四国地方銀行3社・2027年3月期Q1、金利上昇で明暗、阿波の増益といよぎんの苦戦
四国の地方銀行3社は、金利上昇を背景に貸出金利息が伸びる一方、有価証券損益の差が業績を分けました。阿波銀行は純利益が前年同期比53.7%増と伸び、いよぎんは債券売却損などで21.0%減。金利上昇の恩恵と損失が同時に表れた決算です。
今期の総括
金利上昇の恩恵と損失が同時に表面化
業界全体の動き
結論は、貸出金利息の伸びが各社の収益を支える一方、有価証券売買の損益が増益幅を左右したことです。3社の売上高は平均533億円、前年比の伸び率は平均48.6%でした。営業利益は平均174億円ですが、いよぎんの減益が全体の姿を押し下げています。
| 会社 | 売上高 前年比 | 営業利益 前年比 | 主な要因 |
|---|---|---|---|
| 百十四銀行 | 412億円 +70.7% | 95億円 +29.3% | 貸出利息・株式益 |
| 阿波銀行 | 379億円 +73.6% | 83億円 +56.5% | 解約益・株式益 |
| いよぎん | 808億円 +1.4% | 344億円 -21.0% | 債券売却損 |
- 金利収入の増加: 百十四銀行の貸出金利息は17.2%増。阿波銀行も貸出金利息と有価証券利息配当金が前年を上回りました。いよぎんも資金運用収益が33億7百万円増えています。
- 市場取引の影響: 百十四銀行と阿波銀行は株式売却益などが増益に寄与しました。一方、両行とも債券売却損が発生し、いよぎんでは債券売却損などが減益要因となりました。
- 費用の増加: 阿波銀行では預金利息が増加。百十四銀行といよぎんでは、債券売却損を含むその他業務費用が利益を圧迫しました。
貸出金利息の伸びは共通の追い風ですが、金利上昇の影響は一様ではありません。資金利益の増加を債券運用の損失が上回る局面もあり、銀行の収益を見る際は本業の利息収入と市場損益を分けて確認する必要があります。
売上高ランキング
売上高 前年同期比
勝者と敗者
増益率で最も勢いを示したのは阿波銀行、前年同期比で最も苦戦したのはいよぎんです。阿波銀行は営業利益が56.5%増、純利益が53.7%増でした。いよぎんは営業利益、純利益とも21.0%減で、規模の大きさが増益を意味しない結果となりました。
| 会社 | 営業利益 前年比 | 純利益 前年比 | 読み取れる要因 |
|---|---|---|---|
| 阿波銀行 | 83億円 +56.5% | 58億円 +53.7% | 利息収入・売却益 |
| 百十四銀行 | 95億円 +29.3% | 62億円 +28.4% | 貸出利息・株式益 |
| いよぎん | 344億円 -21.0% | 244億円 -21.0% | 債券売却損など |
- 阿波銀行: コア業務純益は118億61百万円で、前年同期比68億58百万円増えました。アセットスワップ解約益や株式売却益も利益を押し上げています。
- 百十四銀行: コア業務純益は35.4%増の86億95百万円でした。貸出金利息が伸びた一方、債券売却損の増加が利益の伸びを抑えました。
- いよぎん: 資金運用収益は増えましたが、経常費用が102億93百万円増加。債券売却損などが収益増を上回りました。
阿波銀行の増益には本業の改善と市場取引の双方が含まれ、すべてを継続的な収益とみなすことはできません。いよぎんは金利上昇の利息収入への効果が表れる一方、債券損失が重荷となりました。増益の質と市場損益の見極めが鍵です。
- 好調
- 阿波銀行
- 苦戦
- いよぎん


営業利益ランキング
営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
各社は利益成長だけでなく、株主還元や地域金融の再編にも動いています。配当の増額や自社株買いを打ち出す企業がある一方、統合協議は四国の金融地図を変える可能性を持ちます。
- 百十四銀行: 年間配当予想は株式分割後で70円です。分割調整後の前期実績58.5円から増配を見込みます。連結自己資本比率は10.62%で、前年度末から0.21ポイント上昇しました。
