愛知製鋼、2027年3月期第1四半期決算、増収も購入品価格高で営業減益
愛知製鋼の2027年3月期第1四半期決算は、売上収益が前年同期比8.7%増の816億円となる一方、営業利益は3.6%減の43億円と減益でした。販売数量の増加や工場原価の低減が進んだものの、購入品価格の上昇が利益を押し下げました。通期予想は据え置き、年間配当は特別配当を含め150円を見込みます。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 816億円 | +8.7% | 3,100億円 | 26% |
| 営業利益 | 44億円 | -3.6% | 175億円 | 25% |
| 純利益 | 32億円 | -11.1% | 113億円 | 28% |
| 営業利益率 | 5.3% | |||
この決算のポイント
- 1売上収益は前年同期比8.7%増の816億円、販売数量の伸びが価格下落を補った
- 2営業利益は購入品価格の上昇が響き、前年同期比3.6%減の43億円
- 3スマートカンパニーは電子部品の売上増で、売上収益が前年同期比20.7%増
- 4通期営業利益予想は175億円で据え置き、前年実績に対して0.7%増を見込む
- 5年間配当予想は特別配当込み150円、前年実績の145円から5円増える
業績のポイント
愛知製鋼(愛知製鋼株式会社)の2027年3月期第1四半期は、売上収益が前年同期比8.7%増の816億円、営業利益が3.6%減の43億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が11.1%減の31億円でした。税引前利益は金融収益や持分法投資損益などを受け、8.1%増の49億円です。
販売増を購入品価格高が相殺。会社の営業利益増減要因では、販売数量や工場原価低減などの増益要因を、購入品価格の上昇が上回りました。チャートは開示された要因を億円に換算し、報告された営業利益の実績に合うよう差額を別項目で示しています。
売上高の伸びに対して営業利益が減った点が、この四半期の焦点です。販売数量の増加は各カンパニーで確認できる一方、販売価格の下落もあり、原材料など購入品のコスト上昇を十分に吸収できませんでした。売上の拡大を利益につなげるには、原価低減の継続と価格・コストの変動への対応が課題になります。
- 前年同期45.3億円
- 販売数量+0.1億円
- 販売価格+0億円
- 工場原低+0.1億円
- 在庫影響他+0.2億円
- 子会社利益+0億円
- 購入品価格-0.5億円
- 要因表との差額-1.6億円
- 当期43.6億円
セグメント別動向
売上収益は5つの事業区分すべてで前年同期を上回りました。増収を主にけん引したのは、売上規模の大きい鍛カンパニーと、電子部品が伸びたスマートカンパニーです。
鋼(ハガネ)カンパニーは、特殊鋼の販売価格が下がったものの、販売数量の増加で売上収益が前年同期比6.5%増の281億円となりました。鍛(キタエル)カンパニーは、鍛造品の販売価格下落を販売数量の増加で補い、売上収益は9.0%増の361億円でした。自動車関連などの需要を背景に、数量の伸びが両事業の増収を支えました。
ステンレスカンパニーは販売数量の増加が価格下落を上回り、売上収益は7.5%増の105億円でした。スマートカンパニーは電子部品の売上増により、20.7%増の63億円と、主要事業の中で最も高い伸び率でした。
その他事業の売上収益は5億円で、前年同期比0.7%増にとどまりました。販売価格の下落が複数事業に共通する一方、数量増が全体の増収を支えています。利益面では鋼カンパニーのセグメント利益が減った一方、鍛カンパニーやスマートカンパニーなどは増益となり、事業ごとに明暗が分かれました。
- 鋼+6.5%
- ステンレス+7.5%
- 鍛+9.0%
- スマート+20.7%
- その他+0.7%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 鋼(ハガネ)カンパニー | 281億円 | 34% | 9億円 | 3.4% |
| ステンレスカンパニー | 105億円 | 13% | 4億円 | 3.6% |
| 鍛(キタエル)カンパニー | 361億円 | 44% | 24億円 | 6.7% |
| スマートカンパニー | 63億円 | 8% | 6億円 | 9.3% |
| その他 | 5億円 | 1% | 1億円 | 24.3% |
通期見通し
2027年3月期の通期業績予想に変更はなく、売上収益3,100億円、営業利益175億円、親会社の所有者に帰属する当期利益113億円を見込みます。いずれも前期実績を上回る計画で、今回の決算短信では予想修正の発表はありません。
