業界ダイジェスト
積水ハウス株式会社 の会社詳細
積水ハウス株式会社
積水ハウス
2027年1月期 第1四半期
2026年6月3日

積水ハウス・2027年1月期Q1、営業利益26.2%増の761億円——国内マンション事業が急伸、海外の苦戦を補い増益確保

積水ハウス
決算短信
不動産開発
マンション事業
国際事業
ZEH
増収増益
配当増額
住宅業界
第1四半期累計期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

9,089億円

+1.7%

通期予想

4.4兆円

進捗率21%

営業利益

761億円

+26.2%

通期予想

3,500億円

進捗率22%

純利益

585億円

+75.2%

通期予想

2,180億円

進捗率27%

営業利益率

8.4%

積水ハウスが発表した2027年1月期第1四半期(2026年2月〜4月)の連結決算は、売上高が前年同期比 1.7%増9,088億7,800万円、営業利益が同 26.2%増761億400万円 と増収増益を達成しました。国内の戸建住宅事業や米国を中心とする国際事業が金利高止まりの影響を受けて減速した一方、国内の大規模再開発マンションの引き渡しが集中したことが大幅な増益に貢献しました。好調な開発型ビジネスやストック型ビジネスが下支えし、通期の業績予想は従来計画を据え置いています。

業績のポイント

当第1四半期は、国内外の厳しい住宅市場環境を乗り越え、実質的な稼ぐ力の強さを示した決算となりました。売上高は 9,088億7,800万円(前年同期比 +1.7%)、営業利益は 761億400万円(同 +26.2%)を記録しました。さらに、持ち分法による投資利益の増加や為替差益の発生が追い風となり、経常利益は 724億9500万円(同 +54.9%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 584億7,900万円(同 +75.2%)と、いずれも大幅な増益を達成しています。

国内市場では、建設コストや住宅ローン金利の上昇を背景に新設住宅着工戸数が弱含みで推移しました。一方、米国でも金利高止まりによる顧客の様子見姿勢が継続するなど、主軸の請負型・海外ビジネスには強い逆風が吹きました。しかし、こうした環境下でも、都市部の大型マンション事業における引き渡しが計画通りに大きく進捗したことが、今期の好業績を牽引する最大の要因となりました。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

セグメント別の動向を見ると、開発型ビジネスの躍進と、ストック型ビジネスの安定感が際立つ結果となりました。特に「マンション事業」は、大阪の「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」や東京の「グランドメゾン渋谷大山町」といった超大型物件の順調な引き渡しにより、売上高が前年同期の2倍以上となる 468億6,400万円(前年同期比 +130.1%)に急増しました。同事業のセグメント利益は 158億7,200万円(同 +528.4%)に達し、収益性の高さがグループ全体の利益を大きく押し上げました。

「都市再開発事業」も、都市型賃貸マンション「プライムメゾン」5物件をリート投資法人へ売却・引き渡ししたことで、売上高は 356億7,100万円(同 +54.4%)、営業利益は 96億4,400万円(同 +130.3%)と順調な成長を見せました。また、管理物件の入居率や賃料水準が安定している「賃貸住宅管理事業」の営業利益が 222億2,500万円(同 +13.0%)に拡大するなど、ストック型ビジネスも安定して業績に貢献しています。

一方で、国内の「戸建住宅事業」は、ローン金利の上昇やインフレによる購入者マインドの冷え込みから、売上高が 1,041億8,800万円(同 -4.3%)、営業利益が 44億7,400万円(同 -33.2%)と苦戦を強いられました。さらに「国際事業」においては、米国での引き渡し戸数の減少やインセンティブの付与が響き、売上高は 2,206億3,700万円(同 -14.4%)へと減少し、営業利益は 42億3,900万円の赤字(前年同期は48億4,100万円の黒字)へ転落しました。

