ラウンドワン・2026年3月期Q3、営業利益7.9%増の195億円——日本国内のクレーンゲーム好調で増収増益、米国は投資先行
売上高
1,357億円
+7.1%
通期予想
1,888億円
営業利益
196億円
+7.9%
通期予想
301億円
純利益
113億円
+0.9%
通期予想
178億円
営業利益率
14.4%
ボウリング・アミューズメント施設を展開するラウンドワンの2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月)連結決算は、売上収益が前年同期比 7.1%増 の 1,356億円、営業利益が同 7.9%増 の 195億円 となった。国内事業においてクレーンゲームの需要を捉えた景品展開やコラボ施策が奏功し、大幅な利益成長を牽引した。一方で米国事業は新店効果により増収を確保したものの、利益面では先行投資や運営コストの影響を受け、グループ全体では 「国内好調・海外投資」 の構図が鮮明となっている。
業績のポイント
当第3四半期の累計業績は、売上・利益ともに前年を上回る堅調な着地となった。売上収益は 1,356億6,500万円(前年同期比 +7.1%)、営業利益は 195億6,100万円(同 +7.9%)を記録している。特に国内市場における雇用・所得環境の改善を背景としたレジャー需要の回復が追い風となった。
利益面では、光熱費や人件費などのコスト上昇圧力があるものの、高単価・高利益率のアミューズメント部門が成長したことで吸収した。親会社の所有者に帰属する四半期利益は 113億4,400万円(同 +0.9%)となり、前年並みの水準を確保している。同社は独自の指標として 調整後EBITDA を重視しており、こちらは 518億3,400万円(前年同期は501億7,600万円)と、キャッシュ創出力の高さを示した。
| 項目 | 2025年3月期 Q3 | 2026年3月期 Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1,266億円 | 1,356億円 | +7.1% |
| 営業利益 | 181億円 | 195億円 | +7.9% |
| 四半期利益 | 112億円 | 113億円 | +0.9% |
| 調整後EBITDA | 501億円 | 518億円 | +3.3% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
日本セグメントは、売上高 785億900万円(前年同期比 +6.8%)、セグメント利益 151億6,200万円(同 +27.8%)と、 極めて高い収益成長 を達成した。クレーンゲームにおいて多種多様な限定景品を投入したほか、人気アーティストやアニメとの期間限定コラボキャンペーンが若年層やファミリー層の集客を強力に後押しした。ボウリング(5.3%増)やカラオケ(6.9%増)など全カテゴリーで前年を上回る好調な推移を見せている。
米国セグメントは、売上高 561億9,300万円(前年同期比 +8.1%)と増収を維持した一方で、セグメント利益は 62億1,400万円(同 15.3%減)と苦戦した。2025年12月にテキサス州へ新規出店を行うなど規模拡大を急いでいるが、出店に伴う一時費用や人件費等の運営コストが利益を圧迫する形となった。また、米国ではボウリング(8.4%増)が好調な一方、スポーツ体験施設のスポッチャが3.1%減と軟調で、カテゴリー間での明暗が分かれている。
| セグメント | 売上収益 | 前年同期比 | セグメント利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 785億円 | +6.8% | 151億円 | 19.3% |
| 米国 | 561億円 | +8.1% | 62億円 | 11.1% |
| その他 | 9億円 | △16.2% | △18億円 | --- |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 785億円 | 58% | 152億円 | 19.3% |
| 米国 | 562億円 | 41% | 62億円 | 11.1% |
財務状況と資本政策
総資産は前期末比 322億7,000万円 増加し、 2,921億8,500万円 となった。店舗網の拡大に伴い、有形固定資産や使用権資産が積み上がったことが主な要因である。また、新規出店や設備投資に向けた資金として社債及び借入金を約112億円増やしており、攻めの姿勢を鮮明にしている。
株主還元については、 年間配当予想を18円(前期比2円増配) とすることを据え置いた。利益の着実な積み上がりにより、親会社所有者帰属持分比率は 26.5% と前期末(25.7%)から改善しており、成長投資と財務の健全性、株主還元のバランスを維持している。
リスクと課題
今後の焦点は、利益率が低下傾向にある米国事業の立て直しと、新たな収益源の育成である。会社側は以下のリスクおよび課題を注視している。
- 米国市場のコスト管理: 積極的な新規出店を続ける中で、現地の賃金上昇やエネルギー価格の変動が利益率を圧迫する懸念がある。
- 景気変動の影響: 日本国内では緩やかな回復基調にあるが、物価高騰が消費者のレジャー支出を冷え込ませるリスクを抱えている。
- 新規事業の立ち上げ: 現在準備を進めている「ラウンドワンデリシャスプロジェクト(飲食関連の新規事業)」が、既存事業と相乗効果を生めるかが今後の注目点となる。
通期見通し
2026年3月期の通期連結業績予想について、売上収益 1,887億8,000万円、営業利益 301億3,600万円 とする従来予想を維持した。第3四半期までの進捗率は営業利益ベースで 約64.9% となっている。同社の業績は長期休暇のある第4四半期に大きく伸びる季節性があるため、計画達成に向けた順調な推移と言える。
| 項目 | 前回予想(通期) | 今回予想(通期) | 前期実績(2025/3) |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1,887億円 | 1,887億円 | 1,749億円 |
| 営業利益 | 301億円 | 301億円 | 280億円 |
| 当期利益 | 178億円 | 178億円 | 182億円 |
今回の決算で特筆すべきは、 日本国内事業の「稼ぐ力」の強さ です。物価高の中でも、クレーンゲームの景品やコラボ企画という「コト消費」への投資がしっかり利益に結びついており、営業利益率が前年同期の16.1%から19.3%へ向上している点は高く評価できます。
一方で、成長の柱である米国事業が「増収減益」に陥っている点は投資家にとって注意が必要なポイントです。新規出店による売上成長は期待通りですが、 高止まりするコストをどう制御し、日本並みの利益率に引き上げられるか が、中長期的な株価評価の鍵を握るでしょう。
就活生の視点では、単なるボウリング場ではなく「日米同時コラボ」などグローバルなエンタメ施策を展開するスピード感や、飲食プロジェクトへの進出など、既存の枠組みに捉われない事業拡大の意欲を感じ取れる決算内容といえます。