| 指標 | 2027年3月期予想 | 2026年3月期実績 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益(億円) | 3,100 | 3,043 | +1.9% |
| 営業利益(億円) | 175 | 174 | +0.7% |
| 税引前利益(億円) | 185 | 185 | +0.1% |
| 親会社帰属利益(億円) | 113 | 112 | +0.5% |
第1四半期時点の通期予想に対する進捗率は、売上収益が約26%、営業利益が約25%、親会社帰属利益が約28%です。第2四半期累計の営業利益予想は60億円で、前年同期実績の88億円を下回る計画です。上期は利益面で厳しい前提を置きながら、通期では前期をわずかに上回る水準を見込んでおり、今後は購入品価格の影響と数量増の持続性が計画達成の焦点になります。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は4,063億円で、2026年3月末から75億円増加しました。親会社所有者帰属持分比率は58.2%と、前期末の59.2%から低下しています。
| 項目 | 2026年6月末・第1四半期 | 前期末または前年同期 | 増減・内容 |
|---|---|---|---|
| 総資産(億円) | 4,063 | 3,988 | +75億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 58.2% | 59.2% | -1.0ポイント |
| 営業キャッシュフロー(億円) | -80 | +186 | 106億円減少 |
| 投資キャッシュフロー(億円) | +10 | -83 | 有価証券売却など |
| 財務キャッシュフロー(億円) | +129 | -93 | 長期借入れなど |
現金及び現金同等物は期首から49億円増え、385億円となりました。営業キャッシュフローがマイナスとなった主因は、棚卸資産の増加に加え、法人所得税の支払いが前年同期より大きく増えたことです。投資キャッシュフローは投資有価証券の売却収入などでプラスに転じ、財務面では長期借入れによる収入が資金を補いました。
年間配当予想は150円で、前期実績の145円から5円増える見込みです。予想額には普通配当72円に加えて特別配当78円が含まれ、会社は配当予想を据え置きました。第1四半期に自己株式取得はなく、前年同期に実施した大規模な自己株式取得とは異なる資本政策となっています。
リスクと課題
第1四半期は増収を確保した一方、購入品価格の上昇で営業減益となりました。会社は業績予想について、入手した情報と一定の前提に基づくもので、実際の業績はさまざまな要因で変動する可能性があるとしています。
- 購入品・原材料価格: 鉄スクラップなどの購入品価格上昇が利益を圧迫しました。販売数量の増加や工場原価低減で吸収できるかが、今後の採算を左右します。
- 販売価格の下落: 特殊鋼、ステンレス鋼、鍛造品で販売価格が前年同期を下回りました。数量が伸びても価格低下が続けば、売上総利益や利益率の改善を妨げるおそれがあります。
- 在庫と運転資金: 棚卸資産の増加は営業キャッシュフローを押し下げました。在庫の積み上がりが続く場合、資金繰りやキャッシュ創出力に影響する可能性があります。
- 利益計画の達成: 第1四半期の営業利益は前年同期を下回り、通期計画の達成には今後の利益回復が必要です。会社は通期予想を維持しており、次の四半期以降のコスト動向と販売数量が注目点です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/27)
3,165円
最新終値(2026/10/23)
2,848円-10.0%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#愛知製鋼#決算#決算分析#四半期決算#特殊鋼#自動車部品#営業利益#配当#購入品価格
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コメント
売上は幅広い事業で伸びましたが、利益は購入品価格の上昇に押されました。数量増と原価低減が一定の効果を上げても、素材・部品メーカーではコスト上昇を販売価格に反映できるかが利益を左右することを示す決算です。
スマートカンパニーの伸びは目立つものの、売上規模では鍛カンパニーが大きく、全社の業績には数量と採算の両方が重要です。通期予想は据え置かれたため、次の四半期では販売数量の勢いが続くかに加え、購入品価格の上昇が落ち着くか、営業キャッシュフローが改善するかを確認したいところです。
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愛知製鋼株式会社
東証 5482
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