セグメント名売上高(百万円)前年同期比(%)営業利益(百万円)前年同期比(%)営業利益率(%)
戸建住宅事業104,188△4.3%4,474△33.2%4.3%
賃貸・事業用建物事業122,205+2.1%13,409+8.8%11.0%
建築・土木事業73,444△4.9%6,427+16.3%8.8%
賃貸住宅管理事業185,134+3.1%22,225+13.0%12.0%
リフォーム事業41,538+5.4%4,513+5.7%10.9%
仲介・不動産事業85,781+7.4%9,133+35.9%10.6%
マンション事業46,864+130.1%15,872+528.4%33.9%
都市再開発事業35,671+54.4%9,644+130.3%27.0%
国際事業220,637△14.4%△4,239△1.9%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
戸建住宅事業1,042億円12%45億円4.3%
賃貸・事業用建物事業1,222億円13%134億円11.0%
建築・土木事業734億円8%64億円8.8%
賃貸住宅管理事業1,851億円20%222億円12.0%
リフォーム事業415億円5%45億円10.9%
仲介・不動産事業858億円9%91億円10.6%
マンション事業469億円5%159億円33.9%
都市再開発事業357億円4%96億円27.0%
国際事業2,206億円24%-4,239百万円-1.9%

財務状況と資本政策

2026年4月末時点における総資産は、前期末比 483億300万円減少 し、4兆9,583億600万円 となりました。これは主に、法人税等の支払いにより現金預金が減少したためです。一方で、為替換算調整勘定の増加や四半期純利益の積み上げがあったことで、純資産は前期末から 220億4,100万円増加2兆2,102億7,900万円 を確保しています。自己資本比率は、前期末の42.7%から 43.6% へと上昇し、健全な財務体質を維持しています。

資本政策の面では、株主還元の強化方針に沿って、2027年1月期の年間配当は前期実績(144円)から1円増配となる 145.00円(中間72.00円、期末73.00円)の予想を維持しました。財務の健全性を維持しつつ、株主へ安定的な利益還元を進めていく姿勢を明確にしています。

リスクと課題

当面の経営課題としては、「国内外における主力請負事業の回復」「国際事業の立て直し」が挙げられます。国内市場では資材価格や建設コストの高止まりに加え、国内金利上昇への警戒感が戸建請負の受注マインドに影を落としています。環境配慮型のZEH住宅や、付加価値の高い「life knit design」の提案により、早期の引き合い回復を目指す必要があります。

また、国際事業では、主要市場である米国で顧客の買い控え姿勢が続いているため、地域密着型の「One Company」体制のもと、地域コミュニティ開発や賃貸住宅開発の安定稼働を進めつつ、収益性の回復を図ることが急務となっています。中東情勢の緊迫化に伴う資材供給網への影響など、外部環境の不確実性への対応力も試されます。

通期見通し

2027年1月期の通期業績予想については、期首の公表値から修正を行っていません。一部の住宅資材価格の動向や中東情勢の推移など先行きは依然として不透明な部分が多いものの、安定した国内ストックビジネスの成長や都市部の開発プロジェクトの着実な推進により、期首計画を十分に達成できると判断しています。通期の売上高は前期比 3.7%増4兆3,530億円、営業利益は同 2.5%増3,500億円 を見込んでいます。

項目前回予想今回修正前期実績(2026年1月期)前期比増減率
売上高4,353,000百万円4,353,000百万円4,196,878百万円+3.7%
営業利益350,000百万円350,000百万円341,202百万円+2.5%
経常利益314,000百万円314,000百万円327,816百万円△4.2%
当期純利益218,000百万円218,000百万円232,233百万円△6.1%

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AIアナリストAI·2026年6月4日

今回の決算で最も注目すべきは、積水ハウスが誇る「ポートフォリオの多様化」が、国際事業や国内戸建事業の減速という局面で見事に機能した点です。

従来のハウスメーカーの枠を超え、国内の一等地で手がける大規模マンション(グラングリーン大阪など)が圧倒的な利益(営業利益率33.9%)を稼ぎ出し、全体の利益水準を押し上げました。

一方で、ドル箱であったはずの米国事業(国際事業)が営業赤字に沈んだ点は懸念材料です。金利の高止まりは同社のコントロール外であるものの、中長期的な成長の柱として掲げる「海外事業の成長軌道への復帰」が今後の株価および企業評価を大きく左右することになります。

高いZEH比率に裏付けられた国内事業の環境対応力(ESGの強み)は他社に対する明確な差別化要因であり、就活生にとっても魅力的な「持続可能な社会に貢献するビジネスモデル」が機能している好例といえます。

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