百十四銀行、2027年3月期第1四半期決算、経常利益29%増も債券損失が拡大

百十四銀行の2027年3月期第1四半期決算は、貸出金利息や株式等売却益の増加を受け、経常収益が前年同期比70.7%増、経常利益は29.3%増となりました。一方、国債などの債券売却損が膨らみ、費用も大きく増加しています。利益は伸びたものの、株式売却益が業績を押し上げる一方、債券損失が重荷となる構図が表れました。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 412億円 | +70.7% | 1,165億円 | 35% |
| 営業利益 | 95億円 | +29.3% | 330億円 | 29% |
| 純利益 | 62億円 | +28.4% | 210億円 | 29% |
この決算のポイント
- 1銀行業のセグメント利益は前年同期比27.9%増。貸出金利息と株式等関係損益の伸びが寄与
- 2リース業のセグメント利益は前年同期比44.4%減。経常収益は増えたが、利益は前年を下回った
- 3通期の経常利益予想は330億円で据え置き。第1四半期の経常利益は95億円
- 4年間配当予想は株式分割後で70円。分割調整後の前期実績58.5円に対し増配見込み
- 5連結自己資本比率は国内基準で10.62%。前年度末から0.21ポイント上昇
業績のポイント
百十四銀行(株式会社百十四銀行)の第1四半期は、経常収益が前年同期比70.7%増の412億21百万円、経常利益が29.3%増の95億39百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が28.4%増の61億79百万円でした。増収増益となった一方、債券売却損の増加が利益の伸びを抑えました。
- 収益の増加: 貸出金利息は前年同期比17.2%増の129億25百万円。株式等の売却益増加も経常収益を押し上げました。
- 費用の増加: 経常費用は前年同期比88.8%増の316億82百万円。国債などの債券売却損が増え、その他業務費用は136億75百万円となりました。
- 利益の伸び: 経常利益は前年同期から21億61百万円、純利益は13億68百万円増えました。
単体の補足資料では、コア業務純益が前年同期比35.4%増の86億95百万円と、本業の基礎的な収益力の改善が示されています。一方、債券関係損益は前年同期より悪化し、株式等関係損益の増加がそれを補う形でした。本業の収益力改善と有価証券損益の振れが併存しており、利益の持続性をみるうえでは、貸出金利息の伸びと市場運用の損益を分けて追う必要があります。
セグメント別動向
銀行業の利益が伸びた一方、リース業では増収減益となりました。報告セグメントの利益は、銀行業が前年同期比27.9%増、リース業が44.4%減でした。
銀行業は、経常収益が前年同期比76.0%増の388億41百万円、セグメント利益が27.9%増の89億80百万円でした。連結全体と同様、貸出金利息の増加や株式等売却益の拡大が収益を支えました。単体では法人向け貸出金残高が前年度末から144億63百万円増え、貸出金全体も149億96百万円増加しています。
リース業は、経常収益が前年同期比9.8%増の20億94百万円となった一方、セグメント利益は44.4%減の84百万円でした。短信は利益減少の個別要因を説明していないため、増収だけでは収益性の改善につながっていない点に留意が必要です。
その他は、クレジットカード業や信用保証業などを含み、セグメント利益は前年同期比44.2%増の6億69百万円でした。利益の増減率ではその他が最も高いものの、金額面では銀行業がグループ収益の中心です。
- 銀行業+27.9%
- リース業-44.4%
- その他+44.2%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行業 | 388億円 | 91% | 90億円 | 23.1% |
| リース業 | 21億円 | 5% | 84百万円 | 4.0% |
| その他 | 16億円 | 4% | 7億円 | 41.8% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前年度末比0.4%増の5兆8,712億36百万円、純資産は同44億51百万円増の3,888億77百万円でした。連結自己資本比率は国内基準で10.62%と、前年度末から0.21ポイント上昇しています。
| 項目 | 2026年6月末・予想 | 比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 5兆8,712億36百万円 | 前年度末比+0.4% |
| 連結自己資本比率(国内基準) | 10.62% | 前年度末比+0.21ポイント |
| 預金等残高(単体) | 4兆9,618億87百万円 | 前年度末比+846億57百万円 |
| 貸出金残高(単体) | 3兆7,127億32百万円 | 前年度末比+149億96百万円 |
| 年間配当予想 | 70円 | 分割調整後の前期実績58.5円を上回る |
第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、短信から営業・投資・財務キャッシュ・フローの実績は確認できません。2026年4月に1株を4株に分割しており、前期年間配当234円を分割後に換算した58.5円と比べると、今期予想は増配となります。自社株買いの実施は短信に記載がありません。
通期見通し
2027年3月期の通期業績予想は、2026年5月公表値から変更ありません。経常収益は前期比7.3%増、経常利益は13.3%増、純利益は11.4%増を見込みます。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績との比較 |
|---|---|---|---|
| 経常収益 | 1,165億円 | 1,165億円 | 前期比+7.3% |
| 経常利益 | 330億円 | 330億円 | 前期比+13.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 210億円 | 210億円 | 前期比+11.4% |
第1四半期の経常利益は通期予想の約28.9%、純利益は約29.4%に相当します。会社は予想を据え置いており、今回の増益を受けた上方修正はありません。株式等売却益が利益を押し上げる一方で債券売却損も膨らんでいるため、通期達成の確度を判断するには、今後の金利・債券市場の動きと本業の利ざや改善を確認したいところです。
戦略トピック
百十四銀行は従業員持株会向けの譲渡制限付株式インセンティブ制度を導入し、2026年8月5日に自己株式15万4,438株を処分しました。処分総額は約3億70百万円で、対象は百十四銀行従業員持株会です。
会社は、従業員の財産形成を支援するとともに、企業価値の持続的な向上に向けたインセンティブを設け、従業員と株主の価値共有を進める狙いを説明しています。これは株主還元としての自社株買いとは異なり、従業員の福利厚生と株主意識の向上を目的とする施策です。業績への短期的な寄与よりも、人材の定着や中長期の企業価値向上につながるかが今後の焦点です。
リスクと課題
利益は増加しましたが、株式・債券の売却損益や市場環境によって四半期ごとの収益が変動しやすい状態です。短信も、入手可能な情報に基づく業績予想は実際の結果と異なる可能性があるとしています。
- 債券価格の変動: 国債などの債券売却損が増加し、その他業務費用を押し上げました。金利や債券価格の変化が続けば、利益の振れにつながる可能性があります。
- 株式売却益への依存: 株式等売却益の増加が収益を支えました。売却益は市場価格や売却判断に左右されるため、本業の収益と区別して確認する必要があります。
- 信用コスト: 金融再生法開示債権は前年度末比2億14百万円増の502億77百万円で、開示不良債権比率は1.34%でした。比率は前年度末と同水準ですが、貸倒関連費用の動きには注意が必要です。
- 調達コストの上昇: 預金利息は前年同期比で増加しました。貸出金利息の伸びが続いても、預金金利の上昇が資金利益を圧迫する可能性があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/28)
2,924円
最新終値(2026/10/23)
2,618円-10.5%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#百十四銀行#決算#決算分析#四半期決算#2027年3月期#銀行業#経常利益#債券売却損#増配
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コメント
貸出金利息の増加に加え、単体のコア業務純益も伸びており、金利環境の変化を本業の収益改善につなげている点は前向きです。
一方、株式等売却益が利益を大きく押し上げるなかで債券売却損も拡大しており、増益の中身には市場要因が色濃く残ります。今後は、株式売却益に頼らず資金利益の伸びで利益を積み上げられるか、またリース業の採算が持ち直すかに注目したい決算です。
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