レーザーテック・2026年6月期Q2、純利益5.6%増の457億円——先端半導体向け底堅く、サービス収益が25%増と伸長
売上高
1,283億円
-0.6%
通期予想
2,200億円
営業利益
630億円
-1.1%
通期予想
1,000億円
純利益
457億円
+5.6%
通期予想
720億円
営業利益率
49.1%
半導体検査装置で世界的なシェアを誇るレーザーテックが30日に発表した2026年6月期第2四半期(中間期)連結決算は、売上高が前年同期比 0.6%減 の 1,282億5,800万円 、純利益は同 5.6%増 の 457億4,500万円 となった。生成AI市場の急拡大を背景に、GPUやHBM(広帯域メモリ)といった先端半導体デバイス向けの設備投資が追い風となっている。装置売上の検収タイミングにより営業利益は微減となったものの、設置台数の増加に伴う保守サービス収益の拡大と為替差益の計上が最終利益を下支えした。
業績のポイント
当第2四半期累計期間の業績は、売上高が 1,282億5,800万円 (前年同期比 0.6%減 )、営業利益が 629億9,100万円 (同 1.1%減 )とほぼ前年並みの水準を維持した。利益面では、経常利益が 651億3,000万円 (同 4.3%増 )となり、純利益とともに前年を上回っている。これは営業外収益において、円安進行に伴う 為替差益17億7,600万円 を計上したことが大きく寄与した。
世界的な景気減速への懸念はあるものの、半導体業界ではAI関連の投資が依然として旺盛だ。特に最先端プロセスにおける検査需要は高く、同社の製品群への引き合いは堅調に推移している。売上高がわずかに減少したのは、製品の検収時期が次四半期以降に分散したことによる一時的な要因であり、事業のファンダメンタルズに変化は見られない。
| 指標 | 2025年6月期 中間期 | 2026年6月期 中間期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,289億円 | 1,282億円 | △0.6% |
| 営業利益 | 636億円 | 629億円 | △1.1% |
| 経常利益 | 624億円 | 651億円 | +4.3% |
| 中間純利益 | 433億円 | 457億円 | +5.6% |
業績推移(通期)
セグメント別・品目別動向
同社は検査・測定装置の単一セグメントだが、品目別の動向では「サービス」部門の成長が際立っている。サービス売上高は 278億7,200万円 と、前年同期から 25.7%の大幅増 を記録した。世界中で同社装置の稼働台数が増加していることに伴い、 保守メンテナンスやアップグレード需要 が安定的な収益基盤として強固になっていることが伺える。
主力である半導体関連装置の売上高は 983億1,600万円 (前年同期比 4.6%減 )となった。地域別で見ると、米国向けが 291億7,700万円 (同 37.4%増 )、韓国向けが 316億3,500万円 (同 54.8%増 )と大きく伸長した一方で、前期に好調だった台湾向けは 134億4,700万円 (同 69.4%減 )と減少が目立った。主要顧客である大手ファウンドリやメモリメーカーの設備投資サイクルの違いが、地域別売上の変動として現れている。
| 品目 | 前年同期売上 | 当期売上 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 半導体関連装置 | 1,030億円 | 983億円 | △4.6% |
| その他製品 | 37億円 | 20億円 | △44.3% |
| サービス | 221億円 | 278億円 | +25.7% |
財務状況と資本政策
財務基盤は極めて強固で、自己資本比率は前年度末の 63.7% から 72.8% へと大きく上昇した。総資産は 3,096億7,400万円 と、前期末比で 199億2,700万円減少 したが、これは主に前受金の減少(368億円減)や仕掛品の減少によるものである。負債が減少した一方で純資産が積み上がっており、 盤石な財務体制 が維持されている。
株主還元については、中間配当を前年同期の115円から増額し、 132円 とした。また、資本効率の向上と株主への利益還元を目的として、 120億200万円 の 自己株式取得 を実施し、12月までに完了させている。成長投資のための資金を確保しつつ、創出したキャッシュを積極的に株主へ還元する姿勢を鮮明にしている。
通期見通しの修正
同社は決算発表に合わせ、2026年6月期の通期連結業績予想を修正した。売上高は前期比 12.5%減 の 2,200億円 、営業利益は同 18.6%減 の 1,000億円 を見込む。この下方修正は、一部製品の売上検収時期が当初予想より前倒しになったことや、為替レートの変動による影響を精査した結果である。
ただし、依然として営業利益率は 45.5% という 製造業として驚異的な水準 を維持する見通しだ。先端半導体の微細化が進む中で、同社のEUV(極端端紫外線)関連検査装置に対する重要性は一段と高まっており、短期的な業績変動に左右されない中長期的な成長ストーリーに揺らぎはないとしている。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正予想 | 前期実績(FY25) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | - | 2,200億円 | 2,514億円 |
| 営業利益 | - | 1,000億円 | 1,228億円 |
| 当期純利益 | - | 720億円 | 845億円 |
| 年間配当金 | 329円 | 329円 | 329円 |
リスクと課題
今後の懸念材料として、以下の要因が挙げられている。
- 地政学リスクと輸出規制: 米中対立などを背景とした半導体製造装置の輸出規制強化が、将来の販売機会に影響を与える可能性がある。
- 顧客投資の変動: 主要な半導体メーカー数社への売上依存度が高いため、これら顧客の設備投資計画の変更が業績を大きく左右する。
- 技術革新への追随: 次世代の半導体プロセスに対応する新製品の開発において、研究開発の遅延や競合他社の台頭がリスクとなる。
レーザーテックの決算で特筆すべきは、装置販売という「フロー」のビジネスから、保守サービスという「ストック」のビジネスへの移行が着実に進んでいる点です。サービス収益が前年比25%増と伸びていることは、累計導入台数がクリティカルマスを超え、景気変動に強い収益構造が構築されつつあることを示唆しています。
また、営業利益率が45%を超えている点は、同社の検査技術が市場において代替困難な「唯一無二」の地位にあることの証左です。通期予想が前期比でマイナスとなっている点は、前期の特需的な売上の反動や検収タイミングによるものであり、AI・HBM市場の拡大というマクロの追い風を考慮すれば、悲観的な内容ではないと評価できます。
投資家や就活生にとっては、同社が単なる「機械メーカー」ではなく、最先端技術の「門番(ゲートキーパー)」として、半導体の進化を支えるプラットフォーマー的な側面を強めている点に注目すべきでしょう。
