野村マイクロ・サイエンス株式会社 の会社詳細
野村マイクロ・サイエンス株式会社
野村マイクロ・サイエンス
2026年3月期 第3四半期

野村マイクロ・サイエンス・2026年3月期Q3、米国での大型案件好調で営業利益18.0%増——生成AI需要を背景に受注高は55.9%増

野村マイクロ・サイエンス
増収増益
半導体関連
生成AI
超純水装置
米国市場
受注高好調
自己資本比率上昇
就職活動
投資判断
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

410億円

+28.9%

通期予想

600億円

進捗率68%

営業利益

46億円

+18.0%

通期予想

62億円

進捗率75%

純利益

29億円

+38.7%

通期予想

38億円

進捗率75%

営業利益率

11.3%

半導体向け超純水装置大手の野村マイクロ・サイエンスが発表した2026年3月期第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比 28.9%増41,046百万円、営業利益が 18.0%増4,640百万円 と大幅な増収増益を記録しました。生成AIやクラウドインフラ向けの半導体投資が世界的に拡大するなか、米国での大型水処理装置の工事が順調に進捗したことが主因です。また、受注高は前年同期比 55.9%増27,490百万円 と極めて高い水準にあり、旺盛な需要を背景に底堅い成長が続いています。

業績のポイント

当第3四半期累計期間の業績は、売上高が 41,046百万円(前年同期比 28.9%増)、営業利益が 4,640百万円(同 18.0%増)、経常利益が 3,891百万円(同 38.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 2,865百万円(同 38.7%増)となりました。前年同期の業績が低調であった反動も含まれますが、主力とする半導体業界において生成AI向けのメモリーやロジック製品の投資が活発化したことが、同社の業績を力強く押し上げています。

特に受注環境が劇的に改善しており、受注高は 27,490百万円 と、前年同期の 17,631百万円 から大幅に増加しました。これは、地域的な差異はあるものの、主要な顧客である半導体関連企業の設備投資意欲が引き続き旺盛であることを示しています。水処理装置本体の売上に加え、稼働後のメンテナンスや消耗品の販売も 12,428百万円(同 18.5%増)と手堅く推移しており、ストック型ビジネスとしての側面も収益の安定に寄与しています。

指標2025年3月期 Q32026年3月期 Q3前年同期比
売上高31,855百万円41,046百万円+28.9%
営業利益3,933百万円4,640百万円+18.0%
経常利益2,817百万円3,891百万円+38.1%
四半期純利益2,066百万円2,865百万円+38.7%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

地域別の業績では、米国市場の成長が際立っています。米国セグメントは売上高 8,414百万円(前年同期比 263.7%増)、セグメント利益 2,075百万円(前年同期は 96百万円)と、文字通り利益成長の牽引役となりました。これは、米国での大型水処理装置の工事が計画通り順調に進捗したことによるものです。

国内(日本)セグメントは売上高 18,834百万円(同 11.9%増)と増収を確保したものの、セグメント利益は 1,689百万円(同 9.7%減)となりました。これはメンテナンス需要が好調だった一方で、前年同期に計上された一部の採算性の高い大型案件の反動が出たためです。韓国セグメントは売上高 7,064百万円(同 161.6%増)と急拡大しましたが、戦略的受注の影響や販管費の増加により、利益は 293百万円(同 10.6%減)に留まりました。

一方で、中国および台湾市場は苦戦を強いられています。中国は大型案件の一巡により売上高が 31.8%減、台湾も顧客の計画変更による工事の遅れが響き、売上高が 35.2%減 となりました。半導体投資が米国や日本へシフトするなか、地域ごとの景況感の差が鮮明になっています。

地域売上高前年同期比セグメント利益前年同期比
日本18,834百万円+11.9%1,689百万円△9.7%
韓国7,064百万円+161.6%293百万円△10.6%
中国4,835百万円△31.8%17百万円△97.6%
台湾1,891百万円△35.2%588百万円△36.3%
米国8,414百万円+263.7%2,075百万円+2,056%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
日本188億円46%17億円9.0%
米国84億円21%21億円24.7%
韓国71億円17%3億円4.1%
中国48億円12%17百万円0.4%

