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空運
航空会社
2026年3月期
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2026年5月17日
NEW · 3日前

航空2社・2026年3月期決算——過去最高の売上を更新!利益率で勝るJALと規模で勝るANAの「次の一手」

航空
空運
日本航空
JAL
ANAホールディングス
ANA
インバウンド
マイル経済圏
貨物事業
決算分析

比較企業 · 2

今期の総括

全社過去最高水準の売上も、利益率ではJALに軍配

日本の航空業界はコロナ禍から完全復活を遂げました。ANAホールディングスは売上高2.5兆円、日本航空(JAL)は2兆円を突破し、共に過去最高水準です。しかし、利益面ではJALが成長率26.4%と圧倒。規模の拡大を優先するANAと、収益性を重視するJALで、経営スタイルの差が鮮明になっています。

業界全体の動き

この1年、航空業界を押し上げた共通テーマは3つあります。

  • インバウンド需要の爆発

訪日外国人による国際線利用が極めて好調でした。欧米線やアジア線がフル稼働です。

  • ビジネス需要の回復

日本発の出張需要が想定以上に伸びました。単価の高い座席が埋まり、収益を支えました。

  • 機材更新への巨額投資

両社とも最新鋭の省エネ機材を導入しています。燃油費削減と脱炭素を同時に狙う動きです。

  • 非航空事業の強化

マイル経済圏や貨物事業など、空を飛ばない事業での稼ぎを競い始めています。

売上高 前年同期比

業界平均

ANAが前期比12.3%増と、JALの9.1%増を上回る成長。積極的なM&Aが売上の押し上げに大きく寄与したことがわかります。

純利益 前年同期比

業界平均

JALの純利益28.6%増に対し、ANAは10.5%増。コスト管理と効率的な機材運用により、JALの底力が勝った決算期となりました。

勝者と敗者:効率のJAL、規模のANA

今期、収益性の高さで「勝者」となったのは日本航空(JAL)です。

  • JALの営業利益率は10.8%に達しました。
  • 対するANA8.6%にとどまります。

JALは売上高こそ2兆125億円ANAを下回りますが、本業の儲け(営業利益)では2,180億円を稼ぎ出し、僅差で首位に立ちました。純利益の伸び率も28.6%と、ANA10.5%を大きく引き離しています。少数精鋭で稼ぐ筋肉質な経営が実を結んだ形です。

日本航空

勝者

日本航空(JAL)

ANA

苦戦

(不在・強いて言えば利益率で及ばぬANA)

売上高ランキング

業界平均

ANAが貨物事業の連結化で2.5兆円の大台を突破し、規模で圧倒。JALも2兆円を超え、共に過去最高水準の売上を記録しています。

営業利益ランキング

業界平均

売上で下回るJALが、営業利益ではANAを僅差で逆転。高単価なビジネス需要を効率よく取り込んだ結果が数字に表れました。

営業利益率ランキング

業界平均

JALが10.8%と二桁台に乗せ、収益性の高さが際立ちます。ANAは貨物子会社化による費用増もあり、効率面で課題を残しました。

注目の動き・戦略比較

各社の戦略には明確な違いが見られます。

  • ANAホールディングス「物流の王者」を目指す

日本貨物航空(NCA)を子会社化し、貨物事業を強化。売上を前期比12.3%増と伸ばしました。

  • 日本航空(JAL)「プラットフォーム企業」へ変身

ライフネット生命との提携を発表。マイルを軸に保険や金融へ広げる「航空一本足打法」からの脱却です。

また、両社とも財務基盤を固めています。ANAは社債型種類株式を、JAL2,000億円規模のハイブリッド証券を発行。将来の巨額投資に向けた資金調達を完了させました。

業界共通のリスク

  • 燃油価格と為替の変動

原油高や円安は、コストを押し上げる最大の不安定要因です。

  • 深刻な人手不足

パイロットや整備士の確保が、路線拡大の制約になる恐れがあります。

  • 地政学リスク

紛争による航路変更や、景気後退によるレジャー需要の冷え込みが懸念されます。

就活生・転職希望者へ

航空業界は今、最もエキサイティングな変革期にあります。

  • 活躍の場は「空」以外にも

IT、金融、物流など、航空会社のビジネス領域は急拡大しています。

  • グローバルな視点が必須

海外顧客が収益の柱であり、多国籍なチームで働く機会が増えています。

  • 挑戦を支える財務力

両社とも過去最高益水準。待遇改善や教育投資への余裕が生まれています。