SOMPO・2026年3月期Q3、純利益106%増の5,183億円——国内外の保険事業が好調、通期予想を上方修正
売上高
4.0兆円
+3.6%
営業利益
6,778億円
+118.8%
純利益
5,184億円
+106.6%
通期予想
5,800億円
営業利益率
17.0%
SOMPOホールディングスが発表した2026年3月期第3四半期決算は、親会社の所有者に帰属する四半期利益が前年同期比 106.6%増 の 5,183億円 となり、前年同期から倍増する記録的な好決算となりました。国内外の保険事業において保険サービスの採算が改善したほか、資産運用による金融損益が大きく寄与しました。業績の好進捗を受け、同社は通期の純利益予想を従来の発表から引き上げ、前期比 138.6%増 の 5,800億円 への上方修正を発表しています。
業績のポイント
当第3四半期累計期間(2025年4月〜12月)の連結業績は、売上高にあたる保険収益が 3兆9,862億円 (前年同期比 +3.6% )、税引前利益が 677,848百万円 (同 +118.8% )と、大幅な増益を記録しました。利益が倍増した最大の要因は、保険本業の儲けを示す「保険サービス損益」が 3,899億円 (前年同期比 1,848億円増 )と大幅に改善したことにあります。前年同期に負担となった自然災害による影響が和らいだことに加え、収益性の高い契約の積み上げが功を奏しました。
また、資産運用環境の好転も追い風となりました。利息および配当金収入に加え、有価証券の売却損益などを含む金融損益は 3,430億円 (前年同期比 1,654億円増 )に達しました。世界的な金利上昇局面を捉えた運用戦略が利益を押し上げています。一方、世界経済は通商政策の影響などで一部に弱含みが見られるものの、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調にあり、同社の多角的な事業ポートフォリオがこの環境下で強みを発揮した形です。
業績推移(通期)
セグメント別動向
各事業セグメントにおいて、国内・海外ともに大幅な増益を達成しています。特に柱となる国内外の保険事業が、グループ全体の利益を力強く牽引しました。
| セグメント | 収益(百万円) | セグメント利益(百万円) | 前年同期比(利益) |
|---|---|---|---|
| 国内損害保険事業 | 2,027,875 | 207,166 | +170.3% |
| 海外保険事業 | 1,806,845 | 247,437 | +77.9% |
| 国内生命保険事業 | 194,447 | 52,983 | +17.9% |
| 介護事業 | 138,699 | 8,054 | +45.9% |
国内損害保険事業は、料率改定による増収効果や保険金支払額の減少により、利益が前年同期の約2.7倍に急拡大しました。海外保険事業についても、好調なマーケット環境を背景とした保険料率の上昇や、アンダーライティング(保険引き受け)の規律強化が実を結び、利益は 2,474億円 とグループ最大の利益源となっています。国内生命保険事業や介護事業も増益を維持しており、全方位で安定した収益基盤を構築していることが確認されました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内損害保険事業 | 2.0兆円 | 51% | 2,072億円 | 10.2% |
| 海外保険事業 | 1.8兆円 | 45% | 2,474億円 | 13.7% |
| 国内生命保険事業 | 1,944億円 | 5% | 530億円 | 27.2% |
| 介護事業 | 1,387億円 | 4% | 81億円 | 5.8% |
財務状況と資本政策
財務健全性を示す総資産は、前連結会計年度末から 8,572億円 増加し、 16兆7,473億円 となりました。また、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)は、当期利益の積み上げや投資有価証券の評価差額金の増加により、 5兆126億円 (前期末比 8,075億円増 )にまで拡大しました。これにより、自己資本比率は 29.9% と、前期末の26.5%から一段と向上し、強固な財務体質を維持しています。
株主還元については、積極的な増配姿勢を継続しています。2026年3月期の年間配当金は1株当たり 150円 (中間75円・期末75円)を予定しており、前期の実績(132円)から 18円の増配 となる見込みです。同社は「修正連結純利益」をベースとした還元方針を掲げており、今回の業績上方修正は、将来的な追加還元や機動的な自社株買いへの期待を抱かせる内容となっています。
通期見通しの上方修正
足元の極めて好調な進捗を踏まえ、2026年3月期の通期連結業績予想が上方修正されました。特に最終利益の修正幅が大きく、グループの稼ぐ力の強さが鮮明になっています。
| 指標 | 前回発表予想 | 今回修正予想 | 前期実績(参考) |
|---|---|---|---|
| 親会社株主に帰属する当期利益 | 4,000億円 | 5,800億円 | 2,431億円 |
| 基本的1株当たり当期利益 | 437.38円 | 634.22円 | 258.85円 |
修正の背景には、国内外の保険引受利益が想定を上回って推移していることに加え、金融市場の変動を捉えた運用収益の積み増しがあります。当初の予想から 1,800億円 もの利益上乗せを断行したことは、同社の経営陣が現在の収益トレンドに対して強い自信を持っていることの表れといえます。
リスクと課題
好調な業績の一方で、同社は今後の経営におけるリスク要因についても言及しています。特に以下の点に注意が必要です。
- 自然災害のリスク: 大規模な台風や地震の発生は、国内損害保険事業の支払保険金を急増させ、利益を圧迫する最大の変動要因です。
- 金融市場のボラティリティ: 投資有価証券を多額に保有しているため、株価の下落や急速な円高、金利の急激な変動は資産価値や運用益に影響を及ぼします。
- グローバルな通商政策: 海外事業の比率が高まっているため、各国の通商規制や地政学リスクが、現地の事業環境に影を落とす可能性があります。
これらのリスクに対して、同社は再保険の活用によるリスク分散や、ALM(資産負債総合管理)の強化を通じて対応していく方針です。
SOMPOホールディングスの今回の決算は、文字通り「死角なし」の内容と言えます。特に目を引くのは、国内損保事業の劇的な復活と、海外事業がもはや『補完』ではなく『主役』として利益を牽引している点です。
- 国内損保の正常化: 一時期の不祥事や独占禁止法関連の懸念を乗り越え、料率適正化によって稼ぐ力が戻っています。
- 海外の圧倒的成長: 利益構成比で海外が約48%を占めており、メガ損保3社の中でもグローバル化の恩恵を最も強く受けている印象です。
- 株主還元への期待: 通期利益予想をここまで大幅に引き上げたことで、期末に向けた増配や自社株買いの追加発表に対する市場の期待値は非常に高まるでしょう。
就職活動中の学生にとっても、介護事業という独自の軸を持ちつつ、グローバル金融グループとして圧倒的な収益力を示す同社の姿は、非常に魅力的な企業研究対象になるはずです。
