NISSHA、2026年12月期第2四半期決算、USM減損で営業赤字に転落

NISSHAの2026年12月期第2四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比1.0%減の960億円、営業損益は45億円の赤字となり、前年同期の25億円の黒字から赤字に転落しました。タブレット向け需要の大幅減に加え、買収したUSMの不適切会計を受けてのれんの減損損失を計上し、親会社株主に帰属する中間純損益も54億円の赤字です。通期予想は修正され、減益見通しが続きます。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 960億円 | -1.0% | 1,950億円 | 49% |
| 営業利益 | -4,500百万円 | — | -3,300百万円 | — |
| 純利益 | -5,473百万円 | — | -6,200百万円 | — |
| 営業利益率 | -4.7% | |||
この決算のポイント
- 1売上高は前年同期比1.0%減の960億円、営業損益は前年同期の黒字から45億円の赤字に転落
- 2ディバイスはタブレット向け需要が落ち込み、USMの減損も重なり60億円の営業損失
- 3メディカルは医療機器・医薬品CDMOが堅調で、売上高は前年同期比8.0%増、営業利益も11.1%増
- 4USM株式の譲渡を決め、のれんの減損損失67億円を計上。通期業績予想を修正
- 5年間配当予想は50円で前期と同額。中間期末の現金は前期末比92億円減
業績のポイント
NISSHA(NISSHA株式会社)の2026年12月期中間期は、売上高が前年同期比1.0%減の960億円、営業損益は前年同期の25億円の黒字から45億円の赤字へ転落しました。親会社の所有者に帰属する中間損益も、前年同期の2000万円の黒字から55億円の赤字となりました。
- 需要の明暗: 産業資材の加飾分野やメディカルの医療機器・医薬品CDMOは堅調でしたが、ディバイスでタブレット向け需要が大幅に減少しました。
- 減損損失: 買収したUSMの株式譲渡を踏まえ、のれんの減損損失を計上しました。営業損失に加え、その他の費用も前年同期から大きく膨らみました。
- 利益を圧迫した費用: 営業利益は前年同期比で71億円悪化しました。USM関連の減損のほか、販売費及び一般管理費の増加も利益を押し下げました。
買収先の不適切会計と減損が赤字転落の決定打となりました。売上高の落ち込みは小幅でも、タブレット需要の弱さと一時的な減損損失が重なり、利益面への影響は大きくなっています。中間期は基礎的な事業の採算とUSM関連損失を分けて見る必要があります。
セグメント別動向
セグメントでは、ディバイスの落ち込みを産業資材とメディカルの増収で補いきれませんでした。前年同期比の売上高の動きには、タブレット需要への依存度やCDMO需要の底堅さが表れています。
- 産業資材は、モビリティ向け外装機能部品など加飾分野の需要増を受けて増収でした。一方、同部品の生産関連費用が増え、営業利益は前年同期比27.9%減となりました。
- ディバイスは、タブレット向け需要の大幅減で減収となり、営業損益は前年同期の11億円の黒字から61億円の赤字に転じました。USMののれん減損も損失を押し広げました。
- メディカルは、医療機器CDMOの堅調な需要と医薬品CDMOの底堅さから増収増益となりました。幅広い診療領域の製品やCDMO事業が業績を支えています。
- その他は情報コミュニケーションなどを含み、売上高は前年同期比で増加し、営業損失は縮小しました。
| セグメント | 売上高の前年同期比 | 営業利益の前年同期比 |
|---|---|---|
| 産業資材 | +9.5% | -27.9% |
| ディバイス | -23.1% | 黒字から赤字 |
| メディカル | +8.0% | +11.1% |
| その他 | +5.0% | 赤字縮小 |
売上成長を利益につなげたメディカルと、生産費用増で減益となった産業資材の差も注目点です。ディバイスは需要回復に加え、USMの譲渡後に事業構成や採算をどう立て直すかが課題となります。
- 産業資材+9.5%
- ディバイス-23.1%
- メディカル+8.0%
- その他+5.0%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 産業資材 | 411億円 | 43% | 15億円 | 3.7% |
| ディバイス | 229億円 | 24% | -6,050百万円 | -26.5% |
| メディカル | 290億円 | 30% | 19億円 | 6.6% |
| その他 | 30億円 | 3% | -12百万円 | -0.4% |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末から25億円増の2526億円、親会社所有者帰属持分比率は45.4%でした。営業活動では資金を確保した一方、投資支出などを受けて現金及び現金同等物は減少しています。
