コナミグループ・2026年3月期通期、純利益33.9%増の1,000億円で過去最高更新——主力IP新作と運営型タイトルの二段構えで成長加速
売上高
4,937億円
+17.1%
通期予想
5,050億円
営業利益
1,359億円
+33.3%
通期予想
1,430億円
純利益
1,000億円
+33.9%
通期予想
1,010億円
営業利益率
27.5%
コナミグループは5月8日、2026年3月期通期連結決算を発表した。売上高は前年同期比 17.1% 増の 4,936億7,700万円 、親会社の所有者に帰属する当期利益は同 33.9% 増の 1,000億1,300万円 となり、主要全指標で3期連続の過去最高更新を成し遂げた。デジタルエンタテインメント事業における世界的IPの新作ヒットに加え、継続的なライブサービス運営が収益基盤を強固にしたことが大幅増益に寄与している。
コナミグループ 2026年3月期 通期決算
さくら × けんじ の対話形式解説
業績のポイント
当連結会計年度の業績は、主要なすべての経営指標において過去最高の数値を更新する記録的な決算となった。売上高は 4,936億7,700万円 (前年比 +17.1% )、本業の儲けを示す事業利益は 1,435億8,300万円 (同 +31.6% )、営業利益は 1,358億9,100万円 (同 +33.3% )といずれも大幅な増収増益を達成している。国内市場では雇用・所得環境の改善により緩やかな回復傾向が続いた一方、世界経済の不透明感は残るものの、当社の主力コンテンツが高い支持を得たことが追い風となった。
利益面の大幅な伸長は、売上高営業利益率が前期の 24.2% から 27.5% へと大きく向上した点に現れている。これは高利益率なデジタルコンテンツの売上構成比が高まったことや、運営型タイトルの効率的な運用が奏功した結果といえる。親会社株主に帰属する当期利益も 1,000億1,300万円 (同 +33.9% )と大台に乗り、株主還元と成長投資の両立に向けた強固な収益基盤が示された。就職活動中の学生にとっても、日本を代表するエンタテインメント企業としての安定感と成長性が鮮明になった決算といえる。
| 指標 | 前期実績 (2025.3) | 当期実績 (2026.3) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,216億円 | 4,937億円 | +17.1% |
| 事業利益 | 1,091億円 | 1,436億円 | +31.6% |
| 営業利益 | 1,019億円 | 1,359億円 | +33.3% |
| 当期利益 | 747億円 | 1,000億円 | +33.9% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力事業であるデジタルエンタテインメント事業は、売上高 3,709億5,000万円 (前年比 +21.5% )、事業利益 1,360億600万円 (同 +37.5% )と、グループ全体の成長を力強く牽引した。新作面では「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER」が世界累計出荷 200万本 を突破し、「SILENT HILL f」も国内外で高い評価を獲得した。加えて「eFootball™」や「プロ野球スピリッツA」といった定番の運営型タイトルが安定した収益を継続しており、「新作ヒット×長期的運営」のハイブリッド戦略が結実している。
一方で、ゲーミング&システム事業は売上高 430億7,700万円 (前年比 +1.0% )と横ばいながら、事業利益は 36億5,000万円 (同 50.4%減 )と苦戦を強いられた。これは北米市場等における新筐体「Solstice™」の発売を控えた買い控えの影響や、米国の関税措置によるコスト増が直撃したためである。カジノマネジメントシステムの導入数は拡大しており、次期以降の新筐体投入による反転攻勢が課題となる。
スポーツ事業は売上高 494億8,400万円 (前年比 +1.9% )、事業利益 34億1,100万円 (同 +52.9% )と大幅な増益を達成した。物価高騰によるコスト増の影響を受けつつも、新規に32店舗を展開したピラティススタジオ「Pilates Mirror」などの新業態が好調に推移している。また、学校水泳授業の受託などの資産を持たないアセットライトなビジネスモデルへの転換が進み、利益率の改善に大きく貢献した。
| セグメント | 売上高 | 前年比 | 事業利益 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| デジタルエンタテインメント | 3,710億円 | +21.5% | 1,360億円 | +37.5% |
