アシックス、2026年12月期第2四半期決算(中間決算)、売上高32.7%増で通期予想を上方修正

アシックスの2026年12月期第2四半期(中間期)決算は、売上高が前年同期比32.7%増の534,483百万円、営業利益が48.5%増の120,486百万円と大幅な増収増益となり、中間期として初めて売上高5,000億円を突破した。スポーツスタイルとオニツカタイガーが成長をけん引し、通期業績予想と配当予想を上方修正した。為替の追い風を除いても高い伸びを示しており、実力ベースの成長が鮮明となった。
決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,345億円 | +32.7% | 1.1兆円 | 51% |
| 営業利益 | 1,205億円 | +48.5% | 1,950億円 | 62% |
| 純利益 | 822億円 | +53.3% | 1,200億円 | 68% |
| 営業利益率 | 22.5% | |||
業績のポイント
アシックス(株式会社アシックス)は2026年12月期第2四半期(中間期)決算で、売上高534,483百万円(前年同期比32.7%増)、営業利益120,486百万円(同48.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益82,171百万円(同53.3%増)と、いずれも中間期として過去最高を更新した。売上高は中間連結会計期間で初めて5,000億円を超え、営業利益率も22.5%と前年同期から2.4ポイント改善した。
為替の追い風を除いた実勢でも売上高は22.0%増、営業利益は37.7%増と高い伸びを示しており、単なる円安効果ではない。全カテゴリー・全地域で増収増益を達成し、中間期として過去最高の売上高と利益を達成した。
主な損益項目は以下のとおり。
| 項目 | 前年中間期 | 当中間期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 402,798百万円 | 534,483百万円 | 32.7% |
| 営業利益 | 81,132百万円 | 120,486百万円 | 48.5% |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | 53,606百万円 | 82,171百万円 | 53.3% |
通期業績予想の上方修正と増配も発表された。売上高は前回予想の9,500億円から1兆500億円へ、営業利益は1,710億円から1,950億円へ、純利益は1,100億円から1,200億円へ引き上げた。年間配当も前回予想の38円から44円へ増配する。
セグメント別動向
アシックスはカテゴリー別で全6カテゴリーが増収増益となった。なかでもスポーツスタイルが前年同期比83.0%増の123,186百万円と急伸し、カテゴリー利益も41,923百万円(同103.0%増)と倍増した。北米・欧州を中心に需要が拡大し、GEL-CUMULUS 16やGEL-NYC 2.0といった新商品も貢献した。
オニツカタイガーは売上高89,533百万円(同35.9%増)、カテゴリー利益35,578百万円(同38.3%増)と堅調で、全地域で2桁成長を達成した。日本ではインバウンド需要を取り込み、海外でもラグジュアリーライフスタイルブランドとしての存在感を高めている。
パフォーマンスランニングは売上高220,652百万円(同19.3%増)、コアパフォーマンススポーツは55,111百万円(同24.9%増)、アパレルは25,629百万円(同28.1%増)、ウォーキングは8,657百万円(同9.8%増)とそれぞれ伸長した。ウォーキングの利益は141.4%増と大幅に改善した。
カテゴリー別売上高と利益率の概要は下表のとおり。
| カテゴリー | 売上高(百万円) | 前年同期比 | カテゴリー利益(百万円) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| パフォーマンスランニング | 220,652 | 19.3% | 58,082 | 26.3% |
| コアパフォーマンススポーツ | 55,111 | 24.9% | 13,109 | 23.8% |
| アパレル | 25,629 | 28.1% | 4,298 | 16.8% |
| スポーツスタイル | 123,186 | 83.0% | 41,923 | 34.0% |
| オニツカタイガー | 89,533 | 35.9% | 35,578 | 39.7% |
| ウォーキング | 8,657 | 9.8% | 1,502 | 17.4% |
地域別では、欧州が前年同期比46.4%増の166,600百万円と最大の伸びを示し、セグメント利益は63.1%増の34,693百万円となった。北米は売上高94,696百万円(同28.1%増)、利益は86.0%増と大幅改善。日本は売上高106,094百万円(同6.9%増)ながら利益率が33.4%と高水準を維持した。東南・南アジア、中華圏、オセアニア、その他地域もすべて増収増益となった。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| パフォーマンスランニング | 2,207億円 | 41% | 581億円 | 26.3% |
| コアパフォーマンススポーツ | 551億円 | 10% | 131億円 | 23.8% |
| アパレル | 256億円 | 5% | 43億円 | 16.8% |
| スポーツスタイル | 1,232億円 | 23% | 419億円 | 34.0% |
| オニツカタイガー | 895億円 | 17% | 356億円 | 39.7% |
