株式会社ナカニシ の会社詳細
株式会社ナカニシ
ナカニシ
2025年12月期 通期

ナカニシ・2025年12月期、売上高は過去最高を更新も137億円の減損で最終赤字——外科事業が急成長、次期はV字回復へ

ナカニシ
7716
歯科機器
減損損失
最終赤字
増配
V字回復
外科事業
高自己資本比率
中期経営計画
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

812億円

+5.4%

通期予想

882億円

進捗率92%

営業利益

141億円

-3.5%

通期予想

156億円

進捗率90%

純利益

-2,398百万円

通期予想

109億円

進捗率-22%

営業利益率

17.4%

歯科用回転機器で世界首位級のナカニシが発表した2025年12月期決算は、売上高が前期比 5.4%増811億7,900万円 となり過去最高を更新しました。一方で、連結子会社のDCI事業におけるのれん等の減損損失 137億7,400万円 を特別損失として計上した(前年同期は29億円)影響で、親会社株主に帰属する当期純損益は 23億9,800万円の赤字 (前期は85億円の黒字)に転落しました。本業の儲けを示す営業利益は 140億8,900万円 (前期比 3.5%減 )と微減にとどまっており、一時的な会計上の損失を除けば、世界的な需要拡大を背景とした成長基調は継続しています。

業績のポイント

2025年12月期の業績は、売上高が 811億7,900万円 (前期比 +5.4% )と伸長し、全4事業セグメントで増収を達成しました。特に外科事業が前期比 +28.1% と突出した伸びを見せ、グループ全体の成長を牽引しています。しかし、利益面では原材料価格の高騰や米中貿易摩擦に伴う不透明感、さらには一部地域での個人消費の弱含みが重石となりました。

営業利益は 140億8,900万円 (前期比 -3.5% )となり、売上高営業利益率は 17.4% (前期は18.9%)へと低下しました。最大の減益要因は、米国の歯科ユニット部品メーカー等の買収に関連して発生していた「のれん」について、将来の収益見通しを厳格に見直した結果、137億7,400万円巨額な減損損失を計上したことです。これにより、最終損益は赤字となりましたが、現金の流出を伴わない会計上の処理であり、キャッシュフローは依然として堅調に推移しています。

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力セグメントの動向は、成長性と課題が混在する結果となりました。外科事業が好調を維持する一方、歯科関連は地域による明暗が分かれています。

  • 歯科事業: 売上高は 481億9,700万円 (前期比 +3.6% )、セグメント利益は 168億5,200万円 (前期比 -1.3% )でした。欧州市場での販売が好調に推移したものの、日本国内や北米、アジア市場では買い控え等の影響で減収となり、全体として小幅な増益にとどまりました。
  • DCI事業: 売上高は 205億3,800万円 (前期比 +5.6% )と増収を確保しましたが、セグメント損益は 4億9,000万円の赤字 (前期は9,000万円の黒字)となりました。DSO(歯科グループ診療施設)向けの販売が一服したことに加え、前述の巨額減損の対象となったことで利益面を大きく圧迫しています。
  • 外科事業: 売上高 55億3,700万円 (前期比 +28.1% )、セグメント利益 26億6,700万円 (前期比 +18.5% )と極めて高い成長を記録しました。日本、北米、欧州、アジアの全地域で増収を達成しており、次世代の成長の柱としての地位を固めています。
  • 機工事業: 売上高 69億600万円 (前期比 +2.5% )、セグメント利益 8億1,700万円 (前期比 -1.0% )でした。北米やアジアでは伸長したものの、製造業の停滞が見られる日本や欧州での減収が響き、利益は横ばい圏内となりました。
セグメント売上高 (百万円)前期比営業利益 (百万円)前期比
歯科事業48,197+3.6%16,852△1.3%
DCI事業20,538+5.6%△490
外科事業5,537+28.1%2,667+18.5%
機工事業6,906+2.5%817△1.0%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
歯科事業482億円59%169億円34.9%
DCI事業205億円25%-490百万円-2.4%
外科事業55億円7%27億円48.2%
機工事業69億円9%8億円11.8%

財務状況と資本政策

巨額の最終赤字を計上したものの、ナカニシの財務基盤は依然として強固です。2025年12月末時点の総資産は 1,601億5,500万円 と前期末比で約18億円増加しました。減損の影響で純資産は 1,140億7,400万円 へと減少しましたが、自己資本比率は 71.0% (前期は76.3%)と、業界内でも極めて高い水準を維持しています。

キャッシュフロー面では、営業活動によるキャッシュフローが 166億4,900万円 の収入(前期比 +13億円)となり、本業での稼ぐ力は健在です。これを背景に、同社は積極的な株主還元を継続する方針です。2025年12月期の年間配当は前期から2円増配の 54円 とし、さらに2026年12月期は 60円 (前期比+6円)への増配を予想しています。最終赤字の中でも増配に踏み切る判断は、一過性の損失を乗り越えられるという経営陣の強い自信の表れと言えます。

通期見通し

2026年12月期の通期連結業績予想については、前期の減損損失という「膿」を出し切ったことで、大幅な利益改善を見込んでいます。売上高は前期比 8.6%増881億8,000万円 、営業利益は 11.0%増156億4,200万円 を計画しています。想定為替レートは1ドル150円、1ユーロ170円と設定されました。

特に、前期に苦戦したDCI事業の立て直しと、外科事業の継続的な高成長が鍵となります。中期経営計画「NV2030」で掲げる売上高1,000〜1,200億円の達成に向け、グローバル競争力の強化に向けた体制整備を一層加速させる方針です。

項目2024年12月実績2025年12月実績2026年12月予想
売上高77,04181,17988,180
営業利益14,59614,08915,642
親会社株主に帰属する当期純利益8,577△2,39810,943

リスクと課題

同社が直面する主なリスクとして、以下の要因が挙げられます。海外売上比率が極めて高いため、為替変動による業績への影響は不可避です。

  • 地政学リスクとマクロ経済: 米中貿易摩擦の激化や、ドイツ・フランスなど主要国の景気低迷が継続する場合、設備投資需要を減退させる恐れがあります。
  • 原材料・物流コスト: エネルギー価格や原材料価格の高止まりが続けば、売上原価を押し上げる要因となります。
  • 買収事業の統合: DCI事業のように、M&A後のシナジー創出が計画通りに進まない場合、再度の減損リスクが発生する可能性があります。
  • 競争環境: 世界市場でのシェア争いが激化しており、研究開発投資の効率性が試されています。
AIアナリストの視点

今回の決算で最も注目すべきは、137億円という巨額減損をあえてこのタイミングで「一括計上」した経営判断です。これにより、将来ののれん償却費負担が軽減され、2026年度以降の利益が出やすい構造に作り変えられました。

投資家にとってのポジティブな材料は以下の通りです:

  • 外科事業の爆発的な成長: 28%増という数字は、歯科一本足打法からの脱却が順調に進んでいることを示唆します。
  • 還元姿勢の維持: 赤字決算でありながら増配(54円→60円予想)を発表したのは、キャッシュフローの強さに裏打ちされた自信です。
  • 財務の健全性: 減損後も自己資本比率70%超を維持しており、倒産リスクなどは皆無と言えます。

就活生にとっては、世界シェアトップクラスの技術力を持ちつつ、外科という新しい領域で急成長している「グローバル・ニッチ・トップ」の勢いを感じられる決算と言えるでしょう。一時的な赤字に惑わされず、本業の収益性と成長の源泉を見極めることが重要です。