SWCC・2026年3月期Q3、純利益64.6%増の127億円——電力インフラとデータセンター向け需要が牽引
売上高
2,021億円
+13.4%
通期予想
2,700億円
営業利益
196億円
+17.4%
通期予想
260億円
純利益
128億円
+64.6%
通期予想
160億円
営業利益率
9.7%
SWCCが9日に発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月)の連結決算は、純利益が前年同期比 64.6%増 の 127億5,600万円 と大幅な増益を記録しました。国内の電力網強化に向けた投資や、生成AI普及に伴うデータセンター向け通信ケーブルの需要拡大が業績を押し上げました。また、2025年3月にグループ入りした㈱TOTOKUとのシナジーも本格化しており、売上高は同 13.4%増 の 2,020億8,600万円 となりました。
業績のポイント
当第3四半期の累計業績は、売上高が 2,020億8,600万円 (前年同期比 +13.4% )、営業利益が 195億6,300万円 (同 +17.4% )と、増収増益を達成しました。特に経常利益については、前年同期に計上された持分法投資損失の反動もあり、同 165.6%増 の 188億3,300万円 と飛躍的な伸びを見せています。
好調な業績の背景には、銅価格の上昇に伴う販売価格の押し上げ効果に加え、高付加価値製品の販売比率が高まったことがあります。同社が掲げる中期経営計画「Rolling Plan 2024」の目標を前倒しで達成するほど、国内の電力インフラ市場が活況を呈しました。また、構造改革の成果として生産性が向上し、原材料費や人件費の高騰を吸収して利益率を改善させています。
| 項目 | 2025年3月期 Q3 | 2026年3月期 Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,782億円 | 2,020億円 | +13.4% |
| 営業利益 | 166億円 | 195億円 | +17.4% |
| 経常利益 | 70億円 | 188億円 | +165.6% |
| 四半期純利益 | 77億円 | 127億円 | +64.6% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
エネルギー・インフラ事業は、売上高が 956億2,300万円 (同 2.1%減 )、営業利益が 140億8,000万円 (同 8.5%増 )となりました。建設関連向けは人手不足の影響で厳しい状況が続きましたが、第3四半期に入りデータセンターや半導体工場向けの需要が回復しました。利益面では、変電所の老朽化対策や送配電網強化に向けた継続的な投資を背景に、高機能プラグイン接続部品「SICONEX®」などの高付加価値製品の販売が伸長し、利益率が向上しました。
通信・コンポーネンツ事業は、売上高が 1,016億8,900万円 (同 34.0%増 )、営業利益が 54億9,300万円 (同 39.9%増 )と、売上・利益ともに急拡大しました。これは2025年3月に連結化した㈱TOTOKUの業績が加わったことが最大の要因です。内容面でも、米国のデータセンター投資を背景に超多心光ファイバケーブル「e-Ribbon®」の需要が下期から大幅に拡大したほか、生成AI向けの半導体検査用コンタクトプローブが中国市場を含め大幅な増産となりました。
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー・インフラ | 956億円 | △2.1% | 140億円 | +8.5% |
| 通信・コンポーネンツ | 1,016億円 | +34.0% | 54億円 | +39.9% |
| その他 | 47億円 | +2.6% | 8億円 | +2.6% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー・インフラ事業 | 956億円 | 47% | 141億円 | 14.7% |
| 通信・コンポーネンツ事業 | 1,017億円 | 50% | 55億円 | 5.4% |
財務状況と資本政策
総資産は、棚卸資産や投資有価証券の増加により、前期末から3億4,800万円増の 2,113億1,800万円 となりました。負債については、借入金の返済が進んだことで81億4,000万円減少し、1,106億9,900万円 となっています。利益剰余金の積み上げにより純資産が 1,006億1,900万円 へと増加した結果、自己資本比率は前期末の39.7%から 43.5% へと上昇し、財務体質の強化が進んでいます。
株主還元については、好調な業績を背景に大幅な増配を予定しています。年間配当金は前期の136円から64円増額の 200円 (中間90円、期末予想110円)を見込んでいます。これは、成長投資に向けた資金を確保しつつ、資本効率の向上と株主への利益還元を両立させる経営判断の表れです。
リスクと課題
今後の懸念材料として、以下の要因が挙げられています。
- 銅価格と為替の変動: 主要原材料である銅価格の高騰や為替相場の急激な変動は、製造コストや販売価格に直接影響を与えるリスクがあります。
- 自動車関連市場の減速: 世界的な自動車販売台数の伸び悩みや、中国市場における家電向け需要の減速が、ワイヤーハーネスなどの汎用製品に悪影響を及ぼしています。
- 地政学・通商リスク: 米国の関税政策を含む各国の経済政策の動向により、海外展開やサプライチェーンに不透明感が漂っています。
- 人手不足: 国内建設関連市場における人手不足と資材価格の高騰は、案件の進捗遅延を招く可能性があります。
通期見通し
2026年3月期の通期連結業績予想については、2025年11月12日に上方修正した数値を据え置いています。売上高は過去最高の 2,700億円 を見込んでおり、電力インフラと通信分野の強い需要を背景に、通期でも大幅な増収増益を達成する見通しです。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 | 対前期増減 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,700億円 | 2,700億円 | 2,379億円 | +13.5% |
| 営業利益 | 260億円 | 260億円 | 209億円 | +24.2% |
| 純利益 | 160億円 | 160億円 | 114億円 | +40.3% |
今回の決算で特筆すべきは、旧来の「電線メーカー」からの脱却が鮮明になった点です。特に㈱TOTOKUの統合が、単なる規模拡大にとどまらず、データセンター向け通信や半導体検査部品といった高成長・高付加価値領域へのシフトを加速させています。
- 利益率の改善: エネルギー・インフラ事業での営業利益率が約14.7%と非常に高く、コモディティ製品から「SICONEX®」のような独自技術製品への移行が成功していることを示しています。
- 中期計画の前倒し達成: 2026年度目標を2024年度(前期)で達成したことは、市場環境の追い風を確実に捉える経営の機敏さを証明しています。2月27日に発表予定の次期中期経営計画では、さらなる成長投資の規模感と還元姿勢が焦点となるでしょう。
- 懸念点: 一方で、自動車や家電向けの汎用製品は環境が厳しく、ポートフォリオ内での「勝ち負け」が明確になっています。今後は、好調なインフラ/通信分野への資源集中がどこまで進むかが注目されます。
