円谷フィールズHD・2026年3月期Q3、純利益2.1倍の134億円——遊技機事業が空前の好調、通期予想を既に超過
売上高
1,546億円
+58.2%
通期予想
1,700億円
営業利益
185億円
+97.3%
通期予想
180億円
純利益
134億円
+109.2%
通期予想
128億円
営業利益率
12.0%
円谷フィールズホールディングスが発表した2026年3月期第3四半期(4-12月)連結決算は、売上高が前年同期比 58.2%増 の 1,546億17百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同 109.2%増 の 134億39百万円 と大幅な増収増益を記録した。主力のアミューズメント機器事業において『新世紀エヴァンゲリオン』などの有力IP(知的財産)搭載機が空前のヒットとなり、販売台数が前年比で約2倍に急増したことが業績を大きく押し上げた。グループ全体では 通期の利益計画を第3四半期時点で既に超過 しており、極めて好調な進捗を見せている。
業績のポイント
当第3四半期累計期間の業績は、売上高が 1,546億17百万円(前年同期比 +58.2%)、営業利益が 185億31百万円(同 +97.3%)となった。前年同期の減収減益から一転し、過去最高水準の業績を維持している。この躍進を支えたのは、遊技機市場における 圧倒的な商品競争力 だ。有力IPを活用したパチンコ・パチスロ機が市場で高い支持を受け、販売台数は前年同期の13.1万台から 25.5万台(同 +93.8%)へと倍増した。
一方で、円谷プロダクションを中心とするコンテンツ事業は、中国市場でのライセンス収入が端境期に入ったことや、前年同期のヒット作『グリッドマン』の反動減により、売上高 107億62百万円(同 -16.4%)、営業利益 9億22百万円(同 -67.0%)と足踏み状態となった。しかし、10月に1周年を迎えた「ウルトラマンカードゲーム」が国内外で好調な滑り出しを見せるなど、収益源の多角化 に向けた布石を着実に打っている。
| 項目 | 2025年3月期 Q3 | 2026年3月期 Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 977億円 | 1,546億円 | +58.2% |
| 営業利益 | 93億円 | 185億円 | +97.3% |
| 経常利益 | 107億円 | 189億円 | +76.0% |
| 四半期純利益 | 64億円 | 134億円 | +109.2% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
アミューズメント機器事業は、売上高 1,429億74百万円(前年同期比 +70.0%)、営業利益 201億53百万円(同 +135.1%)と驚異的な伸びを見せた。12月に投入した『e 新世紀エヴァンゲリオン ~はじまりの記憶~』がテレビCMやSNSを駆使した積極的なプロモーションにより大ヒットしたほか、『L 東京喰種』の増産対応も収益に寄与した。同社調べによる市場シェアは約 20.3% に達しており、業界内での存在感を一段と強めている。
コンテンツ&デジタル事業は、売上高 107億62百万円(同 -16.4%)、営業利益 9億22百万円(同 -67.0%)となった。内訳を見ると、中国市場におけるライセンス収入が 20億73百万円(同 -53.0%)と大きく落ち込んだことが響いた。これは主力商品の入れ替え時期が重なったことによる一時的な要因が大きい。一方で、MD(物販)収入は 11億25百万円(同 +12.4%)と増加傾向にあり、特に「ウルトラマンカードゲーム」の新作投入が国内外で好調を維持している。映像・イベント収入も、隔年開催の大規模イベント『TSUBURAYA CONVENTION 2025』等の動員増により、22億39百万円(同 +2.8%)と堅調に推移した。
| セグメント名 | 売上高 (前年比) | 営業利益 (前年比) | 備考 |
|---|---|---|---|
| アミューズメント機器 | 1,429億円 (+70.0%) | 201億円 (+135.1%) | エヴァ、東京喰種等が大ヒット |
| コンテンツ&デジタル | 107億円 (-16.4%) | 9億円 (-67.0%) | 中国ライセンスの端境期影響 |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| アミューズメント機器事業 | 1,430億円 | 93% | 202億円 | 14.1% |
| コンテンツ&デジタル事業 | 108億円 | 7% | 9億円 | 8.6% |
財務状況と資本政策
資産合計は前期末比 428億12百万円増 の 1,417億66百万円 となった。これは好調な販売に伴う売掛金の増加や、現金及び預金の積み上がりが主な要因である。一方で、仕入債務の増加により負債も 319億39百万円増 の 746億45百万円 となったが、自己資本比率は 43.6% を維持しており、成長投資と財務の健全性を両立させている。
配当については、期末配当 50円(年間 50円)とする従来予想を据え置いた。利益の積み上がりにより、純資産は前期末比 108億73百万円増 の 671億21百万円 に拡大している。同社はダイコク電機との業務提携を通じて、AIを活用したホール運営支援やIPの相互活用を進めており、キャッシュフローを次なる成長エンジンへの投資 に充てる方針を鮮明にしている。
通期見通し
2026年3月期の通期連結業績予想については、前回発表の数値を据え置いた。しかし、第3四半期時点の営業利益(185億円)は、既に 通期計画(180億円)を上回る 水準に達している。会社側は、第4四半期に向けた販売も堅調に推移していると言及しており、期末に向けたさらなる上積みが期待される。ただし、中国市場における不透明な政治情勢や、エンターテインメント市場の環境変化を注視し、現時点では慎重な見通しを維持している。
| 項目 | 前回予想 | 通期実績(前期) | 進捗率(Q3時点) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,700億円 | 1,406億円 | 90.9% |
| 営業利益 | 180億円 | 152億円 | 102.9% |
| 親会社株主純利益 | 128億円 | 111億円 | 105.0% |
リスクと課題
経営上の主要なリスクとして、以下の要因を挙げている。
- 中国市場の不確実性: 中国本土における日本関連コンテンツへの許認可運用や、政治情勢に伴う公演中止・延期等のリスク。これに対し、地域分散によるポートフォリオの安定化を図る方針である。
- ヒット商品の端境期: コンテンツ事業における特定タイトルの反動減。カードゲームやブロック玩具など、継続的な収益を生む商品ラインアップの刷新が急務となっている。
- 規制環境の変化: 遊技機事業における型式試験の状況や規制動向。有力IPの取得と開発力の維持が競争力の源泉となる。
今回の決算で最も注目すべきは、アミューズメント機器事業の圧倒的な「稼ぐ力」です。パチンコ・パチスロ市場がスマート機の普及で活性化する中、エヴァ等の超強力IPを独占的に扱える強みが業績に直結しています。
一方で、コンテンツ事業(円谷プロ)の中国での苦戦は懸念材料です。前年比で利益が3分の1以下に縮小したことは、IPビジネスが政治情勢やヒットの波に左右されやすいことを改めて浮き彫りにしました。ただし、自社IPを活用したカードゲームが国内外で伸びている点は、ライセンス供与頼みから脱却する「自社展開モデル」への進化として高く評価できます。
数値上は既に通期計画を達成しており、事実上の「上方修正待ち」の状態と言えます。第4四半期にどれだけ利益を積み増せるか、またダイコク電機との提携が次期以降の収益にどう具体化してくるかが今後の焦点となるでしょう。
