北越、2027年3月期第1四半期決算、増収も原燃料高で営業益78.9%減

北越の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比0.3%増の725億円と小幅な増収でしたが、中東情勢の緊迫化による原燃料高や海外子会社のパルプ価格下落が響き、営業利益は78.9%減の6億円、純利益は25.3%減の16億円でした。通期予想は据え置き、年間配当も26円を維持します。増収の一方で採算が大幅悪化した背景と、下期の収益回復が焦点です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 726億円 | +0.3% | 3,050億円 | 24% |
| 営業利益 | 7億円 | -78.9% | 30億円 | 23% |
| 純利益 | 16億円 | -25.3% | 50億円 | 33% |
| 営業利益率 | 0.9% | |||
この決算のポイント
- 1加工紙の販売数量増で売上高は前年同期比0.3%増の725億円
- 2原燃料高や海外パルプ価格下落で営業利益は78.9%減の6億円
- 3木材事業は燃料チップ販売が好調で、売上高4.4%増、営業利益0.9%増
- 4通期予想は売上高3,050億円、営業利益30億円で変更なし
- 5年間配当予想は26円で前期と同額、7月に250億円の社債を発行
業績のポイント
北越(北越コーポレーション)は、2027年3月期第1四半期に小幅増収となった一方、営業利益と純利益は前年同期を下回りました。売上高は前年同期比0.3%増、営業利益は78.9%減、親会社株主に帰属する四半期純利益は25.3%減です。
- 売上高の増減額: 前年同期から2億円増。パッケージング・紙加工事業で加工紙の販売数量が増えました。
- 営業利益の増減額: 前年同期から25億74百万円減。売上総利益が27億21百万円減った一方、販売費及び一般管理費は1億48百万円減りました。
- 経常利益の増減額: 前年同期から19億8百万円減。受取配当金などの営業外収益は増えましたが、営業利益の落ち込みを補えませんでした。
- 純利益の増減額: 前年同期から5億52百万円減。リース債務免除益11億33百万円を特別利益に計上した一方、投資有価証券評価損7億21百万円なども発生しました。
売上高の伸びに対し、原燃料価格の上昇や海外子会社でのパルプ価格下落が利益を圧迫しました。売上総利益の減少幅が営業利益の減少額を上回っており、コスト上昇を販売価格や商品構成で吸収しきれていない状況がうかがえます。今後は、原燃料価格の動向と、販売数量の増加を利益につなげられるかが重要です。
セグメント別動向
セグメントでは、売上高の大半を占める紙パルプ事業の利益が大きく落ち込みました。木材事業は小規模ながら増収増益を確保し、事業ごとの収益動向に差が出ています。
紙パルプ事業は売上高が前年同期比0.3%減の655億58百万円、営業利益は84.6%減の4億49百万円でした。中東情勢の緊迫化に伴う原燃料高に加え、海外子会社でパルプ価格が下落し、減収減益となりました。
パッケージング・紙加工事業は売上高が3.5%増の44億52百万円でした。加工紙の販売数量が増えたものの、物流費の高騰で営業利益は36.5%減の37百万円となりました。
木材事業は売上高が4.4%増の13億25百万円、営業利益が0.9%増の88百万円でした。バイオマスボイラー向け燃料チップの販売が好調で、増収増益を確保しました。
その他は建設業、運送・倉庫業、古紙卸業などで構成されます。建設業の外部受注増で売上高は22.5%増の12億21百万円となりましたが、運送・倉庫業のコスト増が響き、営業利益は28.9%減の96百万円でした。当期から木材事業を独立した報告セグメントとしており、前年同期の比較も変更後の区分で示されています。
- 紙パルプ-84.6%
- パッケージ-36.5%
- 木材+0.9%
- その他-28.9%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 紙パルプ事業 | 656億円 | 90% | 4億円 | 0.7% |
| パッケージング・紙加工事業 | 45億円 | 6% | 37百万円 | 0.8% |
| 木材事業 | 13億円 | 2% | 88百万円 | 6.6% |
| その他 | 12億円 | 2% | 96百万円 | 7.9% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末から46億50百万円減少し、自己資本比率は60.1%と前期末から0.2ポイント上昇しました。キャッシュ・フロー計算書は第1四半期に作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュフローの実績は開示されていません。