| アーケードゲーム | 264億円 | +9.6% | 68億円 | +4.8% |
| ゲーミング&システム | 431億円 | +1.0% | 37億円 | △50.4% |
| スポーツ | 495億円 | +1.9% | 34億円 | +52.9% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| デジタルエンタテインメント事業 | 3,710億円 | 75% | 1,360億円 | 36.7% |
| アーケードゲーム事業 | 264億円 | 5% | 68億円 | 25.7% |
| ゲーミング&システム事業 | 431億円 | 9% | 37億円 | 8.5% |
| スポーツ事業 | 495億円 | 10% | 34億円 | 6.9% |
財務状況と資本政策
当連結会計年度末の総資産は、前期末比837億円増の 7,487億6,500万円 となった。主な増加要因は、営業活動によるキャッシュ・フローの収入増に伴う現金及び現金同等物の増加(333億円増)や、有明の新拠点「コナミクリエイティブフロント東京ベイ」の竣工に伴う有形固定資産の増加である。自己資本比率は前期の72.5%から 75.4% へと上昇し、極めて健全な財務体質を維持している。
株主還元については、連結配当性向30%以上を目処とする方針を継続している。これに基づき、2026年3月期の年間配当は前期の165.50円から大幅増配となる 221.50円 (中間83.00円、期末138.50円)を決定した。次期についても年間 224.00円 の配当を予想しており、利益成長に合わせた安定的な還元姿勢を示している。キャッシュ・フロー面でも営業CFが 1,356億6,400万円 と潤沢であり、社債の償還(200億円)を進めつつ、将来の成長に向けたR&Dや設備投資への余力も十分に確保されている。
通期見通し
2027年3月期の連結業績について、売上高 5,050億円 (前年比 +2.3% )、営業利益 1,430億円 (同 +5.2% )と、さらなる増収増益を見込んでいる。デジタルエンタテインメント事業において「メタルギア」や「サイレントヒル」シリーズの続報が期待されるほか、eスポーツの世界大会開催によるファン層の拡大を目指す。また、次世代ゲーム機に向けたタイトル開発も鋭意進行中であり、中長期的な成長の種まきを継続する。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 (2027.3) | 前期実績 (2026.3) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | - | 5,050億円 | 4,937億円 |
| 営業利益 | - | 1,430億円 | 1,359億円 |
| 純利益 | - | 1,010億円 | 1,000億円 |
| 1株利益 | - | 745.08円 | 737.80円 |
リスクと課題
好調な業績の裏で、同社はいくつかのリスク要因を挙げている。第一に、世界経済における中東情勢の影響や金融市場の変動、米国の通商政策による不透明感である。特にゲーミング事業における関税の影響は利益を圧迫する要因となる。第二に、為替レートの変動リスクである。海外売上高比率が高まる中で、対ドル・対ユーロでの円の動きは、外貨建て資産の換算や輸出採算に直接的な影響を及ぼす。第三に、エンタテインメント業界特有のトレンドの変化が挙げられる。ユーザーの嗜好が多様化する中で、有力IPの鮮度維持と新規タイトルの創出を両立し続ける高度な経営判断が常に求められている。
今回の決算は、コナミグループが持つ「IPの資産価値」が最大限に発揮された内容といえます。特にデジタルエンタテインメント事業の利益率の高さは驚異的で、運営型タイトル(ライブサービス)が月額課金のように安定したキャッシュを生み出し、その利益を新作(プレミアムタイトル)の開発に再投資する好循環が確立されています。
懸念点としては、ゲーミング&システム事業の減益ですが、これは新製品投入前の端境期(はざかいき)や外部的な関税要因が主因であり、一過性の側面が強いと判断できます。むしろ、スポーツ事業が「アセットライト化(施設を持たない受託や小規模店舗へのシフト)」によって利益体質を改善させたことは、経営の多角化における大きな成果です。
就活生にとっては、従来の「ゲーム会社」という枠を超え、IT、eスポーツ、健康サービス、そして国際的なゲーミング機器メーカーという多面的な顔を持つ企業として、非常に魅力的なフェーズにあると言えるでしょう。今後は次世代ハードウェアへの対応と、世界的IPの継続的なリリースサイクルが維持できるかが焦点となります。
