SWCC・2026年3月期通期、営業利益30.5%増の273億円——電力インフラ・通信好調で大幅増益
売上高
2,777億円
+16.8%
通期予想
3,250億円
営業利益
273億円
+30.5%
通期予想
285億円
純利益
188億円
+65.3%
通期予想
185億円
営業利益率
9.8%
SWCCが14日に発表した2026年3月期連結決算は、営業利益が前期比 30.5%増 の 273億2,000万円 と大幅な増益を達成した。国内の送配電網強化に向けた旺盛な需要に加え、米国データセンター市場の活況を背景とした通信ケーブルの伸長が業績を力強く牽引した。同社は収益性の向上を伴う成長を重視する 「ROIC経営2.0」への深化 を掲げており、構造改革の成果が実りつつあることを示す結果となった。
業績のポイント
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比 16.8%増 の 2,777億3,600万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同 65.3%増 の 188億4,000万円 となった。売上高営業利益率は前期の 8.8% から 9.8% へと改善し、稼ぐ力が着実に高まっている。
好業績の背景には、エネルギー・インフラ事業における電力網の強靭化投資や、通信事業での戦略製品の拡大がある。また、2025年3月に完全子会社化した株式会社TOTOKU(旧:東京特殊電線)の業績が通期で寄与したことも、売上高と利益の押し上げに大きく貢献した。銅価格の高騰に対しても、適切な価格改定を機動的に進めることで利益を確保している。
| 指標 | 2025年3月期実績 | 2026年3月期実績 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,378億円 | 2,777億円 | +16.8% |
| 営業利益 | 209億円 | 273億円 | +30.5% |
| 経常利益 | 112億円 | 261億円 | +131.8% |
| 当期純利益 | 114億円 | 188億円 | +65.3% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力事業であるエネルギー・インフラ事業は、売上高 1,319億4,400万円(前期比 2.4%増)、営業利益 204億3,200万円(同 21.9%増)と堅調に推移した。国内の変電設備更新や送配電網の強化が進むなか、戦略製品である電力ケーブル接続部品「SICONEX®」の増産効果が利益率の改善を後押しした。建設関連市場は人手不足の影響を受けたものの、下期から回復基調に入り、各種原価低減策も功を奏した。
通信・コンポーネンツ事業は、売上高 1,383億6,700万円(前期比 35.3%増)、営業利益 69億2,500万円(同 42.5%増)と飛躍的な成長を遂げた。米国での活発なデータセンター投資を背景に、戦略製品の超多心光ファイバケーブル「e-Ribbon®」の需要が下期に急拡大したことが主因だ。半導体市況の回復もプラスに働いた一方、中国市場向けの家電用ワイヤハーネスは依然として厳しい環境が続いている。
| セグメント | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| エネルギー・インフラ | 1,319億円 | 204億円 | 15.5% |
| 通信・コンポーネンツ | 1,383億円 | 69億円 | 5.0% |
| その他・調整額 | 74億円 | 13億円 | - |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー・インフラ事業 | 1,319億円 | 48% | 204億円 | 15.5% |
| 通信・コンポーネンツ事業 | 1,384億円 | 50% | 69億円 | 5.0% |
財務状況と資本政策
財務体質の改善も一段と進み、自己資本比率は前期末の 39.7% から 47.6% へと大幅に上昇した。総資産は現金及び預金の減少などにより 2,068億7,800万円 と微減した一方、利益の蓄積により純資産は 1,060億1,200万円(前期比 138億8,200万円増)に拡大している。借入金の削減を進めたことで、健全な財務基盤が構築されつつある。
株主還元については、積極的な姿勢が際立っている。当期の年間配当は、従来予想の110円から大幅に増額し、1株当たり 223円(前期実績136円)とした。さらに、次期(2027年3月期)については中間・期末あわせて 250円 の配当を予定しており、配当性向 40.0% を目安に還元を強化する方針を打ち出している。これは 「株主還元のさらなる充実」 を掲げる中期経営計画に沿った判断といえる。
通期見通しと戦略トピック
2027年3月期の通期見通しは、売上高 3,250億円(前期比 17.0%増)、営業利益 285億円(同 4.3%増)を見込む。新中期経営計画「Transformation for Growth SWCC 2030」の初年度として、ROIC経営をさらに深化させ、成長分野への投資を加速させる方針だ。特に生成AI市場の拡大に対応し、電力供給工事の工期短縮に寄与する独自製品や、高付加価値な光ファイバの拡販に注力する。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,777億円 | 3,250億円 | +17.0% |
| 営業利益 | 273億円 | 285億円 | +4.3% |
| 経常利益 | 261億円 | 279億円 | +6.8% |
| 当期純利益 | 188億円 | 185億円 | ▲1.8% |
リスクと課題
持続的な成長に向けては、外部環境の不透明さが主なリスク要因として挙げられている。原材料価格やエネルギー価格の動騰に対し、販売価格への転嫁を進めているものの、既契約分への適用困難なケースが懸念される。また、建設・電力インフラ業界全体に共通する課題として、深刻な 「労働力不足と熟練技能者不足」 が顕在化しており、省力化・省人化を可能にする製品開発や施工技術の簡素化が急務となっている。米国の通政政策や地政学的リスクも注視すべき点である。
SWCCの今回の決算は、長年進めてきた構造改革が完全に実を結び、成長フェーズに移行したことを象徴する内容です。特に営業利益率が10%目前まで改善した点は、単なる素材メーカーからの脱却を示すポジティブな指標と言えます。
注目すべきは、買収したTOTOKUとのシナジーです。通信・コンポーネンツ事業の売上高が急増している背景には、AIサーバー向けの特殊電線など、高付加価値領域でのポートフォリオ強化が読み取れます。
一方で、来期予想における純利益の微減は、先行投資や保守的な地政学リスクの見込みによるものと推測されますが、自己資本比率の急上昇を背景とした1株当たり250円という野心的な配当予想は、経営陣の将来に対する強い自信の表れと評価できます。投資家にとっては、強固なキャッシュ創出力に基づいた「還元と成長の両立」が継続できるかが今後の焦点となるでしょう。