| ウォーキング | 87億円 | 2% | 15億円 | 17.4% |
財務状況と資本政策
当中間期末の総資産は679,379百万円と前期末比15.8%増加した。現金及び預金が141,431百万円へ増加し、売上債権も128,368百万円へ拡大した。純資産は360,424百万円と前期末比31.9%増え、自己資本比率は52.8%に上昇した(前期末46.3%)。
キャッシュ・フローは、営業活動で58,829百万円の収入を確保。投資活動では有形・無形固定資産の取得などで14,041百万円の支出、財務活動では配当金支払いやリース債務返済などで17,468百万円の支出となり、現金及び現金同等物は141,395百万円へ増加した。
株主還元では、中間配当を前年同期の12円から20円へ増配し、期末配当予想も24円へ引き上げた。年間配当予想は44円(前期28円)と大幅増配となる。過去には自己株式取得や消却も実施しており、株主還元に積極的な姿勢を示している。
リスクと課題
会社が認識する主なリスクと課題は以下のとおり。
- 為替変動:円安が業績を押し上げているが、急激な円高は減益要因となる。為替影響を除いた実力ベースの伸びは依然堅調だが、海外比率が高いため変動リスクは常につきまとう。
- 世界情勢の不透明さ:地政学リスク、景気後退懸念、消費マインド悪化などが需要を冷え込ませる可能性がある。特に欧州・北米での高成長が続くかが焦点。
- 競争激化:スポーツ用品市場ではナイキ、アディダスなどとの競争が続く。スポーツスタイル分野でのヒット商品依存やファッション性の変化に注意が必要。
- サプライチェーン:原材料価格や物流費の上昇、地政学的混乱による供給制約が利益を圧迫するリスクがある。
- オニツカタイガー分社化:2027年1月の分社化に伴う事業統合リスクやブランド価値毀損リスクが存在するが、独立性向上による成長加速が期待される。
通期見通し
通期連結業績予想は上方修正された。売上高は前回予想の950,000百万円から1,050,000百万円へ、営業利益は171,000百万円から195,000百万円へ、親会社株主に帰属する当期純利益は110,000百万円から120,000百万円へ引き上げられた。売上高は初の1兆円台、純利益も1,000億円台が視野に入る。
上期(中間期)の好調な業績と力強い市場モメンタムを踏まえた修正であり、為替影響を除いた実力ベースでも売上高22.6%増、営業利益30.0%増を見込む。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 950,000百万円 | 1,050,000百万円 | 811,000百万円 |
| 営業利益 | 171,000百万円 | 195,000百万円 | 142,000百万円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 110,000百万円 | 120,000百万円 | 99,000百万円 |
配当予想も年間44円(前期28円)へ増額しており、株主還元姿勢が強化された。
戦略トピック
アシックスはオニツカタイガーの分社化を発表した。2027年1月1日付でオニツカタイガーブランド事業を新設する株式会社OT GROUPへ承継し、独立性の高い運営体制へ移行する。海外でも各国地域事業会社のオニツカタイガー事業を分社化し、OT GROUPの子会社として再編する。これにより迅速な意思決定とラグジュアリーライフスタイルブランドとしての地位確立を目指す。
店舗展開では、東京・新宿に世界最大のオニツカタイガー旗艦店をオープンしたほか、名古屋にも旗艦店を開設。2027年には米国市場への再進出を予定している。
研究開発では、欧州にASICS Institute of Sport Science Europeを設置し、北米にも研究拠点を設立済み。グローバルな研究開発ネットワークを構築し、R&DのGlobal Integrated Enterprise化を推進する。
また、2026年を「Year of ASIA」と位置づけ、アジア市場での成長を強化。愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会とのパートナーシップ締結など、アジアでのブランド認知度向上に注力している。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/14)
5,281円
最新終値(2026/10/23)
4,862円-7.9%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
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コメント
アシックスの中間期決算は、単なる円安効果ではなく、スポーツスタイルとオニツカタイガーという2つの成長エンジンが本格的に稼働したことを示している。特にスポーツスタイルの83%増という数字は驚異的で、ナイキやアディダスが苦戦する中での快走は特筆に値する。オニツカタイガーの分社化はブランド価値向上に向けた合理的な一手であり、今後のラグジュアリー市場でのポジショニングが注目される。
一方で、為替前提の楽観視は禁物。通期予想は為替影響を除いても高い伸びを見込んでいるが、急激な円高進行はリスク要因だ。また、スポーツスタイルの高成長がどこまで持続するか、新商品サイクルと消費トレンドの変化を注視する必要がある。株主還元の拡充は評価できるが、成長投資とのバランスも今後の焦点となる。
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