SCREEN・2026年3月期Q3、営業利益23%減の774億円——半導体装置の中国・米国向けが失速、株式分割も発表

半導体製造装置大手のSCREENホールディングスが発表した2026年3月期第3四半期累計決算は、売上高が前年同期比 7.5%減 の 4,253億5,200万円 、営業利益が同 23.0%減 の 774億3,900万円 と大幅な減益となった。生成AI向けの需要は底堅いものの、主力のロジック・ファウンドリー向け装置が中国や米国市場で苦戦し、前年同期の好調からの反動が鮮明に出る形となった。併せて、投資家層の拡大を目的とした <u>1株につき2株の株式分割</u> を発表している。
決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,254億円 | -7.5% | 6,210億円 | 68% |
| 営業利益 | 774億円 | -23.0% | 1,170億円 | 66% |
| 純利益 | 549億円 | -21.0% | 880億円 | 62% |
| 営業利益率 | 18.2% | |||
業績のポイント:主力の半導体装置が調整局面入り、利益率も低下
当第3四半期累計期間の業績は、売上高・各利益ともに前年を大きく下回る厳しい結果となった。営業利益は 774億3,900万円 (前年同期比 23.0%減 )に沈み、売上高営業利益率は前年同期の 21.9% から 18.2% へと 3.7ポイント 低下した。この利益圧縮の背景には、収益性の高い半導体製造装置の売上減少に加え、将来の成長に向けた研究開発費の増強や労務費などの <u>固定費負担が増加</u> したことが挙げられる。
四半期純利益についても、営業利益の減少に連動する形で 549億4,600万円 (前年同期比 21.0%減 )となった。前年度までの旺盛な半導体設備投資が一服し、市場環境が <u>一時的な調整局面</u> にあることが数字に表れた格好だ。一方で、経常利益は受取利息の増加などにより 788億4,600万円 を確保したが、本業の儲けを示す営業利益の落ち込みをカバーするには至らなかった。
| 項目 | 2025年3月期Q3累計 | 2026年3月期Q3累計 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,599億円 | 4,253億円 | △7.5% |
| 営業利益 | 1,006億円 | 774億円 | △23.0% |
| 営業利益率 | 21.9% | 18.2% | △3.7pt |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 695億円 | 549億円 | △21.0% |
セグメント別動向:SPE事業が中国・米国で苦戦、FT事業は大幅増益で下支え
売上の約8割を占める主力の 半導体製造装置事業(SPE) は、売上高が 3,386億6,900万円 (前年同期比 11.8%減 )、セグメント利益は 783億4,700万円 (同 22.4%減 )と苦戦した。台湾向けは堅調に推移したものの、これまで好調だった中国および米国向けのロジック・ファウンドリー向け装置が減少した。AIサーバー向けなどの先端分野での引き合いはあるが、顧客側の投資スケジュールの変動が業績に影を落とした格好だ。
対照的に、 ディスプレー製造装置および成膜装置事業(FT) は目覚ましい回復を見せた。OLED(有機EL)向け装置の出荷が伸びたことで、売上高は 358億6,900万円 (前年同期比 44.5%増 )と急増。セグメント利益は 73億1,500万円 と前年同期の 5.3倍 に膨らみ、グループ全体の収益を支える <u>第2の柱</u> としての存在感を示した。採算性の改善も進んでおり、パネルメーカーの設備投資意欲の回復を的確に捉えている。
一方で、 グラフィックアーツ機器事業(GA) はリカーリングビジネス(インク等の消耗品販売)が堅調だったものの、米国による関税の影響や固定費増により、利益は 19億3,700万円 (同 41.0%減 )と大幅に減少した。また、 プリント基板関連機器事業(PE) に至っては、装置売上の減少が響き 5億2,700万円の営業損失 (前年同期は5億6,900万円の黒字)に転落するなど、セグメント間で明暗が分かれる結果となった。
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| SPE(半導体) | 3,386億円 | △11.8% | 783億円 | △22.4% |
| GA(印刷) | 395億円 | +1.3% | 19億円 | △41.0% |
| FT(表示体) | 358億円 | +44.5% | 73億円 | +436.5% |
| PE(基板) | 89億円 | △7.3% | △5億円 | ー |
財務状況と資本政策:自己資本比率は向上、株式分割で流動性を高める
財務基盤は引き続き強固な水準を維持している。総資産は前連結会計年度末から 57億9,400万円 増加し 6,770億8,100万円 となった。純資産が四半期純利益の積み上げにより 4,432億5,400万円 へと増加した結果、自己資本比率は 65.4% と、前期末の 62.7% からさらに改善している。 <u>財務の健全性</u> を背景に、攻めの投資を継続できる体制が整っている。
資本政策における注目トピックは、 1株につき2株の割合で実施される株式分割 だ。2026年4月1日を効力発生日とし、投資単位当たりの金額を下げることで <u>個人投資家の参入障壁を下げ、株式の流動性を高める</u> 狙いがある。年間配当予想については、直近の予想である 280円 (前期は308円)を据え置いており、業績の調整局面にあっても一定の還元姿勢を維持する方針だ。
リスクと課題:地政学リスクと不透明な投資サイクルの行方
今後の成長に向けては、外部環境の変化に伴う複数のリスクが懸念される。会社側は以下の項目を主要なリスク要因として注視している。
- 地政学リスクと通商政策: GA事業で言及された米国の関税影響のように、米中対立や各国の保護主義的な政策がサプライチェーンや輸出採算に直接的なダメージを与えるリスクがある。
- 半導体投資サイクルの変動: 生成AI関連の需要は強力だが、従来のロジックやメモリ向けの投資回復が想定より遅れた場合、SPE事業の回復が後ずれする可能性がある。
- 研究開発競争の激化: チップレットや先端パッケージングなど、技術の微細化・高度化に伴いR&D費が増大しており、投資を利益に結びつけるまでのスピード感が課題となる。
通期見通し:据え置きも第4四半期の巻き返しが焦点
2026年3月期の通期連結業績予想については、2025年10月に発表した数値を据え置いた。第3四半期までの進捗率は、営業利益ベースで 66.2% とやや低めに見えるが、例年、期末に向けて大型案件の検収が進む傾向がある。通期では売上高 6,210億円 、営業利益 1,170億円 を目指す計画を変えていない。
| 項目 | 前回予想(2025/10) | 今回予想 | 前期実績(2025/3) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,210億円 | 6,210億円 | 6,252億円 |
| 営業利益 | 1,170億円 | 1,170億円 | 1,356億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 880億円 | 880億円 | 994億円 |
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/2/12)
10,687.5円
最新終値(2026/10/23)
11,630円+8.8%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
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コメント
今回の決算は、前年度の爆発的な成長に対する「踊り場」の印象が強い内容です。特にSPE事業において中国・米国向けがダブルで落ち込んだ点は、地政学的な輸出規制や現地の投資マインドの変化を反映している可能性があります。
注目すべきはFT事業(ディスプレー)の急回復です。スマホやITデバイス向けのOLEDシフトが追い風となっており、主力のSPE事業が苦戦する中での強力なバランサーとして機能しています。
株式分割の発表は、業績が踊り場にある時期にあえて投資家層の拡大を狙うポジティブなメッセージと受け取れます。今後は、2026年度以降の先端パッケージング向け装置の本格寄与と、固定費増を上回る売上高の成長をいつ再開できるかが焦点となるでしょう。
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