鉄道関連工事3社・2027年3月期Q1、東急建が増益主導も矢作建設は本業苦戦
鉄道関連工事3社は、東急建が増収増益で利益成長をけん引する一方、矢作建設は完成工事高の減少などで営業利益が大きく落ち込みました。東鉄工は受注を伸ばしながら販管費増で減益です。純利益では特別利益の影響もあり、本業の稼ぐ力に明暗が表れました。
今期の総括
本業の稼ぐ力に明暗
業界全体の動き
結論として、売上の伸びと利益の動きは各社で分かれました。3社平均の売上高は前年同期比6.3%減、営業利益率は5.3%です。東急建は増収増益、東鉄工は小幅増収ながら減益、矢作建設は減収減益となりました。
| 会社 | 売上高 前年比 | 営業利益 前年比 | 主な要因 |
|---|---|---|---|
| 東急建 | 741億円 +2.9% | 27億円 +25.9% | 建築採算改善 |
| 東鉄工 | 296億円 +1.4% | 21億円 -9.1% | 販管費増・土木減益 |
| 矢作建設 | 316億円 -23.2% | 15億円 -57.8% | 完成工事減・特別利益 |
- 建築と土木の採算差: 東急建は建築のセグメント利益が34.8%増えた一方、土木は50.5%減りました。東鉄工も土木のセグメント利益が23.1%減り、売上の伸びだけでは利益を押し上げられませんでした。
- 受注と完成高のずれ: 東鉄工の受注高は18.6%増えましたが、矢作建設の受注高は38.5%減りました。受注は将来の売上候補であり、当期の完成高や利益とは動きが一致しない場合があります。
- 利益の中身への注目: 矢作建設は特別利益が純利益を押し上げました。営業利益や受注の動きも併せて見る必要があります。
国内の政府建設投資は底堅く、東急建の説明では民間建設投資も前年を上回りました。ただし、各社の決算には工事の進捗や事業構成の違いが表れています。売上の規模だけでなく、受注残をどの採算で完成させるかが、業界の収益力を見極めるポイントです。
売上高ランキング
売上高 前年同期比
勝者と敗者
今四半期の利益成長では東急建が先行し、矢作建設は本業の減益が目立ちました。営業利益の前年同期比は東急建が+25.9%、東鉄工が-9.1%、矢作建設が-57.8%です。営業利益率は業界平均5.3%に対し、東鉄工7.2%、矢作建設4.9%、東急建3.7%と、利益の伸びと利益率の高さは別の順位になりました。
- 東急建: 建築のセグメント利益が34.8%増え、全社の増益をけん引しました。一方、土木の利益は50.5%減で、事業間のばらつきが残ります。
- 東鉄工: 土木は増収でもセグメント利益が23.1%減りました。売上総利益の増加を販管費の増加が上回り、全社営業利益は減少しました。
- 矢作建設: 建築の完成工事高が25.6%減り、受注高も38.5%減少しました。売上総利益の減少と販管費増加が重なり、営業減益につながりました。
増収だけでは利益を守れないことが、東鉄工の結果に表れています。東急建は建築の採算改善が追い風となった一方、矢作建設は完成工事高の減少が響きました。東鉄工の利益率の高さは収益性の強みですが、販管費や土木採算の改善が今後の利益成長を左右します。
- 好調
- 東急建
- 苦戦
- 矢作建設


営業利益ランキング
営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
各社の注目点は、受注の積み上げ、利益計画の達成、株主還元に分かれます。東急建と東鉄工は通期予想を据え置きましたが、矢作建設は通期の売上高・営業利益予想を修正しました。四半期の数字だけでなく、会社計画と受注残の進捗を確認したい局面です。
- 東急建: 建設事業の繰越高は前年同期末比6.3%増の5,983億円です。通期営業利益予想165億円を維持し、年間配当は前期比3円増の43円を見込みます。
- 東鉄工: 受注高は18.6%増の303億円で、建築事業の受注は69.6%増えました。通期営業利益予想180億円と年間配当152円を据え置いています。
- 矢作建設: 通期売上高予想を1,500億円、営業利益予想を95億円に修正しました。年間配当予想は前期実績から10円増の110円です。
- 矢作建設: 法面工事分野の技術基盤を取得で強化する動きもあります。事業の整理や技術基盤の強化と、足元の受注・採算の回復を並行して見たいところです。
東急建は繰越高と配当、東鉄工は受注の伸び、矢作建設は計画修正と事業基盤の動きが、それぞれ投資家の確認材料です。就職先を考える場合も、建築・土木のどちらが利益や受注を支えているかを見ると、企業ごとの仕事の軸をつかみやすくなります。
業界共通のリスク
共通の焦点は、受注が将来の完成高や利益に結び付くか、そして一時的な利益と本業の収益力を見分けられるかです。3社ともセグメントや費用の動きに差があり、売上高や純利益だけでは採算の変化を捉えきれません。
- 受注の変動: 東急建の個別受注高は56.0%減、矢作建設の受注高は38.5%減でした。受注の減少が続けば将来の工事量に影響し得るため、特に建築の民間受注が落ち込んだ矢作建設は動向の確認が必要です。
- 工事採算のばらつき: 東急建は建築増益に対し土木減益、東鉄工も土木のセグメント利益が減りました。特定の事業の採算悪化が全社利益を押し下げるリスクは、土木の収益回復が課題となる両社で意識されます。
- 費用の増加: 東鉄工と矢作建設では販管費が前年同期を上回りました。売上総利益の増加や回復が費用増を吸収できるかが、通期計画の達成に影響します。
- 一時利益への依存: 矢作建設は投資有価証券売却益などの特別利益が純利益を押し上げました。純利益の増加を本業の改善と同一視せず、営業利益と受注を追う必要があります。
3社の開示データから確認できるリスクは、受注・工事採算・費用・利益の質に集中しています。資材価格や人手不足など、ここに示されていない要因の影響は断定できません。投資家は四半期ごとの受注と利益率を、就活生は事業別の仕事量や収益の柱を継続して確認したいところです。
順位変化と構造トレンド
純利益の前年同期比は、営業利益の動きと一致しませんでした。東急建は営業利益の伸びに沿って純利益も増えましたが、矢作建設は営業利益が大きく減る一方、純利益は増加しました。東鉄工は純利益が小幅に減っています。
- 東急建: 純利益は36.9%増でした。建築の利益改善が営業増益を支え、純利益も前年を上回りました。
- 東鉄工: 純利益は3.3%減でした。販管費増を含む営業減益が、純利益にも表れています。
- 矢作建設: 純利益は15.3%増でした。投資有価証券売却益や事業譲渡益など、特別利益が寄与しています。
矢作建設の純利益増加は、営業利益の回復を示すものではありません。3社の比較では、純利益の増減だけで企業の勢いを判断せず、営業利益や特別利益の内訳まで確認することが重要です。特に矢作建設は、次の四半期以降に本業の採算と受注がどう動くかが焦点になります。
純利益 前年同期比
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