東京製鐵、2027年3月期第2四半期決算、増収も営業赤字に転落し通期は黒字予想

東京製鐵の2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比12.3%増の1,504億円となった一方、営業損益は35億円の赤字に転じ、中間純利益も47.7%減の23億円でした。鋼材の販売数量と単価は上向きましたが、売上原価の増加が利益を圧迫しました。価格改定の反映や鉄スクラップ価格の動向を踏まえ、通期では営業黒字を見込んでいます。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,504億円 | +12.3% | 3,260億円 | 46% |
| 営業利益 | -3,543百万円 | — | 10億円 | -354% |
| 純利益 | 24億円 | -47.7% | 70億円 | 34% |
| 営業利益率 | -2.4% | |||
この決算のポイント
- 1鋼材販売数量は前年同期比7.9%増、平均単価は4.9%上昇し、売上高の増加を支えた。
- 2投資有価証券売却益を52億円計上したものの、中間純利益は前年同期比47.7%減。
- 3通期営業利益は10億円を予想。製品出荷単価への価格改定の反映で黒字化を目指す。
- 4年間配当予想は40円で、前期実績の50円から10円減。中間配当は20円。
- 5中間期に自己株式を150万株取得。取得額は25億円で、自己株式が増加した。
業績のポイント
東京製鐵(東京製鐵株式会社)の中間期は、売上高が前年同期比12.3%増の1,504億円となった一方、営業損益は前年同期の60億円の黒字から35億円の赤字へ転落しました。中間純利益も47.7%減の23億円で、増収が利益改善につながらない決算です。
- 販売数量の増加: 鋼材販売数量は前年同期比7.9%増の146万8千トン。生産量も8.9%増の149万2千トンでした。
- 販売単価の上昇: 鋼材の平均販売単価は1トン当たり10万400円で、前年同期の9万5,700円から上昇しました。
- 原価の増加: 売上原価は22.1%増の1,410億円となり、売上高の伸びを上回りました。売上総利益は前年同期の185億円から94億円に縮小しています。
- 特別利益の計上: 投資有価証券売却益52億円などを計上し、営業赤字ながら中間純利益は黒字を確保しました。
売上の伸びには、鋼材の販売数量増加に加え、販売単価の上昇が寄与しました。一方、売上原価が膨らみ、営業損益は赤字となっています。会社は7~9月期について、製品出荷単価が想定どおり上昇し、鉄スクラップの購入価格が想定を下回ったため、営業利益は計画より改善したと説明しています。売上の回復が利益回復にまだ結びついていないことが、この中間決算の焦点です。
セグメント別動向
鉄鋼事業は、鋼材の販売数量と販売単価がともに前年同期を上回りました。一方で売上原価の増加を吸収できず、事業全体では営業赤字です。東京製鐵は鉄鋼事業の単一セグメントで開示しているため、以下では補足情報にある販売数量や単価の動きを確認します。
| 販売指標 | 前年同期 | 当中間期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 鋼材販売数量(千トン) | 1,361 | 1,468 | +7.9% |
| 鋼材平均単価(千円/トン) | 95.7 | 100.4 | +4.9% |
| 鋼材輸出数量(千トン) | 199 | 266 | +33.7% |
| 鋼材輸出金額(百万円) | 16,730 | 26,737 | +59.8% |
鋼材販売数量の増加に加え、輸出数量も大きく伸び、鋼材販売金額の増加を支えました。ただし、輸出単価も前年同期の1トン当たり8万4,000円から10万400円へ上昇しており、輸出金額の伸びには単価要因も含まれます。会社は採算重視を掲げ、国内外の需給や原料事情の変化に応じて対応するとしています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 鉄鋼事業 | 1,504億円 | 100% | -3,543百万円 | -2.4% |
通期見通し
2027年3月期の通期予想は、売上高3,260億円、営業利益10億円です。中間期の営業赤字から、下期に黒字を確保する計画ですが、営業利益は前期比86.2%減の水準にとどまる見通しです。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 前期比 | 2026年3月期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 326,000 | +21.6% | 開示なし |
| 営業利益(百万円) | 1,000 | -86.2% | 開示なし |
| 経常利益(百万円) | 2,000 | -76.8% | 開示なし |
| 当期純利益(百万円) | 7,000 | -39.4% | 開示なし |
会社は、実施した価格改定が製品出荷単価に順次反映されることから、通期の営業黒字化を見込んでいます。採算を重視しながら原材料の使用量削減などのコスト対策も進める方針です。会社説明では10月16日に業績予想を修正したとしていますが、この短信には修正前の予想値が掲載されていないため、修正幅の比較はできません。鉄スクラップ価格や鋼材市況によって実績が変動する可能性があります。
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末比165億円減の2,764億円、自己資本比率は78.6%でした。自己株式の取得を進める一方、年間配当は前期実績を下回る予想です。
| 項目 | 2026年3月期末・前期実績 | 2027年3月期中間期末・予想 |
|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 292,995 | 276,442 |
| 純資産(百万円) | 222,089 | 217,229 |
| 自己資本比率 | 75.8% | 78.6% |
| 配当(円/株) | 年間50円 | 中間20円、年間予想40円 |
| 自己株式取得 | なし | 150万株、取得額25億円 |
現金及び預金は前期末の635億円から414億円に減少しました。短信には中間期のキャッシュ・フロー計算書が掲載されていないため、現金減少の要因を資金収支の内訳から確認することはできません。配当予想は中間20円、期末20円で、前期の年間50円から10円減となります。自己株式取得は株主還元策の一つですが、利益回復の進み方とあわせて、今後の還元余力を見ていく必要があります。
リスクと課題
通期では営業黒字を見込むものの、利益予想は前期を大きく下回り、原料価格や鋼材市況の変動が業績に影響します。価格改定の浸透とコスト削減が計画どおり進むかが、下期の焦点です。
- 鉄スクラップ価格: 主原料の購入価格が上昇すれば、製品価格への転嫁が遅れた場合に採算が悪化する可能性があります。
- 鋼材市況と需給: 国内外の製品需給や鋼材価格の変化は、販売単価や販売数量を通じて売上高と利益に影響します。
- 価格改定の浸透: 改定後の価格が出荷単価に反映される時期や幅が想定を下回ると、通期の営業黒字化が難しくなるおそれがあります。
- コスト削減の実行: 原材料使用量の削減などを進める方針ですが、効果が不足すれば、原価上昇を補えず利益回復が遅れる可能性があります。
東京製鐵は需給や原料事情の変化に迅速かつ柔軟に対応する体制を強化し、採算を重視する姿勢を示しています。景気や市況の変化を受けやすい事業構造であるため、販売単価とスクラップ価格の差が改善するかが、業績予想の達成度を左右します。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/23)
1,650円
最新終値(2026/10/23)
1,650円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#東京製鐵#決算#決算分析#四半期決算#鉄鋼#営業赤字#鉄スクラップ価格#業績予想#自己株式取得
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コメント
販売数量と単価が上向いているのに営業赤字となった点から、売上の回復だけでは利益が戻らない厳しさが見えます。特に、鋼材価格への改定反映と鉄スクラップの仕入価格の組み合わせが、下期の採算を左右しそうです。
投資有価証券の売却益が中間純利益を下支えしており、本業の利益回復とは分けて評価したい決算です。通期の営業黒字予想は、価格改定の浸透とコスト削減が予定どおり進むことが前提となるため、次の四半期では営業損益の改善が続くかを注目したいところです。
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