| 指標 | 2026年6月末など | 前期末・前期比 |
|---|---|---|
| 総資産 | 4,159億24百万円 | 46億50百万円減 |
| 純資産 | 2,507億47百万円 | 19億99百万円減 |
| 自己資本比率 | 60.1% | 0.2ポイント上昇 |
| 年間配当予想 | 26円 | 前期と同額 |
| 有利子負債 | 増加 | 83億27百万円増 |
- 配当: 中間配当13円、期末配当13円の予想を維持し、年間配当は前期と同じ26円です。
- 社債発行: 7月24日に総額250億円、利率年2.093%、期間3年の無担保社債を発行しました。資金使途は社債の償還資金です。
- 自社株買い: 今回の短信に自社株買いの実施・決定に関する記載はありません。
現金及び預金は前期末から50億69百万円減少し、有利子負債は増加しました。自己資本比率は6割を保っていますが、利益の落ち込みが続く場合は、原燃料費や物流費を吸収する収益力と、借入・社債を含む資金調達の状況が引き続き注目されます。
通期見通し
北越は、2026年5月15日に公表した2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。通期売上高は前期比6.0%増を見込む一方、営業利益は60.2%減、純利益は31.5%減の計画です。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 2026年3月期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 305,000 | 305,000 | 251,816 |
| 営業利益(百万円) | 3,000 | 3,000 | 記載なし |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 5,000 | 5,000 | 記載なし |
予想に修正はなく、会社は第1四半期の減益を受けても年間計画を変えていません。第2四半期累計の予想は売上高1,500億円、営業損失・経常損失・純損失がそれぞれ10億円です。通期計画の達成には、下期に利益を積み上げる必要があり、原燃料高や海外子会社のパルプ価格下落の影響がどの程度和らぐかがポイントです。
リスクと課題
利益を押し下げたコストや価格の変動は、通期業績にも影響する可能性があります。売上数量の回復だけでなく、価格・コスト両面で採算を確保できるかが課題です。
- 原燃料価格の上昇: 中東情勢の緊迫化などで原燃料価格が高止まりすれば、紙パルプ事業を中心に製造コストが増え、利益を圧迫します。
- 海外パルプ価格の下落: 海外子会社のパルプ価格が低下すると、販売環境や収益性に影響します。価格の下落が続く場合、紙パルプ事業の回復を遅らせるおそれがあります。
- 物流費の上昇: パッケージング・紙加工事業や運送・倉庫業では物流費の高騰が減益要因となっており、コスト増を販売価格に転嫁できるかが焦点です。
- 通期計画の達成: 第1四半期は営業利益が大幅減となりましたが、会社は予想を据え置きました。下期に向けた収益回復が想定を下回れば、業績予想の達成に影響する可能性があります。
- 資金調達と金利負担: 有利子負債が増加しており、新たに発行した社債の利率は年2.093%です。借入金利や借換え条件の変化は、今後の金融費用に影響し得ます。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
912円
最新終値(2026/10/23)
836円-8.3%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#北越#決算#決算分析#四半期決算#製紙業界#原燃料価格#紙パルプ事業#配当
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
今回の決算は、売上高を維持しても利益が大きく減る、製紙業のコスト感応度が表れた内容です。加工紙の販売増や木材事業の伸びは明るい材料ですが、利益の柱である紙パルプ事業の回復がなければ、全社の収益改善にはつながりにくいでしょう。
会社は通期予想を据え置きましたが、第1四半期の営業利益は前年同期を大きく下回りました。投資家は原燃料価格と海外パルプ市況の変化に加え、下期の利益計画に対して進捗が追いつくかを確認したいところです。就職活動中の学生にとっては、主力の紙パルプだけでなく、加工紙やバイオマス燃料チップなど複数の事業を持つ点も企業研究の材料になります。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/hokuetsu/report/2027-Q1
関連記事
製紙・紙流通の最新記事
掲載企業

北越コーポレーション株式会社
東証 3865
これが最新の決算解説です









