エン、2027年3月期第1四半期決算、売上減も営業増益、事業譲渡益で純利益急伸

エンの2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比11.2%減の133億14百万円でしたが、コスト削減を背景に営業利益は10.5%増の14億68百万円となりました。engage事業の譲渡で計上した特別利益も寄与し、親会社株主に帰属する四半期純利益は347.6%増の42億46百万円に急増。事業の選択と集中を進める一方、今後は主力サービスの成長力が焦点です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 133億円 | -11.2% | 500億円 | 27% |
| 営業利益 | 15億円 | +10.5% | 28億円 | 52% |
| 純利益 | 42億円 | +347.6% | 55億円 | 78% |
| 営業利益率 | 11.0% | |||
この決算のポイント
- 1売上高は133億14百万円で前年同期比11.2%減、engage事業の承継が影響。
- 2営業利益は14億68百万円で10.5%増、人件費や広告宣伝費の減少が寄与。
- 3エージェント事業は売上高30億32百万円、前年同期比10.7%増と伸長。
- 4カカクコムへのengage事業の株式譲渡で、関係会社株式売却益48億84百万円を計上。
- 5年間配当予想は68円30銭で、前期実績の32円70銭から増配する計画。
業績のポイント
エン(エン株式会社)の2027年3月期第1四半期は、売上高が前年同期比11.2%減の133億14百万円となる一方、営業利益は10.5%増の14億68百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は347.6%増の42億46百万円でした。売上は減りましたが、営業利益率は前年同期の約8.9%から約11.0%に上昇しました。
- 売上高: engage事業の承継により前年同期比11.2%減。エージェント事業やリファレンスサービスは増収でした。
- 営業利益: 人件費と広告宣伝費の大幅な減少などを背景に、前年同期比10.5%増。
- 経常利益: 16.0%増の16億6百万円。営業外収益の増加や営業外費用の減少も寄与しました。
- 純利益: engage事業の株式譲渡に伴う48億84百万円の売却益を特別利益に計上し、前年同期比347.6%増。
売上減でも本業は増益となったのは、事業承継で売上規模が縮小する一方、費用も減ったためです。純利益の急増には一時的な譲渡益が大きく含まれており、継続的な稼ぐ力を見るには営業利益と各サービスの成長を分けて考える必要があります。会社は2026年3月期から2027年3月期までを構造改革期間と位置づけ、既存事業の改善、コスト削減、新たな成長戦略を進めています。
セグメント別動向
事業区分では、エージェントと採用サービスその他が増収増益となり、メディアは減収減益でした。特に採用サービスその他は、リファレンスチェックサービスの成長などを受けて大きく伸びています。
メディアは売上高73億66百万円(前年同期比4.3%減)、営業利益17億93百万円(16.7%減)でした。ミドルの転職は人材紹介会社との取引増加や広告宣伝費の効率化が進みましたが、エン転職は新規顧客との取引が伸び悩み、区分全体では減収減益です。前年同期比はengage事業承継の影響を除いた数値です。
エージェントは売上高30億32百万円(10.7%増)、営業利益6億10百万円(22.6%増)でした。エン エージェントとen worldでコンサルタントの生産性が向上し、en worldの人件費増を上回る売上成長につながりました。
採用サービスその他は売上高8億33百万円(74.2%増)、営業利益3億2百万円(105.3%増)。back checkで日系大手企業との取引が増え、ゼクウも利益成長しました。教育・評価サービスは研修や適性テストが伸び、売上高4億68百万円(0.8%増)でしたが、人員増強で営業利益は1億30百万円(1.9%減)。海外は米国のITエンジニア派遣が成長し、売上高16億5百万円(2.6%増)となった一方、需要回復を狙った広告宣伝費の増加で営業利益は2億38百万円(1.9%減)でした。
成長領域であるエージェントや採用関連サービスの伸びは、事業ポートフォリオの組み替えを進めるうえで支えになります。一方、メディアの新規顧客獲得や海外事業の利益回復は引き続き課題です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| メディア | 74億円 | 55% | 18億円 | 24.3% |
| エージェント | 30億円 | 23% | 6億円 | 20.1% |
| 採用サービス その他 | 8億円 | 6% | 3億円 | 36.3% |
| 教育・評価サービス | 5億円 | 4% | 1億円 | 27.8% |
| 海外 | 16億円 | 12% | 2億円 | 14.8% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末から24億54百万円増の521億62百万円、自己資本比率は65.7%となり、前期末の63.1%から上昇しました。現金及び預金はengage事業の株式譲渡などを受けて増えています。
| 項目 | 2026年3月末 | 2026年6月末・予想 |
|---|---|---|
| 総資産 | 497億8百万円 | 521億62百万円 |
| 純資産 | 318億24百万円 | 346億14百万円 |
| 自己資本比率 | 63.1% | 65.7% |
| 現金及び預金 | 185億24百万円 | 225億56百万円 |
| 年間配当 | 32円70銭 | 68円30銭(予想) |
現金及び預金は前期末から40億32百万円増加しました。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュ・フローの内訳は開示されていません。配当予想は中間配当が0円、期末配当が68円30銭で、前期実績からの増配を見込んでいます。自社株買いの実施について、短信に記載はありません。