財務状況と資本政策

財務状態については、総資産は前期末比 7,071百万円減109,711百万円 となりました。これは主に工事の進捗に伴う売掛金や契約資産の減少、および借入金の返済が進んだことによるものです。負債合計も 71,056百万円 と、前期末から 8,712百万円減少 し、財務の健全化が進んでいます。

経営指標として注目される自己資本比率は、前期末の 31.2% から 34.6% へと上昇しました。資本効率の向上を掲げるなか、自己資本の充実と有利子負債の削減を同時に進めている格好です。

配当政策については、当期の年間配当予想を 70.00円(中間20円、期末50円)としています。前期実績の 80.00円(株式分割考慮後ベース)と比較すると減配の形となりますが、これは前期の業績が極めて高水準であったことに対する配慮と、将来の成長投資に向けた資金留保のバランスを考慮した経営判断といえます。

通期見通し

2026年3月期の通期連結業績予想については、前回発表から変更はありません。売上高は前期比 37.7%減60,000百万円、営業利益は 59.7%減6,200百万円 を見込んでいます。Q3累計時点での進捗率は、売上高が 68.4%、営業利益が 74.8% となっており、概ね計画に沿った推移を見せています。

前期の業績が過去最高水準であったことからの反動減を織り込んだ予想となっていますが、米国の大型案件の貢献や、足元の好調な受注状況を鑑みると、通期目標の達成に向けた確度は高いと考えられます。今後は、遅延している台湾案件の再開時期や、中国市場の底打ちがどの程度進むかが焦点となります。

項目通期予想前期実績 (2025/3)増減率
売上高60,000百万円96,236百万円△37.7%
営業利益6,200百万円15,386百万円△59.7%
経常利益5,184百万円13,383百万円△61.3%
当期純利益3,837百万円10,214百万円△62.4%

リスクと課題

同社が直面している主なリスクとして、以下の点が挙げられます。

  • 地政学リスクと通商政策: 米中対立に伴う半導体製造装置の輸出規制や、各国の通商政策の変化が、プロジェクトの遅延や受注の中止を招くリスクがあります。
  • 特定の市場への依存: 足元では米国市場が大きく寄与していますが、大型案件の進捗に業績が左右されやすい構造があります。地域ごとの受注の平準化が課題です。
  • 中国経済の回復遅延: 中国セグメントの低迷が続いており、同地域における設備投資の抑制が長期化する懸念があります。
  • 人材確保とコスト管理: 事業拡大に伴う優秀なエンジニアの確保、および資材価格の高騰が利益率を圧迫する可能性があります。
AIアナリストの視点

野村マイクロ・サイエンスの決算で最も注目すべきは、「受注高の急回復」です。Q3単体で見ても非常に力強く、生成AIという明確な成長ドライバーが同社の超純水装置ビジネスに直結していることが確認できました。

特に米国セグメントの利益成長は驚異的で、一時期の「中国・台湾頼み」から「日・米・韓」へのシフトがうまく機能している印象を受けます。通期予想が前期比で大幅な減益となっているため、見かけ上の数字は厳しく見えますが、これは前期の特需に対する反動であり、実態としては中長期的な成長曲線の上にあると判断できます。

就活生や投資家にとっては、以下の2点が今後の注目ポイントです。

  • 米国・日本での半導体工場新設ラッシュに伴い、どれだけ継続的に大型案件を獲得できるか。
  • 装置販売後のメンテナンス(ストックビジネス)比率をどこまで高め、景気変動に強い収益構造を構築できるか。

リスクとしては台湾での計画変更などが挙げられていますが、全体としては生成AIブームの恩恵を直接受ける銘柄として、引き続き高い注目を集めそうです。