SHOEI、2026年9月期第3四半期決算、円安効果と中国販売増で営業益9.3%増

SHOEIの2026年9月期第3四半期決算を分析すると、2025年10月から2026年6月までの累計業績は、円安による販売単価の上昇などを受けて増収増益となりました。売上高は前年同期比6.2%増の243億円、営業利益は9.3%増の73億円、純利益は12.4%増の52億円です。二輪用ヘルメットの販売数量はほぼ横ばいでしたが、中国を中心とするアジア販売が伸び、会社は通期予想を据え置きました。円安と中国販売が利益を押し上げる一方、地域ごとの販売には差が出ています。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 243億円 | +6.2% | 340億円 | 72% |
| 営業利益 | 73億円 | +9.3% | 84億円 | 88% |
| 純利益 | 52億円 | +12.4% | 59億円 | 88% |
| 営業利益率 | 30.1% | |||
この決算のポイント
- 1二輪用ヘルメットの販売数量は前年同期比0.1%減だが、円安による単価上昇で売上高は6.2%増。
- 2中国の販売数量は73.1%増、アジア全体も47.1%増となり、欧州・北米の弱さを補った。
- 3通期営業利益予想は83億7,000万円で据え置き、9カ月累計の進捗率は87.6%。
- 4年間配当予想は前期と同じ1株60円。自己株式取得額は約13億9,510万円。
- 5二輪用ヘルメットの受注残は前年同期比69.5%増の約94億8,000万円。
業績のポイント
SHOEI(株式会社SHOEI)の2026年9月期第3四半期累計は、売上高が前年同期比6.2%増、営業利益が9.3%増、親会社株主に帰属する純利益が12.4%増となりました。経常利益は14.0%増の75億5,800万円、1株当たり四半期純利益は100円59銭でした。
- 売上高: 243億4,861万円。販売数量は前年同期比0.1%減でしたが、円安などで販売単価が上がり、増収となりました。
- 営業利益: 73億2,910万円。円安効果が寄与し、広告宣伝費など販売管理費の増加を吸収しました。
- 経常利益: 75億5,818万円。為替差益など営業外収益が増え、営業利益を上回る伸びとなりました。
- 純利益: 52億36万円。前年同期の46億2,769万円から増加しました。
数量より単価と為替が業績を押し上げた決算です。ドルとユーロの円換算レートはいずれも前年同期より円安となり、海外売上高を円換算した際の押し上げにもつながりました。一方、販売管理費は増加しており、数量の伸びを伴わない利益成長が今後も続くかが焦点です。
セグメント別動向
ヘルメット関連事業は単一セグメントで、地域別ではアジアの伸びが目立ちました。中国でブランド戦略を進めたことや、前年に販売が一時落ち込んだ反動があり、販売数量は中国で前年同期比73.1%増、アジア全体で47.1%増となりました。
| 販売地域 | 売上高(億円) | 前年比 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 44.0 | +5.3% | 18.1% |
| 欧州 | 103.4 | +4.4% | 42.5% |
| 北米 | 31.2 | -27.1% | 12.8% |
| アジア | 56.7 | +51.0% | 23.3% |
| その他 | 8.2 | -0.1% | 3.4% |
欧州では景気の不透明感などから販売数量が前年同期比7.5%減でした。北米は出荷が翌四半期にずれた影響もあり、販売数量が27.9%減となった一方、会社は市場自体は底堅いとみており、期ずれ分の出荷などで通期では前年並みを期待しています。地域差が大きく、中国の好調と北米の出荷回復が第4四半期の重要な確認点です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ヘルメット関連事業 | 243億円 | 100% | - | - |
通期見通し
2026年9月期の連結業績予想は、2025年11月14日に公表した内容から変更ありません。9カ月累計の営業利益は通期予想の87.6%に達しましたが、会社は中東情勢など先行きの不透明さを踏まえて予想を維持しました。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 | 9カ月進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 33,950 | 33,950 | +4.9% | 71.7% |
| 営業利益(百万円) | 8,370 | 8,370 | -5.9% | 87.6% |
| 経常利益(百万円) | 8,380 | 8,380 | -5.8% | 90.2% |
| 純利益(百万円) | 5,940 | 5,940 | -6.0% | 87.5% |
