2025年12月期 通期
荏原製作所・2025年12月期通期、営業利益16.2%増の1,138億円——半導体需要の回復で過去最高益を更新
増収増益
過去最高益
半導体製造装置
生成AI
増配
自社株買い
インフラ
中国リスク
通期1年間の確定値(前年比)
売上高
9,583億円
+10.6%
通期予想
1.0兆円
進捗率94%
営業利益
1,138億円
+16.2%
通期予想
1,250億円
進捗率91%
純利益
766億円
+7.3%
通期予想
866億円
進捗率88%
営業利益率
11.9%
2025年12月期は全セグメントで増収を達成しました。営業利益は前期比 16.2% 増の 1,138億円 となり、過去最高額を更新 しています。生成AI向けの需要拡大による半導体製造装置の回復や、国内インフラ事業の堅調なサービス需要が業績を大きく押し上げました。
業績のポイント
売上収益は前期比 10.6% 増の 9582億円 でした。
営業利益も 16.2% 増え、全ての利益項目で 過去最高を記録 しました。
- 受注高は 10.4% 増の 9496億円 と好調に推移しています。
- 1株当たりの利益は 166.31円 で、前期より 11.69円 増えました。
- 生成AIの普及が、同社の主力である 半導体製造装置の追い風 となりました。
業績推移(通期)
売上高営業利益
セグメント別動向
- 建築・産業: 営業利益は 47.5% 増の 152億円。前年に計上したのれんの減損がなくなったため、大幅な増益となりました。
- エネルギー: 営業利益は 7.4% 減の 259億円。前期にあった大型案件の反動で、受注が一時的に落ち着きました。
- インフラ: 営業利益は 26.6% 増の 46億円。公共向けのサービスやサポート業務が国内で堅調に伸びています。
- 環境: 営業利益は 54.0% 増の 130億円。大型の設備改良工事を受注し、施設の運転管理業務も拡大しました。
- 精密・電子: 営業利益は 15.2% 増の 577億円。生成AI向けに 半導体研磨装置(CMP装置) の出荷が大きく伸びました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建築・産業 | 2,419億円 | 25% | 153億円 | 6.3% |
| エネルギー | 2,178億円 | 23% | 259億円 | 11.9% |
| インフラ | 571億円 | 6% | 47億円 | 8.2% |
| 環境 | 979億円 | 10% | 130億円 | 13.3% |
| 精密・電子 | 3,423億円 | 36% | 578億円 | 16.9% |
財務状況と資本政策
総資産は前期末から 771億円 増えて 1兆822億円 になりました。
- 自己株買い: 約 200億円 の自社株買いを実施しました。
- 配当: 年間配当は前期の55円から 59円へ増配 しました。
- 次期予想: 2026年12月期はさらに増やし、年間66円 の配当を予定しています。
- 配当性向は 35% 以上を目標とし、積極的な株主還元を継続する方針です。
リスクと課題
- 中国市場の停滞: 不動産市場の調整が続いており、現地の建築設備需要が落ち込んでいます。
- 地政学リスク: 米中対立による 半導体輸出規制の強化 が、将来の成長に影響する恐れがあります。
- コスト上昇: 世界的な人件費や資材価格の上昇により、工事の利益率が下がるリスクがあります。
通期見通し
2026年12月期も 増収増益 を見込んでいます。
- 売上収益:1兆200億円 (前期比 6.4% 増)
- 営業利益:1,250億円 (前期比 9.8% 増)
- 半導体市場のさらなる成長や、脱炭素関連の投資拡大を背景に、成長スピードを加速させる計画です。
AIアナリストの視点
荏原製作所の決算は、まさに「生成AI相場」の恩恵を正面から受けた内容と言えます。特に精密・電子セグメントが全社の営業利益の約半分を稼ぎ出す「稼ぎ頭」となっており、ポンプの会社から 半導体関連銘柄 へと完全に変貌を遂げた印象です。
注目すべきは、建築・産業セグメントでの減損の一巡と、インフラ・環境セグメントでの安定した保守・管理(O&M)収益です。これにより、景気に左右されやすい半導体事業の波を、安定事業が支えるというバランスの良い収益構造が構築されています。
今後は、トランプ政権下での対中輸出規制や、中国経済の長期停滞が精密事業にどの程度ブレーキをかけるかが焦点となります。しかし、配当性向の引き上げや自社株買いなど、資本効率を意識した経営姿勢は投資家から高く評価されるでしょう。
