全国保証・2026年3月期Q3、営業収益3.9%増の347億円——住宅価格高止まりも保証残高は底堅く推移

独立系住宅ローン保証最大手の全国保証が5日に発表した2026年3月期第3四半期決算は、累計の営業収益が前年同期比 3.9%増 の 347億5,500万円 と増収を確保しました。資材高騰による新設住宅着工の減少という逆風下ながら、中古住宅市場の活性化や借入金額の上昇が寄与し、保証債務残高が底堅く推移しています。利益面では営業費用が増加したものの、営業利益は 229億9,200万円 (同 0.2%増 )と前年並みを維持しました。
決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 348億円 | +3.9% | 592億円 | 59% |
| 営業利益 | 230億円 | +0.2% | 416億円 | 55% |
| 純利益 | 180億円 | -1.9% | 312億円 | 58% |
| 営業利益率 | 66.2% | |||
業績のポイント
当第3四半期の累計業績は、売上高にあたる営業収益が 347億5,500万円 (前年同期比 +3.9% )となりました。主力の住宅ローン保証において、新設住宅着工戸数が前年を下回る厳しい市場環境が続いたものの、都市部を中心とした中古住宅の取引増加を確実に取り込んだ形です。また、住宅価格の高騰に伴って1件あたりのローン借入金額が増加していることも、収益の押し上げ要因となりました。
一方で、利益面は微増または微減にとどまっています。営業利益は 229億9,200万円 (同 +0.2% )とほぼ横ばい、親会社株主に帰属する四半期純利益は 180億1,300万円 (同 -1.9% )となりました。純利益の減少は、将来の代位弁済に備えた 債務保証損失引当金繰入額 が 38億7,100万円 (前年同期は30億6,800万円)と、保証残高の増加や算定モデルの見直しを背景に増加したことが主な要因です。
| 項目 | 2025年3月期 Q3 | 2026年3月期 Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 33,446百万円 | 34,755百万円 | +3.9% |
| 営業利益 | 22,942百万円 | 22,992百万円 | +0.2% |
| 経常利益 | 25,319百万円 | 25,977百万円 | +2.6% |
| 四半期純利益 | 18,359百万円 | 18,013百万円 | -1.9% |
セグメント別動向
同社は住宅ローン保証を中心とする「信用保証事業」の単一セグメントですが、その内訳では市場環境に合わせた戦略の使い分けが鮮明になっています。新規住宅市場(オーガニック成長)では、商品基準の改定などにより他社との差別化を推進しました。足元では新設着工の減少が続いていますが、高単価な案件の獲得によって収益性を維持しています。
既存住宅ローン市場(インオーガニック成長)においては、金融機関が保有する既存の保証債務残高をまとめて引き受ける「ABL貸付」の手法を積極的に活用しました。これにより、市場全体のパイが伸び悩む中でも効率的に保証残高を積み上げることに成功しています。また、グループ会社を通じた債権管理回収分野の収益源拡大など、周辺領域への進出も着実に進めています。
財務面では、2025年12月末時点の債務保証残高は依然として高い水準を維持しています。住宅ローン金利の先行き不透明感から、利用者の借り換え需要や新規借り入れの動きは慎重になっていますが、独立系保証会社としての柔軟な審査体制を強みに、提携金融機関との連携を深めることでシェアの維持・向上を図っています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 信用保証事業 | 348億円 | 100% | 230億円 | 66.2% |
財務状況と資本政策
当第3四半期末の総資産は 4,776億9,900万円 となり、前連結会計年度末から 146億9,900万円 ( 3.0%減 )となりました。これは自己株買いの実施などに伴い、現金及び預金が減少したことが要因です。自己資本比率は 48.4% と依然として極めて高い水準を維持しており、強固な財務基盤を背景に積極的な株主還元を継続しています。
特筆すべきは、機動的な資本政策の一環として実施された 自己株式の取得 です。2025年5月から9月にかけて、総額約 70億円 (215万2,800株)の自社株買いを完了しました。これにより1株当たりの利益(EPS)の向上を図っています。また、配当についても年間予想を1株当たり 115円 (株式分割後ベース)としており、安定的な還元姿勢を明確にしています。
リスクと課題
今後の経営課題として、会社側は以下のリスク要因を注視しています。
- 住宅市場の動向: 資材価格や人件費の高騰が続くことで住宅取得意欲が減退し、新設着工戸数がさらに落ち込むリスク。
- 金利上昇の影響: 国内の金利上昇に伴い住宅ローン金利が上昇した場合、新規借り入れの抑制や、利用者の返済能力低下による代位弁済(肩代わり)リスクの増大。
- 競争環境の変化: メガバンクやネット銀行による住宅ローン獲得競争の激化により、保証料率の低下圧力が強まる可能性。
これらの不透明な外部環境に対し、同社は中期経営計画「Next Phase」に基づき、保証領域の拡大やCVCを通じたスタートアップ企業との連携による 新たな収益源の創出 を目指す方針です。
通期見通し
2026年3月期の通期業績予想については、前回発表の数値を据え置いています。営業収益は前期比 3.9%増 の 592億円 を見込む一方、システム投資や人的資本への投資、および貸倒関連費用の計上を見込み、営業利益は 416億円 (前期比 0.9%減 )と微減益の着地となる見通しです。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 | 対前期増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 59,200百万円 | 59,200百万円 | 56,989百万円 | +3.9% |
| 営業利益 | 41,600百万円 | 41,600百万円 | 41,961百万円 | -0.9% |
| 当期純利益 | 31,200百万円 | 31,200百万円 | 32,107百万円 | -2.8% |
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/2/5)
3,115円
最新終値(2026/10/23)
3,119円+0.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#全国保証#住宅ローン保証#増収増益#自己株買い#株式分割#中古住宅市場#ABL#高配当#金融サービス
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コメント
全国保証の決算において特筆すべきは、66%を超える極めて高い営業利益率です。住宅ローン保証という参入障壁の高いビジネスモデルにおいて、独立系としてのポジションを確立している強みが数字に表れています。
今回のQ3決算では、新築市場の冷え込みを中古住宅や借入額の大型化でカバーする「柔軟な対応力」が見て取れました。一方で、債務保証損失引当金の増加は、今後の金利上昇局面における信用コストの増大を会社側が警戒しているサインとも読み取れます。
投資家目線では、約70億円の自社株買いを完了させるなど、資本効率(ROE)の意識が非常に高い点はポジティブです。今後は、住宅着工が頭打ちとなる中で、いかにして保証領域の「周辺」から収益を積み上げられるかが、成長持続の焦点となるでしょう。
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