塗料メーカー2社・2025年12月期と2026年3月期比較、買収で伸びる日本ペイントと関西ペイントの苦戦
塗料大手2社は、売上成長と利益の伸びで明暗が分かれました。日本ペイントHDはAOC買収や原材料コストの低下で大幅増益。一方、関西ペイントは人件費や原材料高が利益を圧迫しました。買収が利益差を広げる一方、地域ごとの需要や価格競争も各社の差を映しています。なお、決算期は日本ペイントHDが2025年12月期、関西ペイントが2026年3月期です。
今期の総括
買収効果が利益差を拡大
業界全体の動き
今回の比較では、規模の拡大だけでなく、利益を生む力にも差が出ました。なお、2社の決算期は異なります。業界全体の平均値ではなく、提示された2社の単純平均として参考にしてください。
- M&Aが成長を押し上げる:日本ペイントHDはAOCを新たに連結しました。買収による売上の上積みが、前年比8.3%の増収に寄与しました。
- 原材料費と人件費の差が利益を左右:日本ペイントHDは原材料価格の安定が追い風でした。関西ペイントは原材料高や人件費の増加を吸収できず、営業減益です。
- 地域によって需要と競争環境が異なる:関西ペイントは自動車用塗料が堅調でした。一方、インドの建築用塗料では低価格品への移行が重荷です。
- 売上成長だけでは利益を測れない:2社の売上高はともに前年を上回りました。しかし、営業利益は日本ペイントHDが38.1%増、関西ペイントが4.5%減でした。
売上高ランキング
営業利益ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
今回もっとも好調だったのは日本ペイントホールディングスです。売上高は1兆7,742億円、前年比8.3%増でした。営業利益は2,571億円、同38.1%増です。営業利益率も14.5%となり、関西ペイントの8.4%を6.1ポイント上回りました。
一方、最も苦戦したのは関西ペイントです。売上高は5,898億円、前年比0.2%増にとどまりました。営業利益は497億円、同4.5%減、純利益は316億円、同17.4%減です。
差を生んだのは、買収効果とコスト環境です。日本ペイントHDはAOCの新規連結に加え、原材料コストの低下や値上げの浸透が利益を押し上げました。東京事業所の売却益も利益に寄与しており、すべてが継続的な事業収益とは限りません。関西ペイントは価格改善を進めましたが、物流費や人件費の上昇を補いきれませんでした。
純利益の増減は日本ペイントHDが42.8%増、関西ペイントが17.4%減でした。今回の2社平均は12.7%増ですが、業界全体の平均を示すものではありません。
- 好調
- 日本ペイントホールディングス
- 苦戦
- 関西ペイント


営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
日本ペイントHDの軸は、良質な事業を買収して成長につなげるアセット・アセンブラー戦略です。2025年3月に買収を完了したAOCは、スペシャリティ分野の事業です。売上高の拡大だけでなく、営業利益率も前期の11.4%から14.5%へ上昇しました。
関西ペイントは欧州事業の再編を進めています。構造改革費用は純利益の重荷となりました。一方、配当は1株50円から110円へ引き上げました。利益が減る中で還元を強める姿勢は、資本効率を意識した動きです。ただし、今後も利益を確保できるかが焦点です。
通期予想では、日本ペイントHDが売上高1兆9,200億円、営業利益2,830億円を掲げます。関西ペイントの予想は売上高6,100億円、営業利益530億円です。予想値は各社の決算期に基づくため、単純な同時期比較には注意が必要です。
業界共通のリスク
塗料メーカーは原材料や為替、地域需要の変化を受けやすい事業です。今回の決算では、各社の課題として次の点が浮かびました。
- 原材料・物流費の再上昇:価格転嫁が遅れれば、関西ペイントのように利益率を押し下げます。
- 人件費など固定費の増加:販売が伸び悩む局面では、固定費の負担が利益に響きます。
- 為替や地政学リスク:海外売上や調達コストが変動し、業績の見通しを難しくします。
- 低価格品との競争:インドの建築用塗料で見られるように、価格競争は採算悪化につながります。
- 買収後の統合と再編費用:買収効果を出せなければ、投資負担が利益を圧迫します。
順位変化と構造トレンド
提示された売上高と営業利益の順位は、どちらも日本ペイントHDが首位です。売上高は関西ペイントの約3倍で、営業利益は約5倍でした。今回の2社比較では、順位の逆転よりも利益率の差が目立ちます。
営業利益率は日本ペイントHDが14.5%、関西ペイントが8.4%です。規模の大きさに加え、買収した事業の収益力や原価管理が差を広げました。ただし、決算期と事業構成が異なるため、単純な優劣だけで評価しないことも大切です。
就活生・転職希望者へ
塗料業界は、住宅や自動車、工業製品を支える幅広い仕事があります。会社ごとに海外事業や製品分野の比重が違い、必要な専門性も異なります。
日本ペイントHDでは、買収後の事業運営や海外拠点との連携が重要になりそうです。関西ペイントでは、コスト管理や欧州事業の再編、地域ごとの商品戦略が注目点です。就職先を選ぶ際は、売上規模だけでなく、成長分野や事業再編の方向も確認しましょう。
タグ#塗料業界#化学#日本ペイントホールディングス#関西ペイント#決算比較#AOC買収#営業利益率#原材料コスト#価格競争#事業再編
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
