東京センチュリー株式会社 の会社詳細
東京センチュリー株式会社
東京センチュリー
2026年3月期 第3四半期

東京センチュリー・2026年3月期Q3、純利益60.9%増の1,159億円——ロシア関連の保険和解金が利益を押し上げ

東京センチュリー
増収増益
航空機リース
ロシア関連
保険和解金
増配
特別利益
減損損失
環境インフラ
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1.0兆円

+2.8%

営業利益

1,014億円

+12.1%

純利益

1,159億円

+60.9%

通期予想

1,000億円

進捗率116%

営業利益率

9.7%

東京センチュリーが発表した2026年3月期第3四半期決算は、売上高が前年同期比 2.8%増1兆401億円 、純利益が同 60.9%増1,159億円 と大幅な増益を記録しました。航空機リース事業を手掛ける米子会社での ロシア関連保険和解金の計上 が主要因となり、純利益は既に通期予想を上回る水準で推移しています。本業の国内リースや環境インフラ事業も堅調に推移しており、事業ポートフォリオの多角化が業績を下支えしています。

業績のポイント

当第3四半期累計期間(2025年4月〜12月)の連結業績は、売上・各段階利益ともに前年を上回る好決算となりました。売上高は 1兆401億円(前年同期比+2.8%) となり、営業利益は 1,013億円(同+12.1%) に到達しました。経常利益についても、為替差益の減少というマイナス要因はあったものの、持分法投資利益の拡大などにより 1,114億円(同+9.6%) と堅調な伸びを見せています。

特筆すべきは、親会社株主に帰属する四半期純利益が 1,159億円(同+60.9%) と急増した点です。これは、米国子会社のACG社がロシアの航空会社向けリース機体に関し、保険会社との間で 総額544百万米ドルの和解金受領 で合意し、これを特別利益として計上したことが大きく寄与しています。この一過性の利益が、後述するシステム開発関連の減損損失を十分に補い、全体の利益水準を大きく押し上げました。

項目2025年3月期 Q32026年3月期 Q3前年同期比
売上高1兆118億円1兆401億円+2.8%
営業利益904億円1,013億円+12.1%
経常利益1,017億円1,114億円+9.6%
四半期純利益720億円1,159億円+60.9%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計

セグメント別動向

各セグメントの動向を見ると、一過性の要因を含め明暗が分かれる形となりました。主力の国内リース事業は、パートナー企業との共同投資事業による利益取込が順調に進み、セグメント利益は 191億円(前年同期比+11.3%) となりました。安定した収益基盤としての役割を果たしています。

スペシャルティ事業は、今回の決算の最大の牽引役となりました。前述の ロシア関連保険和解金の計上 により、セグメント利益は前年同期から520億円増加し、 834億円(同+165.7%) と驚異的な伸びを記録しました。一方で、オートモビリティ事業については、売上高こそ増収を確保したものの、連結子会社における システム開発計画の見直しに伴う減損損失(約126億円) を特別損失として計上した影響などにより、セグメント利益は 100億円(同▲32.6%) の減益となりました。

環境インフラ事業は、太陽光発電事業における資産売却益の増加や、バイオマス混焼発電事業の業績改善が寄与し、セグメント利益は 21億円(同+157.2%) と大幅な改善を見せています。国際事業については、東南アジアを中心とする営業資産の積み上げが進んだものの、一部費用の増加等により利益面では 94億円(同▲3.2%) とほぼ横ばいの推移となりました。

セグメント名売上高 (億円)利益 (億円)利益増減率
国内リース3,424191+11.3%
オートモビリティ2,380100▲32.6%
スペシャルティ2,388834+165.7%
国際事業1,69594▲3.2%
環境インフラ51121+157.2%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
国内リース事業3,424億円33%191億円5.6%
オートモビリティ事業2,380億円23%100億円4.2%
スペシャルティ事業2,388億円23%834億円34.9%
国際事業1,695億円16%94億円5.6%
環境インフラ事業511億円5%21億円4.0%

財務状況と資本政策

2025年12月末時点の連結総資産は、前期末比1,930億円増の 7兆558億円 となり、7兆円の大台に乗りました。これは主に、国内および海外での営業資産の積み上げや、現預金の保有増によるものです。負債面では有利子負債が 5兆966億円 と同1,840億円増加していますが、事業規模の拡大に伴う資金調達の範囲内と言えます。

自己資本比率は 15.0% と前期末と同水準を維持しています。株主還元については、好調な業績を背景に 増配方針 を継続しています。2026年3月期の年間配当金は前期の62円から10円増配の 72円 (第2四半期末36円、期末予想36円)とする計画に変更はなく、株主への利益還元を重視する姿勢を鮮明にしています。

通期見通し

2026年3月期の通期連結業績予想については、2025年11月に公表した数値を据え置いています。現時点で通期純利益の進捗率は 115.9% に達しており、既に目標を上回っていますが、第4四半期における景気動向や金利・為替の変動リスク、さらには将来の成長に向けた費用投下などを慎重に見極める判断から、現時点での上方修正は見送られています。

項目2025年3月期 実績2026年3月期 予想前期比
親会社株主に帰属する当期純利益852億円1,000億円+17.3%
1株当たり当期純利益174.45円204.69円-

リスクと課題

好業績の裏側で、今後の注目すべき課題も浮き彫りになっています。第一に システム開発リスク です。今期オートモビリティ事業で計上した大規模な減損損失は、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の難しさを示しており、今後の投資効率の改善が求められます。

第二に、 外部環境の変動リスク です。同社は広範な海外事業と航空機リースを手掛けているため、米ドルの金利動向や為替レートの変動、さらには地政学リスクの影響を強く受けます。今回のロシア関連和解金はポジティブな決着となりましたが、航空機リース市場における機体回収や価値の維持は、引き続き注視すべき事業リスクと言えます。

AIアナリストの視点

今回の決算は、ロシアのウクライナ侵攻以来、航空機リース業界で懸案事項となっていた「機体回収不能リスク」が、保険和解金という形で現実的なキャッシュに変わったことが決定打となりました。この 544百万ドル(約806億円)の特別利益 は極めて大きく、多少の事業不振を打ち消すほどのインパクトがあります。

一方で、オートモビリティ事業での 126億円にのぼるシステム関連の減損 は、成長分野でのつまずきとして無視できません。純利益が既に通期目標を突破しているにもかかわらず予想を据え置いたのは、こうした先行投資の整理や、不透明な世界経済に対する保守的な姿勢の表れでしょう。

就活生や投資家にとっては、同社が単なる「リース会社」を超え、 事業投資や環境エネルギー分野へ大胆にシフトしている点 に注目すべきです。一過性の利益を除いたベースの収益力がどこまで高まっているかが、来期以降の真の評価ポイントになるはずです。