| 項目 | 2026年中間期末・実績 | 比較・前年同期比 |
|---|---|---|
| 総資産 | 2526億円 | 前期末比 +25億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 45.4% | 前期末 46.1% |
| 営業キャッシュ・フロー | 56億円 | 前年同期比 +80.6% |
| 投資キャッシュ・フロー | -116億円 | 前年同期比で支出増 |
| 現金及び現金同等物 | 300億円 | 前期末比 -92億円 |
| 年間配当予想 | 50円 | 前期と同額 |
営業キャッシュ・フローには減価償却費や減損損失などの非資金費用が含まれます。投資キャッシュ・フローでは固定資産の取得や子会社取得が主な支出となり、期末現金は前期末を下回りました。年間配当予想は中間・期末各25円で、業績予想を修正した一方、配当予想は据え置いています。
通期見通し
NISSHAは2026年12月期の通期業績予想を修正しました。今回の売上高予想は前期比0.1%増ですが、営業損益は33億円の赤字、親会社の所有者に帰属する当期損益は62億円の赤字を見込んでいます。
| 項目 | 2026年12月期今回予想 | 前回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1950億円 | 決算短信本文に記載なし | 決算短信本文に記載なし |
| 営業損益 | -33億円 | 決算短信本文に記載なし | 決算短信本文に記載なし |
| 親会社所有者帰属当期損益 | -62億円 | 決算短信本文に記載なし | 決算短信本文に記載なし |
通期予想は5月公表分から修正されていますが、修正前の数値や修正理由の詳細は短信本文に記載されていません。中間期の営業損失は通期予想の赤字額を上回る水準に達しており、下期にどこまで損失を縮小できるかが焦点です。
戦略トピック
USM HEALTHCARE MEDICAL DEVICES FACTORY JOINT STOCK COMPANY(USM)を巡る会計問題が、今中間期の大きな経営課題となりました。NISSHAはUSMを買収後、買収前の期間に循環取引を中心とする不適切な会計処理があったと公表し、USM株式の譲渡を決定しました。
- 買収後に判明した問題: USMでは買収前の会計処理に不適切な点が見つかり、決算発表の延期や半期報告書の提出期限延長申請の検討を公表しました。
- 株式譲渡と減損: USM株式の譲渡を決め、譲渡を踏まえた減損テストにより、のれんの減損損失を計上しました。
- 連結範囲の変更: 中間期にUSMを新規連結しました。買収・連結後の管理体制や会計確認の強化が問われます。
今回の減損は当期利益を押し下げるだけでなく、買収先の調査や管理のあり方にも課題を残しました。株式譲渡の完了時期や損失の追加計上の有無、ディバイス事業の収益回復とあわせ、今後の開示を確認したいところです。
リスクと課題
短期的にはUSM関連の損失処理とディバイスの需要回復が焦点です。中東情勢などの外部環境や買収先管理の課題も、業績と資金繰りを左右する可能性があります。
- USMの会計・譲渡リスク: 買収前の不適切な会計処理が判明し、のれんの減損を計上しました。譲渡の進捗や追加の損失・対応費用が業績に影響する可能性があります。
- タブレット需要の低迷: ディバイスの主力製品はタブレットなどに採用されており、需要減が続けば売上高と利益の回復を妨げます。
- 生産コストの上昇: 産業資材ではモビリティ向け需要が増えた一方、生産関連費用が増加しました。販売拡大が利益改善に結びつくかが課題です。
- 地政学・エネルギー価格: 会社は中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格上昇などを挙げています。物価や調達コストの変動が利益を圧迫するおそれがあります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/9/29)
1,158円
最新終値(2026/10/23)
1,109円-4.2%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#NISSHA#決算#決算分析#四半期決算#減損損失#ディバイス#メディカルCDMO#通期業績予想
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コメント
増収・増益の軸になり得るメディカルが堅調な一方、タブレット需要の低迷とUSM問題が重なり、事業ごとの明暗がはっきりした決算です。
下期の焦点は、USMの後始末と本業の利益回復を切り分けて確認することです。減損を除いた事業の採算、ディバイスの受注・需要動向、修正後の通期予想に対する進捗を、次の決算で丁寧に見たいところです。
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