資産増加と自己資本比率の上昇には、事業譲渡による資金流入と四半期純利益の計上が反映されています。ただし、純利益には譲渡益が含まれるため、増配計画の持続性は今後の本業の利益回復と合わせて確認したいところです。
通期見通し
2027年3月期の通期業績予想は、2026年5月14日に公表した内容から変更ありません。売上高は前期比15.4%減、営業利益は29.3%減の計画で、事業承継の影響などを織り込んでいます。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 今回予想と同額 | 500億円 | -15.4% |
| 営業利益 | 今回予想と同額 | 28億円 | -29.3% |
| 経常利益 | 今回予想と同額 | 34億6百万円 | -18.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 今回予想と同額 | 54億64百万円 | +108.9% |
第1四半期の営業利益は14億68百万円で、通期予想28億円に対する進捗率は約52.4%です。一方、純利益にはengage事業の譲渡益が含まれ、通期予想の前年超えをそのまま本業の成長とみなすことはできません。会社は予想を据え置いており、残る期間は既存事業の改善と成長投資の成果が焦点になります。
戦略トピック
エンは2026年4月1日、求人サイト「エンゲージ」と採用支援ツール「engage」を運営するengage事業を新会社に承継させたうえで、株式会社カカクコムに新会社株式の85.1%を譲渡しました。譲渡価額は51億49百万円で、売却後の持分比率は14.9%です。
- 事業承継: engage事業を株式会社エンゲージに移管し、事業運営を切り出しました。
- 外部連携: 求人サービスの競争環境が激しくなるなか、カカクコムとの連携で事業の継続的な成長を目指します。
- 経営資源の再配分: 事業ポートフォリオを見直し、既存事業の改善や成長投資に経営資源を重点配分する方針です。
会社は、採用市場の多様化や競合環境の激化を踏まえ、engage事業を単独で計画どおり成長させることは難しいと判断したと説明しています。株式譲渡益48億84百万円は当四半期の特別利益に計上されました。短期的には売上高が縮小する一方、事業を成長投資に意欲のある企業と運営することで、残る事業の収益性改善と資源配分の明確化を狙う経営判断です。
リスクと課題
構造改革と事業ポートフォリオの見直しを進めるなか、売上規模の縮小を補う既存サービスの成長が必要です。純利益の大幅増には一時的な譲渡益が含まれるため、営業利益の進捗や各サービスの顧客獲得力も確認する必要があります。
- 採用市場の競争激化: 会社は採用市場の多様化と競合環境の激化をengage事業の成長判断の背景に挙げています。求人サービスの顧客獲得が伸び悩めば、メディア事業の売上や利益を圧迫する可能性があります。
- メディアの新規顧客獲得: エン転職では新規顧客との取引が伸び悩みました。顧客基盤の拡大が遅れれば、ミドルの転職などの成長をメディア全体の回復につなげにくくなります。
- 利益の一時要因: 純利益には関係会社株式売却益が含まれます。翌期以降に同規模の譲渡益がなければ、純利益は本業の利益水準に左右されます。
- 需要回復に向けた費用負担: 海外では需要を取り込むため広告宣伝費を増やし、営業利益が前年同期比で減少しました。需要回復が想定どおり進まない場合、費用先行が利益を押し下げるおそれがあります。
会社は業績予想について、入手可能な情報と合理的な前提に基づくもので、実際の業績はさまざまな要因で変動すると注意を促しています。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
1,278円
最新終値(2026/10/23)
1,850円+44.8%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#エン#決算#決算分析#四半期決算#人材サービス#事業譲渡#営業増益#配当予想
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
営業利益が増えた点は評価できますが、売上減少の背景にはengage事業の承継だけでなく、エン転職の新規顧客獲得の弱さもあります。事業譲渡益を除いた本業の改善が続くかが、次の四半期以降の見どころです。
カカクコムとの連携は、競争が激しい求人サービスを単独で抱えず、経営資源を成長余地のある事業へ振り向ける選択といえます。増配計画も示されましたが、今後は譲渡益に頼らずに利益を積み上げられるかを注視したいです。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
関連記事
求人メディア・HRテックの最新記事
- 決算解説ディップ2027年2月期第2四半期(中間期)ディップ、2027年2月期第2四半期決算、売上11.4%減で通期予想を下方修正し営業損益に転換も戦略的投資継続へ

- 決算解説ビジョナル2026年7月期ビジョナル、2026年7月期通期決算、売上993億円で増収増益も純利益は横ばい予想に沈黙

- 決算解説JACリクルートメント2026年12月期 第2四半期(中間期)JACリクルートメント、2026年12月期第2四半期決算 増収増益で通期予想据え置き、自社株買い35億円

- 決算解説エスエムエス2027年3月期 第1四半期エスエムエス、2027年3月期第1四半期決算、営業益19%増も純利益減
- 業績・財務関連開示ディップ10月13日リョーヒト、売上高と経常利益の上方修正を発表。前期比増加率150%超の大幅成長へ向け配当も増額へ

- 自己株式取得・消却決定JACリクルートメント8月12日JACリクルートメント、上限35億円の自己株取得と消却を決定

掲載企業

エン株式会社
東証 4849
これが最新の決算解説です





