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株式会社メルカリ の会社詳細
株式会社メルカリ
メルカリ
2026年6月期 第3四半期

メルカリ・2026年6月期Q3、コア営業利益74.5%増の348億円——米国事業の黒字化と国内Fintechが牽引、通期予想を上方修正

メルカリ
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上方修正
黒字転換
米国事業
Fintech
メルカード
越境EC
増収増益
決算レポート
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1,673億円

+16.1%

通期予想

2,200億円

進捗率76%

営業利益

345億円

+69.7%

通期予想

400億円

進捗率86%

純利益

194億円

+65.6%

営業利益率

20.6%

株式会社メルカリが発表した2026年6月期第3四半期(2025年7月〜2026年3月)決算は、売上収益が前年同期比 16.1%増1,672億円 、コア営業利益が同 74.5%増348億円 と大幅な増収増益を記録した。国内での「メルカード」普及に伴うFintech事業の急成長に加え、長年の課題であった米国事業(USセグメント)の黒字化が利益を大きく押し上げた。足元の好調な業績進捗を踏まえ、同社は通期の業績予想を上方修正している。

トーク

メルカリ 2026年6月期 第3四半期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

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業績のポイント

メルカリの2026年6月期第3四半期決算は、主力とする国内フリマアプリの安定成長と、金融・米国事業の収益性改善が際立つ内容となった。売上収益は 1,672億9,100万円(前年同期比+16.1%) に達し、営業利益は 345億1,800万円(同+69.7%) 、親会社の所有者に帰属する四半期利益は 194億3,100万円(同+65.6%) となった。

利益面で特筆すべきは、同社が経営指標として重視するコア営業利益の伸びだ。前年同期の199億円から 348億7,600万円(同+74.5%) へと急拡大した。この背景には、第3四半期において大型のマーケティング投資を抑制したことや、Fintech事業におけるAIを活用した与信モデルの精度向上が寄与している。また、これまで先行投資による赤字が続いていた米国事業がセグメント利益で黒字に転じたことは、同社のグローバル戦略における大きな転換点といえる。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

国内事業を統括する「Japan Business」セグメントは、売上収益 1,313億8,000万円(前年同期比+17.5%) 、セグメント利益 399億8,500万円(同+52.8%) と極めて高い収益性を維持した。マーケットプレイス部門では、エンタメ・ホビーカテゴリーの好調や越境取引の強化が奏功し、流通取引総額(GMV)は前年同期比 11.0%増9,394億円 となった。出品・購入の両面でユーザーの定着が進んでいる。

同セグメント内のFintech事業も躍進が続いている。クレジットカード「メルカード」の会員獲得が順調に進むなか、独自のAI与信を活用した「メルペイのあと払い」等の債権残高は前年同期比 45.0%増3,281億円 にまで拡大した。与信コントロールも徹底されており、回収率は 99.4% という高い水準を維持している。投資フェーズにありながら、売上高の伸長が投資コストを上回り、利益貢献が始まっている。

セグメント名売上収益前年同期比セグメント利益前年同期比
Japan Business1,313億円+17.5%399億円+52.8%
US303億円+9.2%11億円黒字転換

「US」セグメントは、売上収益 303億8,000万円(同+9.2%) となり、セグメント利益は前年の5,000万円の損失から 11億8,700万円の黒字 へと転換した。米国市場ではインフレによる節約志向の高まりを背景に、期間限定の送料値引きキャンペーンなどが新規ユーザーの獲得に繋がった。投資規律を厳守した運用により、成長を維持しながら収益性を確保するフェーズに移行している。

セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
Japan Business1,314億円79%400億円30.4%
US304億円18%12億円3.9%

財務状況と資本政策

当第3四半期末の総資産は、前連結会計年度末比で 1,300億円増加 し、 6,737億6,300万円 となった。主な要因は、Fintech事業の拡大に伴う「営業債権及びその他の債権」が 830億円増加 したことや、金銭の信託などの金融資産が増えたことによるものだ。資産規模の拡大に合わせて、社債の発行や借入金による資金調達も積極的に行っており、流動性の確保に注力している。

自己資本比率は 17.8% と前年末(18.3%)から微減したが、利益剰余金が 164億円 とプラスに転じるなど、財務基盤の健全化は着実に進んでいる。なお、配当については「将来の事業拡大のための内部留保」を優先する方針から、当期も無配を継続する。調達した資金は、引き続き国内・米国のさらなる成長投資や、新規事業の育成に充当される見通しだ。

通期見通しと戦略トピック

好調な第3四半期実績を受け、メルカリは2026年6月期の通期連結業績予想を上方修正した。修正後の売上収益は前期比 14.2%増2,200億円 、コア営業利益は同 45.1%増400億円 を見込む。第3四半期までの利益進捗率が極めて高いが、第4四半期(4-6月期)には、来期以降のさらなる成長に向けた大型の広告宣伝投資やシステム投資を集中させる計画であるため、通期予想は一定の保守性を残した形となっている。

項目前回予想今回修正前期実績
売上収益2,100億円2,200億円1,926億円
コア営業利益350億円400億円275億円

今後の戦略としては、日本国内での「メルカリ」エコシステムの更なる深化に加え、「メルカリ ハロ(お仕事紹介)」などの新規事業への投資が注目される。マーケットプレイスとFintechを掛け合わせた独自の経済圏を、いかに生活のあらゆる場面に浸透させられるかが、次なる成長ステージへの鍵となる。

リスクと課題

  • 投資の季節性: 第4四半期に成長投資を集中させる方針であるため、一時的に利益率が低下するリスクがある。
  • 与信コストの上昇: 金融事業の拡大に伴い、景気後退局面では延滞率の上昇や貸倒引当金の増加が収益を圧迫する可能性がある。
  • 為替変動リスク: 米国事業の業績は円安進行により円建てでの見栄えは良くなる反面、現地でのコスト増を招く側面がある。
  • 競争環境の激化: 国内外のCtoC EC市場において、他プラットフォーマーや特化型アプリとの競合がユーザー獲得コストの上昇を招く恐れがある。
AIアナリストの視点

今回の決算で最も注目すべきは、米国事業(US)がセグメント黒字を達成したことです。長らくメルカリの「アキレス腱」とされてきた米国市場において、投資規律を守りながら利益を捻出できる体制を整えたことは、マーケットから高く評価されるでしょう。

一方で、第3四半期までの利益が通期予想(400億円)に対して348億円と進捗率約87%に達している点は興味深いポイントです。これは、4Q(4-6月)に約50億円程度の利益しか見込んでいないことを意味し、会社側が4Qに相当規模の成長投資(マーケティング等)を投下する準備を進めていることを示唆しています。

投資家としては、4Qに実行される投資が来期のGMV成長率をどれだけ押し上げるか、またFintech事業がどこまで高収益な柱として成長し続けるかが、今後の株価を左右する焦点になるでしょう。