みずほリース・2026年3月期通期、売上高32%増の9,215億円で過去最高——不動産売却が寄与、純利益も13%増
売上高
9,216億円
+32.5%
営業利益
447億円
-8.8%
通期予想
400億円
純利益
476億円
+13.3%
通期予想
520億円
営業利益率
4.8%
みずほリースが発表した2026年3月期通期決算は、売上高が前期比 32.5%増 の 9,215億円 となり、過去最高を更新しました。大口の不動産案件における物件売却が大幅な増収に寄与した一方、人件費や物件費の増加により営業利益は 446億円 (前期比 8.8%減 )に留まりました。しかし、持分法投資利益の拡大を背景に、親会社株主に帰属する当期純利益は 476億円 (同 13.3%増 )を確保し、増益を達成しています。併せて、みずほフィナンシャルグループとの資本業務提携の深化も発表され、攻めの姿勢が鮮明となっています。
業績のポイント
当連結会計年度の業績は、不動産関連の大型案件が実を結び、売上高が 921,592百万円 (前期比 +32.5% )と急拡大しました。これは「中期経営計画2025」で掲げた資産回転型モデルが奏功し、大口不動産案件の満了に伴う売却が利益の源泉となったためです。
一方で、利益面では外部環境の影響が色濃く出ました。営業利益は 44,674百万円 (前期比 △8.8% )と減益となりましたが、これは積極的な事業展開に伴う人件費の増加や物件費の上昇が主因です。また、国内外の金利上昇局面において資金原価が増加したことも利益を押し下げる要因となりました。
最終的な純利益が 47,609百万円 (前期比 +13.3% )と過去最高益水準となった背景には、持分法投資損益の改善があります。特に航空機リース事業を手掛けるAircastle Limitedなどが好調に推移し、持分法による投資利益は 22,464百万円 (前期は 18,008百万円 )にまで拡大し、本業の営業減益を十分にカバーしました。
業績推移(通期)
セグメント別動向
主軸のリース・割賦事業は、売上高が大幅に伸長した一方で、コスト増が課題となりました。不動産案件の売却によりセグメント売上高は大きく伸びましたが、契約実行高は 9,446億円 (前期比 1.3%減 )と横ばい圏内で推移しました。人件費や物件費の増加を吸収しきれず、セグメント利益は 26,851百万円 (前期比 5.3%減 )となりました。
ファイナンス事業では、不動産や航空機分野への注力を継続しました。契約実行高は 1兆316億円 (前期比 26.6%増 )と非常に力強く成長し、営業資産残高も積み上がっています。しかし、支払利息の増加による資金原価の押し上げが響き、セグメント利益は 17,010百万円 (前期比 28.6%減 )と苦戦を強いられました。
その他事業については、再生可能エネルギー発電事業や中古物件売買が寄与し、着実な成長を見せました。セグメント利益は 1,933百万円 (前期比 37.8%増 )と高い伸び率を記録しています。太陽光発電などの環境エネルギー分野が収益基盤として定着しつつあります。
| セグメント名 | 売上高(百万円) | 利益(百万円) | 前年同期比(利益) |
|---|---|---|---|
| リース・割賦 | 863,595 | 26,851 | △5.3% |
| ファイナンス | 45,326 | 17,010 | △28.6% |
| その他 | 14,765 | 1,933 | +37.8% |
| 調整額 | △2,094 | △1,121 | --- |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| リース・割賦 | 8,636億円 | 94% | 269億円 | 3.1% |
| ファイナンス | 453億円 | 5% | 170億円 | 37.5% |
| その他 | 148億円 | 1% | 19億円 | 13.1% |
財務状況と資本政策
総資産は前期末から 2,771億円 増加し、 4兆1,752億円 となりました。航空機リースや不動産分野への積極的な投資により、営業資産残高が 3兆3,998億円 (前期末比 3.6%増 )に拡大したことが要因です。自己資本比率は 10.3% と、前期末の 9.8% から改善し、財務基盤の強化が進んでいます。
株主還元については、累進的な配当方針を継続しています。2026年3月期の年間配当は、当初予想から3円増額し 51.00円 (前期実績比4円増)としました。配当性向は 30.0% となり、利益成長を適切に株主に還元する姿勢を示しています。
また、特筆すべきトピックとして、株式会社みずほフィナンシャルグループとの資本業務提携の深化が挙げられます。第三者割当による種類株式の発行等を通じて連携を強固にし、みずほグループの顧客基盤をより深く活用することで、次期以降の成長加速を狙う経営判断を下しました。
通期見通し
2027年3月期の通期連結業績予想は、純利益でさらなる最高益更新を見込んでいます。営業利益は 400億円 (前期比 10.5%減 )と保守的な見通しですが、これは不動産売却のタイミングや金利環境の不透明感を考慮したものです。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は 520億円 (前期比 9.2%増 )と、引き続き高い成長を目指します。
| 項目 | 2025年3月実績 | 2026年3月実績 | 2027年3月予想 |
|---|---|---|---|
| 営業利益 | 48,966 | 44,674 | 40,000 |
| 経常利益 | 66,219 | 64,969 | 67,000 |
| 当期純利益 | 42,038 | 47,609 | 52,000 |
| 1株当たり利益 | 154.54円 | 169.98円 | 170.96円 |
次期の年間配当についても、前期比1円増の 52.00円 を予定しており、安定した還元姿勢を維持する方針です。金利上昇局面においても、スプレッドの確保と高付加価値なソリューション提供により、収益性の向上を図る計画です。
リスクと課題
同社が直面する主なリスクとしては、以下の点が挙げられています。
- 金利変動リスク: 国内外の金利上昇が続いた場合、資金調達コストの上昇が利ざやを圧迫する可能性があります。
- 外部環境の不透明性: 米国の関税政策や中東情勢といった地政学リスクが、航空機リースや海外事業の機動性を損なう懸念があります。
- 資産価値変動リスク: 不動産市場の調整や航空機の二次市場価格の下落が、物件売却益の減少に直結するリスクを内包しています。
- 制度変更への対応: リース会計基準の変更等、外部の制度変化に柔軟に対応できる体制構築が求められています。
みずほリースの決算で最も注目すべきは、売上高が過去最高を記録したことよりも、利益構造の変化です。営業利益が減益となる中で、持分法投資損益(特に航空機リースのAircastle)が純利益を大きく押し上げており、事業ポートフォリオの多角化が功を奏しています。
また、みずほFGとの関係深化は、銀行系リースの枠を超えた「金融ソリューション企業」への脱皮を加速させる重要な一手です。足元では金利上昇によるコスト増が営業利益を圧迫していますが、営業資産残高は着実に積み上がっており、金利改定が進めば中長期的な収益性は改善に向かうと見られます。
投資家にとっては、累進配当の継続と自己資本比率の向上、そしてみずほFGとの提携による信用力の強化はポジティブな材料と言えます。就活生にとっては、丸紅との連携も活用したグローバルな航空機・不動産ビジネスなど、単なる「貸し」に留まらない投資銀行的な側面が魅力的に映るはずです。
