2026年3月期 第2四半期
SOMPO・2026年3月期Q2、純利益97%増の3,604億円——政策保有株の売却加速と保険本業の改善で通期予想を上方修正
大幅増益
上方修正
増配
政策保有株売却
損保ジャパン
IFRS
株主還元
自己株買い
EPS上昇
金融・保険
第2四半期累計期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
売上高
2.6兆円
+2.5%
営業利益
4,654億円
+109.4%
純利益
3,604億円
+97.4%
通期予想
5,400億円
進捗率67%
営業利益率
17.6%
SOMPOホールディングスが発表した2026年3月期中間決算は、純利益が前年同期比で約2倍となる歴史的な高水準となりました。政策保有株式の売却加速に伴う利益の押し上げに加え、火災保険や自動車保険などの国内損保事業における収益改善が大きく寄与しています。資本効率の向上と株主還元を一段と強化する姿勢が鮮明となった決算です。
業績のポイント
2026年3月期第2四半期累計の連結業績は、保険収益が 2兆6,444億円(前年同期比 2.5%増)、税引前中間利益が 4,653億円(同 109.4%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は 3,604億円(同 97.4%増)と、大幅な増益を記録しました。
- 保険サービス損益の劇的な改善: 保険本来の稼ぎを示す保険サービス損益は 2,987億円 と、前年同期(1,618億円)から 1,368億円 も増加しました。国内での自然災害被害が比較的安定していたことに加え、不適切行為を受けた業務改善プロセスの中、収益重視のアンダーライティング(引き受け)が浸透した結果です。
- 投資損益の押し上げ: 投資損益は 3,231億円(同 44.0%増)と好調でした。特に「その他の投資損益」が 2,781億円(前年同期は1,775億円)に拡大しており、これは兼松やMS&ADなど他社との持ち合い解消に伴う政策保有株式の売却益が大きく貢献しています。
業績推移(通期)
売上高営業利益|当期累計
セグメント別動向
詳細なセグメント内訳は本資料に未記載ですが、損益計算書の構成から以下の主要な収益要因が読み取れます。
- 国内損害保険事業(損保ジャパン等): 保険サービス損益の改善を主導しました。自動車保険の料率改定や、火災保険における異常災害損失の減少が利益を押し上げた格好です。
- 海外保険事業: 円安の影響による円建て収益の底上げに加え、北米を中心としたコマーシャルライン(法人向け)の堅調な料率環境が継続しています。
- 資産運用部門: 金利上昇局面を捉えた利息・配当金収入の積み増しとともに、戦略的な株式売却が投資経費を大きく上回る収益を生み出しました。金利収益は 514億円 を確保しています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 保険サービス損益(連結) | 2.6兆円 | 100% | 2,988億円 | 11.3% |
| 投資損益(連結) | 3,231億円 | — | — | — |
財務状況と資本政策
総資産は前期末比 4,665億円 増の 16兆3,565億円 となりました。特筆すべきは自己資本の充実と、それに伴う株主還元の積極化です。
- 自己資本の増強: 親会社所有者帰属持分は 4兆7,749億円 となり、親会社所有者帰属持分比率は前期末の 26.5% から 29.2% へと上昇しました。中間包括利益が 7,639億円(同 409.3%増)と爆発的に伸びたことが寄与しています。
- 増配の実施: 中間配当は前年同期から19円増の 75円 としました。年間配当予想も 150円(前期実績132円)を維持し、利益成長を配当に反映させる方針を貫いています。
- 自己株式の取得: 期中平均株式数が前年同期の 9億8,192万株 から 9億2,425万株 へと減少しており、機動的な自社株買いによる1株当たり利益(EPS)の引き上げ効果が 389.96円 という高い数字に現れています。
通期見通しの上方修正
中間期の好業績を反映し、通期の連結業績予想を上方修正しました。
- 親会社の所有者に帰属する当期利益: 5,400億円(前期比 122.1%増)
- 基本的1株当たり当期利益: 591.68円
修正の背景には、当初想定を上回るペースでの政策保有株式の売却進捗があります。これにより、当初の増益計画をさらに上乗せし、過去最高水準の利益を見込んでいます。投資家にとっては、この「余剰資本」がさらなる追加還元や、介護事業を含む成長領域へのM&Aにどう振り向けられるかが焦点となります。
リスクと課題
絶好調に見える決算ですが、今後の注視すべきリスクも存在します。
- 気候変動と大規模災害: 下期に大型台風や寒波などが直撃した場合、保険サービス損益が急速に悪化する懸念があります。再保険コストの上昇も利益圧迫要因となり得ます。
- ガバナンスの再構築: 過去の不適切事案を受けた信頼回復の途上にあり、コンプライアンス遵守による営業活動の制約や、システム投資負担が継続する可能性があります。
- 市場環境の変化: 政策保有株の売却益は一過性の側面もあり、中長期的にはそれらに頼らない「本業の稼ぐ力」の持続性が問われます。また、国内金利上昇が債券ポートフォリオの含み損に与える影響にも目配りが必要です。
