東急建、2027年3月期第1四半期決算、純利益37%増も通期予想を据え置き

東急建の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比2.9%増の740億円、営業利益は25.9%増の27億円、純利益は36.9%増の19億円となりました。建築工事の利益改善が全体を押し上げた一方、個別の受注高は前年の大型案件の反動で56.0%減少。会社は中東情勢の影響を見通しに織り込まず、通期予想を据え置いています。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 741億円 | +2.9% | 3,340億円 | 22% |
| 営業利益 | 27億円 | +25.9% | 165億円 | 17% |
| 純利益 | 20億円 | +36.9% | 110億円 | 18% |
| 営業利益率 | 3.7% | |||
この決算のポイント
- 1建築のセグメント利益は前年比34.8%増の44.73億円、土木は50.5%減の5.08億円
- 2個別受注高は前年同期比56.0%減の495.42億円、建設事業の繰越高は6.3%増の5,983.57億円
- 3通期予想は売上高3,340億円、営業利益165億円で変更なし。1Q営業利益の進捗率は16.5%
- 4年間配当予想は前期比3円増の43円、中間21円・期末22円を見込む
業績のポイント
東急建(東急建設)は2027年3月期第1四半期に増収増益となりました。売上高は前年同期比2.9%増の740億57百万円、営業利益は25.9%増の27億30百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は36.9%増の19億54百万円です。
- 売上総利益: 80億28百万円と前年同期の71億42百万円から増加し、増収を上回る利益の伸びを支えました。
- 建築工事: 建築のセグメント利益が34.8%増え、営業利益の伸びをけん引しました。
- 土木工事: 土木のセグメント利益は50.5%減少し、建築の増益を一部相殺しました。
- 販管費: 52億98百万円と前年同期の49億73百万円から増え、利益の押し上げを抑えました。
国内では政府建設投資が底堅く、企業の設備投資意欲を背景に民間建設投資も前年を上回りました。建築の採算改善が増益を主導した一方、セグメント間で利益の方向が分かれており、土木の収益回復が今後の焦点です。
セグメント別動向
建設事業(建築)は売上高585億50百万円、前年同期比4.4%増となり、セグメント利益は34.8%増の44億73百万円でした。国内民間・官公庁工事と海外工事の完成工事高が増加し、個別の売上総利益率も前年の9.4%から11.1%に改善しました。一方、受注高は海外工事が増えたものの国内民間・官公庁工事が減り、前年同期比70.0%減の305億59百万円でした。
建設事業(土木)は売上高147億73百万円、前年同期比3.9%減、セグメント利益は50.5%減の5億8百万円でした。国内民間工事と海外工事は増えたものの、国内官公庁工事の減少で完成工事高が減少し、個別の売上総利益率も10.8%から8.9%に低下しました。受注高は国内の官公庁・民間工事と海外工事が増え、前年同期比62.3%増の243億83百万円です。
不動産事業等は売上高7億33百万円、前年同期比44.7%増でしたが、賃貸事業等の利益は16.4%減の45百万円でした。建築が利益を大きく伸ばす一方、土木は採算が悪化しており、受注の積み上がりが今後の売上・利益にどう結び付くかを確認したい局面です。
- 建築+34.8%
- 土木-50.5%
- 不動産等-16.4%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建設事業(建築) | 586億円 | 79% | 45億円 | 7.6% |
| 建設事業(土木) | 148億円 | 20% | 5億円 | 3.4% |
| 不動産事業等 | 7億円 | 1% | 45百万円 | 6.1% |
通期見通し
東急建は2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。売上高3,340億円、営業利益165億円、親会社株主に帰属する当期純利益110億円を見込み、いずれも2026年5月8日の公表値から変更していません。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 3,340 | 3,340 | -2.1% |
| 営業利益(億円) | 165 | 165 | +1.2% |
| 経常利益(億円) | 168 | 168 | -4.3% |
| 純利益(億円) | 110 | 110 | -17.9% |
第1四半期の営業利益は通期予想の16.5%、純利益は17.8%に当たります。会社は中東情勢の不安定化が業績に与える影響について、現時点で合理的な算定が難しいとして予想に織り込んでいません。通期計画の達成には、受注の回復と土木事業の採算改善が重要になります。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比9.0%減の2,829億66百万円、自己資本比率は前期末から3.3ポイント上昇して39.2%となりました。会社は四半期キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、期間中の営業・投資・財務キャッシュ・フローは開示されていません。
- 現金預金: 前期末から146億54百万円増え、642億41百万円となりました。
- 自己資本: 1,107億89百万円で、純資産は前期末比6億36百万円減の1,120億39百万円でした。
- 配当予想: 年間43円で、前期実績40円から3円増配する計画です。中間配当は21円、期末配当は22円を見込みます。
- 借入金: 短期借入金は前期末から149億99百万円減少し、200億82百万円となりました。
総資産の減少には、完成工事未収入金などの減少が大きく影響しました。純利益を計上した一方で配当を実施したため、純資産はわずかに減少しています。配当予想に変更はなく、自社株買いの発表もありません。
戦略トピック
東急建は長期経営計画「To zero, from zero.」のもと、国内の土木・建築・建築リニューアルをコア事業、国際・不動産・新規事業を戦略事業と位置付けています。人材とデジタル技術を競争力の源泉とし、「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を提供価値に掲げています。
- 重点戦略: ブランドの確立、コア事業の深化、戦略事業の成長、人材・組織、財務・資本の5項目を推進しています。
- 稼ぐ力の再構築: 安全・品質、営業力、生産性・労働力、建築リニューアル、人材投資を重点項目として取り組んできました。
- 受注の状況: 個別の建設事業の繰越高は前年度末比3.2%減の5,983億57百万円ですが、前年同期比では6.3%増でした。通期の個別受注予想は前期実績比19.0%増の4,865億円です。
建築・土木の受注高は四半期ごとの大型案件の有無で振れやすく、1四半期の受注減だけで通期の勢いを判断しにくい面があります。繰越高と通期受注計画を踏まえ、案件を利益につなげる施工体制や生産性向上が計画達成の鍵となります。
リスクと課題
国内の建設投資は底堅い一方、会社は金融資本市場の変動や中東情勢など先行きの不透明さを挙げています。工事の受注時期や採算が四半期業績を左右するため、受注量だけでなく利益率の推移も確認が必要です。
- 中東情勢: 影響を合理的に見積もれないとして通期予想に織り込んでおらず、状況が変化すれば業績に影響する可能性があります。
- 金融資本市場の変動: 市場の変動が続けば、事業環境や保有資産の評価に影響するリスクがあります。
- 受注の振れ: 個別受注高は前年同期比56.0%減でした。前年の受注水準が高かった反動が含まれるものの、今後の受注積み上がりが課題です。
- 土木の採算: 土木のセグメント利益は前年同期比50.5%減となりました。受注増加を利益回復につなげられるかが注目点です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/4)
1,146円
最新終値(2026/10/23)
1,161円+1.3%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#東急建#決算#決算分析#四半期決算#建設業#受注高#増益#配当
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コメント
増収率は小幅でも利益の伸びが上回った点は前向きです。とくに建築の売上総利益率改善が、工事採算の回復を示す材料になっています。
一方、土木は受注高が増えたのに利益が大きく落ち込みました。受注が利益に結び付くまで時間差がある可能性はありますが、今後は受注額だけでなく工事採算の改善を見極めたいところです。
通期予想は据え置きで、配当は増額計画です。中東情勢の影響を見通しに織り込んでいないため、下期の受注動向と利益率の変化が計画達成の判断材料になります。
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