長率では コムシスHD がリードする対照的な結果となっています。業界全体で採算重視の姿勢が強まっています。
エンジニアリング業界を動かす3つの潮流
- 不採算案件の膿出し: 過去の損失を出し切り、利益重視の受注へ転換が進みました。
- デジタルインフラの拡大: 通信網の改善やデータセンター建設が新たな収益の柱に成長。
- 株主還元の加速: 自社株消却や増配など、資本効率を意識した経営が目立ちます。
売上高 前年同期比
成長率で明暗が分かれました。**コムシスHD** は全分野で受注を伸ばしプラス成長。**日揮HD** はマイナスですが、これは「筋肉質な経営」へ転換している過程と言えます。
勝者と敗者:稼ぐ力の「コムシス」、復活の「日揮」
収益性で勝ったのは コムシスホールディングス です。売上高は 4,247億円(前年比 1.7%増)と着実。営業利益は 322億円( 9.8%増 )で、規模の大きい 日揮HD を上回りました。一方、日揮HD は売上高が 5,668億円( 6.2%減 )と苦戦。大型案件の完了が響きましたが、営業利益は 267億円 と黒字転換。不採算の波を乗り越えつつあります。
勝者
コムシスホールディングス
苦戦
日揮ホールディングス(売上成長の観点)
売上高ランキング
売上高は大型案件を抱える **日揮HD** が首位を維持。しかし、ピークを過ぎた **日揮HD** が減収となったのに対し、事業を広げる **コムシスHD** は増収を確保しました。
営業利益ランキング
利益額では **コムシスHD** が **322億円** で逆転。**日揮HD** も **267億円** と黒字化に成功しましたが、高単価な案件を持つ **コムシスHD** の稼ぐ力が光ります。
注目の動き:資本効率の日揮 vs 成長分野のコムシス
日揮HD は発行済株式の約6%という大規模な 自社株消却 を発表。投資家に「経営の自信」をアピールしました。対する コムシスHD は、NTT向け以外のIT・社会システム分野が好調。受注高は 5,036億円( 4.3%増 )に達し、将来の稼ぎ口を確実に広げています。
業界共通のリスク
- 深刻な人手不足に伴う人件費の上昇。
- 国際的な資材価格の変動によるコスト増。
- 地政学リスクによる海外プロジェクトの遅延。
就活生・転職希望者へ
安定性を重視するなら、営業利益率が 7.6% と高く、財務が盤石な コムシスHD が魅力的。一方で、グローバルな変革に関わりたいなら、エネルギートランジションへの挑戦と復活を掲げる 日揮HD が刺激的な環境と言えるでしょう。
営業利益率ランキング
利益率では **コムシスHD** が **7.6%** と圧倒的。不採算案件を抑え、IT案件を増やした成果です。**日揮HD** も **4.7%** まで回復し、業界全体の採算は向上傾向にあります。
