業界ダイジェスト
株式会社堀場製作所 の会社詳細
株式会社堀場製作所
堀場製作所
2026年12月期 第1四半期

堀場製作所・2026年12月期Q1、営業利益6.2%増の124億円——AI半導体需要が牽引、通期予想を大幅上方修正

増収増益
上方修正
半導体関連
AI需要
HV回帰
円安メリット
配当増額
製造装置
京都企業
第1四半期累計期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

845億円

+17.6%

通期予想

3,730億円

進捗率23%

営業利益

125億円

+6.2%

通期予想

680億円

進捗率18%

純利益

87億円

+6.7%

通期予想

485億円

進捗率18%

営業利益率

14.8%

分析機器大手の堀場製作所が発表した2026年12月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比 17.6%増845億2,900万円 、営業利益が同 6.2%増124億8,000万円 と増収増益を達成しました。AI・データセンター向けの 先端半導体需要 や、ハイブリッド車(HV)への回帰に伴う計測需要が業績を押し上げました。足元の好調な受注動向と為替の円安進行を踏まえ、通期の営業利益予想を従来比 120億円増680億円 へと大幅に上方修正しています。

業績のポイント

当第1四半期の連結業績は、売上高が 845億2,900万円 (前年同期比 +17.6% )、営業利益が 124億8,000万円 (同 +6.2% )となり、第1四半期として堅調な滑り出しを見せました。主力の半導体事業においてAI市場の拡大が追い風となったほか、自動車業界でのEVシフト鈍化に伴う「HV向け燃焼計測需要」の再燃が追い風となりました。

利益面では、円安の進行が欧州など海外売上高を押し上げるプラス要因となった一方で、先端材料・半導体フィールドにおける 新工場(福知山)の稼働に伴う経費増加 や研究開発投資の加速が重石となりました。しかし、売上高の伸びがコスト増を吸収し、最終的な親会社株主に帰属する四半期純利益は 86億5,600万円 (同 +6.7% )と、前年を上回る着地となっています。

項目2025年12月期 Q12026年12月期 Q1前年同期比
売上高71,877百万円84,529百万円+17.6%
営業利益11,755百万円12,480百万円+6.2%
経常利益11,629百万円12,733百万円+9.5%
四半期純利益8,113百万円8,656百万円+6.7%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

各セグメントは市場環境の変化を色濃く反映した結果となりました。特に 先端材料・半導体フィールド は、AI・データセンター投資の活発化を受け、アジアを中心に半導体製造装置メーカー向けの販売が急伸しました。売上高は 441億6,200万円 (同 +18.8% )と大幅増収を記録した一方、利益面では先行投資負担により 114億3,300万円 (同 2.6%減 )と微減となりましたが、依然としてグループ全体の収益を牽引する柱となっています。

エネルギー・環境フィールド は、世界的なEV需要の伸び悩みと「EVシフトの緩やかさ」が追い風に転じました。ハイブリッド車(HV)開発に向けた燃焼計測システムの需要が予想以上に増加したことで、売上高は 304億9,600万円 (同 +18.0% )、営業利益は 17億1,400万円 (同 127.4%増 )と劇的な改善を見せました。

バイオ・ヘルスケアフィールド は、欧州での血球計数装置の販売が好調で、売上高は 98億7,100万円 (同 +11.5% )に伸びました。依然としてライフサイエンス領域への投資継続により 6億6,700万円の営業損失 となっていますが、前年同期(7億3,400万円の損失)からは赤字幅が縮小しており、収益化に向けた足固めが進んでいます。

セグメント名売上高 (YoY)営業利益 (YoY)利益率
先端材料・半導体44,162百万円 (+18.8%)11,433百万円 (△2.6%)25.8%
エネルギー・環境30,496百万円 (+18.0%)1,714百万円 (+127.4%)5.6%
バイオ・ヘルスケア9,871百万円 (+11.5%)△667百万円 (—)-
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
先端材料・半導体442億円52%114億円25.8%
エネルギー・環境305億円36%17億円5.6%
バイオ・ヘルスケア99億円12%-667百万円-6.7%

財務状況と資本政策

総資産は前期末比 62億8,800万円減5,119億9,100万円 となりました。これは主に配当金の支払いや借入金の返済により、現金及び預金が減少したことによるものです。一方で、将来の成長に向けた「建物及び構築物」は福知山の新工場建設等により増加しており、資産の質を成長分野へシフトさせる姿勢が鮮明です。

自己資本比率は 67.2% と前期末から0.1ポイント改善し、極めて強固な財務基盤を維持しています。株主還元については、今期の年間配当予想を 490円 (前期実績450円)に据え置いており、好調な業績を背景に 増配方針 を堅持しています。第2四半期末配当は150円、期末配当は340円を見込んでいます。

通期見通しの上方修正

同社は決算発表と同時に、2026年12月期通期の業績予想を上方修正しました。主因は、先端材料・半導体分野での受注増と、為替前提を1ドル=145円から 155円 へ、1ユーロ=175円から 180円 へと円安方向に変更したことです。売上高は従来予想から 280億円上積み し、営業利益も 120億円の大幅な上方修正 を行っています。

項目前回予想今回修正前期実績
売上高3,450億円3,730億円3,330億円
営業利益560億円680億円530億円
親会社株主純利益405億円485億円370億円

修正後の通期予想では、売上高・営業利益ともに 過去最高更新 を視野に入れた野心的な計画となっています。特に先端半導体分野の利益予想を120億円上積みしたことは、AI市場の拡大に対する強い自信の表れと言えます。

リスクと課題

業績は絶好調と言える状況ですが、いくつかのリスク要因も散見されます。第一に、為替感応度が高い同社にとって、急激な円高局面への転換は業績下押し要因となります。第二に、エネルギー分野でのHV回帰は一時的な揺り戻しの可能性もあり、中長期的なEV市場の再加速に対する戦略的準備が欠かせません。

また、先端材料・半導体分野では新工場の立ち上げコストが先行しており、今後いかに稼働率を高め、マージンを改善させていくかが焦点となります。バイオ分野についても、依然として赤字が継続していることから、ライフサイエンス領域での早期の黒字化に向けた構造改革の進捗が注視されます。

AIアナリストの視点

堀場製作所の今回の決算は、まさに「市場の変化を味方につけた」内容です。

  • 強み: 世の中が「EV一本足打刀」から「HV併用」へ揺り戻したことで、同社の強みである内燃機関向け計測器が息を吹き返しました。AI半導体需要の波にも乗り、ポートフォリオの多角化が完璧に機能しています。
  • 懸念点: セグメント利益を見ると、半導体フィールドの利益率が若干低下傾向にあるのが気になります。新工場への投資という「将来への布石」が要因ですが、競合他社との差別化を継続し、価格決定力を維持できるかが重要です。
  • 注目ポイント: 通期予想の修正幅が非常に大きく、第1四半期時点でここまで強気に出られるのは、相当強い受注残を抱えている証拠でしょう。就活生にとっても、ニッチトップの技術を持ちながら柔軟に戦略を変えられる「しなやかな強さ」を持つ企業として魅力的に映るはずです。