会社によると、販売数量は計画をやや下回るものの、円安による単価上昇が売上高を支え、利益も計画を約1割上回って推移しています。ただし、通期予想は前期比で営業減益を見込む水準です。第4四半期に北米の出荷ずれが解消するか、為替や地政学リスクが業績にどう影響するかが見通しのポイントになります。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末からほぼ横ばいの378億6,873万円で、自己資本比率は85.7%でした。年間配当予想は前期と同額の1株60円です。
- 財務基盤: 純資産は324億6,545万円。自己資本比率は前期末の85.1%から上昇しました。
- 現金及び預金: 178億4,106万円。配当や自己株式取得、建物・構築物の取得などを背景に、前期末から減少しました。
- キャッシュフロー: 第3四半期累計のキャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、営業・投資・財務別の現金収支は開示されていません。
- 配当: 中間配当はなく、期末配当予想は60円。前期の年間配当60円を維持する計画です。
- 自己株式: 取締役会決議に基づき約13億9,510万円を投じて取得した自己株式のうち、139万5,100株を2026年4月に消却しました。
自己株式の取得と消却を実施しながら、配当も前期並みを維持する方針です。設備面では建物・構築物が増加しており、取得額や投資の具体的な内容は短信では詳述されていません。高い自己資本比率を保ちつつ、株主還元と事業基盤への投資を並行させています。
受注・販売の動き
二輪乗車用ヘルメットの受注と受注残は前年同期を大きく上回りました。受注残の増加は今後の出荷につながる可能性がある一方、出荷時期のずれや地域別の販売環境を見極める必要があります。
| 指標 | 二輪乗車用ヘルメット | 前年比 |
|---|---|---|
| 受注金額 | 244億2,918万円 | +23.7% |
| 期末受注残高 | 94億7,684万円 | +69.5% |
| 販売実績 | 213億6,284万円 | +5.9% |
累計の受注金額は販売実績を上回り、受注残も積み上がっています。ただし、北米では出荷の翌四半期へのずれが発生しており、受注が売上高に計上されるタイミングには注意が必要です。会社は第4四半期に北米の期ずれ分の実現を見込んでおり、受注残の消化状況が通期の着地を左右します。
リスクと課題
円安と中国販売が業績を支える一方、世界経済の弱さや地域ごとの需要差は残っています。会社は中東情勢の先行きを含め、通期予想の前提に影響する不確実性を挙げています。
- 世界景気と地政学リスク: 欧州の紛争や政治不安、中東情勢の悪化に伴う石油製品の品薄・高騰が、消費や景気を下押しする可能性があります。
- 地域別の需要差: 欧州では販売数量が前年同期比7.5%減、北米では出荷ずれも影響して27.9%減でした。中国を除く市場の回復が遅れれば、アジアの好調だけでは補えないおそれがあります。
- 為替変動: 円安は売上高や利益を押し上げましたが、為替が反転すれば円換算の海外売上高や採算に逆風となる可能性があります。
- 出荷時期と関税の影響: 北米では出荷の期ずれが生じ、前年同期にはトランプ関税の影響もありました。出荷の回復時期や関税を巡る環境次第で、四半期ごとの業績が振れる可能性があります。
販売数量は累計でほぼ前年並みでも、地域ごとの強弱や出荷タイミングによって売上高は変動します。円安効果に依存した増益が続くかを含め、北米の出荷回復と先進国市場の需要を注視する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/31)
1,951円
最新終値(2026/10/23)
2,254円+15.5%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#SHOEI#決算#決算分析#四半期決算#二輪ヘルメット#円安影響#中国販売#自己株式消却#受注残
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コメント
SHOEIの今回の決算は、販売数量がほぼ横ばいでも、円安による単価上昇と中国の需要拡大で利益を伸ばした点が特徴です。世界景気が力強さを欠くなかで、ブランド戦略が中国の成長につながっているのは評価できます。
一方で、利益成長の一部は為替に支えられており、欧州・北米の販売数量は弱含みです。受注残の積み上がりは先行きの支えになり得ますが、北米の出荷ずれが実際の売上に転じるかが短期的な焦点です。通期予想を据え置いた判断は慎重で、4四半期の販売回復と円相場の変化を合わせて確認したい決算です。
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