- 阿波銀行: 年間配当予想は190円で、前期の142.5円から増額します。第2四半期末の記念配当10円を含みます。連結自己資本比率は10.69%で、前年同期比0.13ポイント低下しました。
- いよぎん: 年間配当予想を前期の60円から80円へ増額し、上限150億円の自社株買いも予定します。愛媛銀行とは2027年4月をめどに株式交換を協議中で、交換比率は今後決定します。
還元策は、株主に利益を配分する姿勢を示す一方、業績の持続性と資本の状況を合わせて見る必要があります。いよぎんと愛媛銀行の協議は、顧客基盤や人材、サービスをどう組み合わせるかが今後の焦点です。就活生にとっても、再編後の事業運営や地域で担う役割に注目する価値があります。
業界共通のリスク
最大の共通課題は、金利上昇が利息収入を増やす一方で、債券評価や預金調達の負担も変えることです。今回の決算では、利息収入の増加だけで利益の方向を判断できないことが表れました。
- 債券売却損の拡大: 百十四銀行では債券売却損が利益の伸びを抑え、いよぎんでは債券売却損などが減益要因となりました。今回のデータでは、特にいよぎんへの影響が大きく表れています。
- 預金金利など調達費用の増加: 阿波銀行では預金利息が増え、経常費用も前年同期比130億79百万円増加しました。貸出金利息の伸びが調達費用を上回るかが焦点です。
- 市場取引への利益依存: 百十四銀行と阿波銀行では株式売却益などが増益に寄与しました。市場環境が変われば同じ押し上げ効果が続くとは限らず、両行は資金利益の推移も確認したいところです。
- 再編の実行と資本の維持: いよぎんと愛媛銀行の株式交換協議は、比率や運営体制が今後の注目点です。各社の自己資本比率にも変化があり、成長や還元との両立が求められます。
投資家は、利息収入の伸びだけでなく、債券損益や預金コストを含む利益の内訳を追う必要があります。就活生や転職希望者にとっては、再編や金利環境の変化が業務や必要な専門性にどう反映されるかも確認したい点です。
順位変化と構造トレンド
純利益の前年同期比では、阿波銀行と百十四銀行が増益、いよぎんが減益となり、増益率の序列は売上高の大きさとは異なりました。業界平均の純利益増加率は20.4%で、阿波銀行と百十四銀行はこれを上回り、いよぎんは下回っています。
- 阿波銀行: 純利益は58億円で、前年同期比53.7%増でした。貸出金利息などの改善に解約益や株式売却益が重なりました。
- 百十四銀行: 純利益は62億円で、前年同期比28.4%増でした。貸出金利息の伸びと株式等関係損益が寄与しました。
- いよぎん: 純利益は244億円と3社で最大ですが、前年同期比では21.0%減でした。資金運用収益が伸びても、債券売却損などが利益を押し下げています。
利益の規模と成長率は別の指標であり、いよぎんは規模を保ちながら減益、阿波銀行は規模で下回りながら高い増益率を示しました。ただし、阿波銀行と百十四銀行の増益には市場取引の寄与もあります。次の四半期では、本業の利息収入がどこまで利益を支えるかが比較の焦点です。
純利益 前年同期比
就活生・転職希望者へ
今回の決算は、銀行の仕事が貸出だけでなく、市場運用や預金調達の管理とも結びついていることを示しました。金利環境の変化は収益機会になる一方、債券運用や預金金利への対応も必要になります。
- 百十四銀行: コア業務純益が伸びる一方、債券売却損も発生しました。本業の融資収益と市場運用の両面に関心がある人に、決算の読みどころがあります。
- 阿波銀行: 貸出金利息や有価証券利息配当金の増加に加え、解約益や株式売却益も収益に影響しました。資金調達費用とのバランスを追う視点が重要です。
- いよぎん: 愛媛銀行との株式交換協議を進めています。統合が実現した場合の顧客対応や組織運営は、今後確認すべきテーマです。
就職先を比べる際は、決算の増益率だけでなく、地域の顧客に提供するサービスや各社の戦略にも目を向けたいところです。特に再編協議の進展は、組織や業務の変化に関心のある人にとって注目材料となります。
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