印刷大手2社・2026年3月期決算——売上1.8兆円のTOPPANと、利益で勝るDNPの「脱・印刷」競争
比較企業 · 2社
今期の総括
売上のTOPPAN、利益のDNPと個性が明確化
国内印刷2強の決算は、進む道の違いが鮮明に出ました。TOPPANホールディングスは売上高1兆8,050億円で過去最高を更新。対する大日本印刷(DNP)は、営業利益1,010億円と「稼ぐ力」で圧倒しました。事業構造の転換を急ぐ両社の、最新の戦況を詳しく解説します。
業界全体の動き
印刷業界は今、歴史的な転換点にあります。主な要因は以下の3点です。
- 脱・紙ビジネスの加速。チラシや出版物から、半導体やEV材料へのシフトが鮮明です。
- 積極的な海外展開。国内市場の縮小を補うため、北米や欧州での買収が活発化しました。
- 株主還元の強化。PBR(株価純資産倍率)改善に向け、両社とも巨額の自社株買いを打ち出しました。
営業利益率ランキング
DNPの利益率がTOPPANを3ポイント上回ります。稼ぐ力の源泉はエレクトロニクス部門の強さにあります。
売上高 前年同期比
両社とも増収を確保。特にTOPPANは前年比5%増と、成熟業界ながら高い成長率を見せました。
純利益 前年同期比
両社とも純利益は前年割れ。TOPPANは構造改革、DNPは前期の資産売却の反動が主な要因です。
勝者と敗者:収益力で差をつけたDNP
今回の決算で「効率」が光ったのは大日本印刷です。営業利益は前年比7.9%増の1,010億円に到達しました。利益率も6.7%と、TOPPANホールディングスの3.7%を大きく引き離しています。その理由は、半導体向け部材など高収益事業の好調です。一方のTOPPANホールディングスは、営業利益が前年比21.1%減の671億円に沈みました。これは子会社の切り離しや、構造改革の費用が一時的に出たためです。
勝者
大日本印刷
苦戦
TOPPANホールディングス
営業利益ランキング
利益ではDNPが逆転。高付加価値な先端材料事業が利益を押し上げ、1,000億円の大台を突破しました。
注目の動き・戦略比較
- TOPPANホールディングス:規模で攻める戦略です。北米での大型買収により、売上高は5.0%伸びて業界首位を独走しています。短期的な利益より、世界市場でのシェア拡大を優先しています。
- 大日本印刷:独自技術で稼ぐ戦略です。EV向けのバッテリーパウチなど、先端材料が利益を牽引しました。エレクトロニクス部門の利益率は20%を超え、もはやメーカーの姿です。
売上高ランキング
TOPPANが1.8兆円超えで首位。北米での積極的なM&Aが売上の規模拡大に大きく寄与しています。
業界共通のリスク
- 原材料費とエネルギー価格の高騰。製造コストを価格に転嫁できるかが鍵となります。
- 中国市場の景気後退。半導体やスマートフォン向け部材の需要に影響する恐れがあります。
- デジタル化による紙需要のさらなる激減。既存の印刷設備の維持が重荷になるリスクです。
就活生・転職希望者へ
「印刷会社」という名前で判断するのは危険です。現在の実態は、最先端の化学・IT企業です。海外で大きな仕事がしたいなら、M&Aで急拡大するTOPPANが面白いでしょう。技術力を武器に、高い収益性を追求する環境ならDNPが適しています。どちらも変革期にあり、新しい挑戦を歓迎する社風に変わっています。
