大手ガス2社・2026年3月期通期決算——東京ガスの純益3倍増と大阪ガスの高効率経営、脱ガス化が加速
今期の総括
海外事業が利益の主役に。ガス販売頼みのモデルは過去のもの。
大手ガス2社の2026年3月期決算は、海外事業の成否が利益を大きく左右しました。東京瓦斯は純利益が前期比205.8%増と爆発的に伸び、大阪瓦斯も減収ながら営業利益率8.6%という高い稼ぐ力を維持しています。両社とも従来の「国内ガス販売」から、エネルギー投資会社へと変貌を遂げた姿が鮮明になりました。
業界全体の動き
この期間、ガス業界では3つの大きな共通テーマがありました。
- 海外上流事業の収益化: 北米を中心としたガス開発事業が、利益の柱として定着しました。
- 国内ガス単価の下落: 原料費調整制度により、国内の売上単価は下落傾向にありました。
- 非ガス部門の成長: 電力販売や不動産、海外投資が国内ガス事業の減益を補いました。
国内人口の減少を見据え、各社が収益源の多角化を急いだことが結果に現れています。
売上高 前年同期比
東京瓦斯は電力販売量の増加により7.5%増と好調。対照的に、大阪瓦斯はガス単価のマイナス影響をカバーしきれず、減収となりました。
純利益 前年同期比
東京瓦斯の205.8%増という数字が際立ちます。資産売却益という一過性要因を含むものの、収益構造の変革が加速しています。
勝者と敗者:爆発力の東京ガス、安定の大阪ガス
利益の伸び率で見れば、東京瓦斯が圧倒的な「勝者」です。純利益は前期比205.8%増の2,269億円を記録しました。北米シェールガス事業の改善に加え、固定資産の売却益が利益を押し上げました。
一方、大阪瓦斯は売上高が前期比1.9%減の2兆303億円と苦戦しました。しかし、営業利益率は8.6%と、東京瓦斯の7%を上回っています。国内不動産や海外事業を組み合わせた、バランスの良い収益構造が強みとなりました。
勝者
東京瓦斯
苦戦
大阪瓦斯(売上成長の観点)
売上高ランキング
東京瓦斯が売上高で首位を維持し、電力販売の拡大で成長しました。大阪瓦斯は単価下落の影響を受け、わずかに減収となりました。
営業利益ランキング
両社とも増益を確保。東京瓦斯は海外事業の改善で大幅に伸びましたが、大阪瓦斯も効率的な経営で肉薄しています。
営業利益率ランキング
大阪瓦斯が8.6%で東京瓦斯をリード。不動産事業や海外高利回り資産が、安定した収益性を支える構造になっています。
注目の動き・戦略比較
- 東京瓦斯:「持たない経営」へシフトしています。500億円規模の資産売却を進め、経営資源を再配分しました。海外事業がセグメント利益の37%を占めるまで成長しています。
- 大阪瓦斯:「ガス会社からの脱却」が鮮明です。海外事業の利益(883億円)が、ついに国内エネルギー事業(719億円)を逆転しました。都市開発などの非エネルギー事業も盤石です。
業界共通のリスク
好決算の裏には、無視できないリスクも潜んでいます。
- 資源価格の変動: 海外のガス価格や為替に利益が左右されやすい体質になっています。
- 脱炭素の圧力: 燃焼時にCO2を出すガスの需要は、長期的には減少を避けられません。
- 電力競争の激化: 新電力との顧客獲得競争により、国内の販売利益が削られる恐れがあります。
就活生・転職希望者へ
今のガス大手は「地域のインフラ企業」という古い枠組みには収まりません。東京瓦斯はグローバルな投資会社としての側面を強め、大阪瓦斯は多角経営を極めています。安定感だけでなく、海外プロジェクトや都市開発に挑みたい人にとって、非常にエキサイティングなフィールドが広がっています。
