株式会社タカラトミー の会社詳細
株式会社タカラトミー
タカラトミー
2026年3月期 第3四半期

タカラトミー・2026年3月期Q3、売上高は過去最高の2,086億円——国内玩具が好調も、米子会社の減損計上で最終減益

タカラトミー
決算
減損損失
自社株買い
過去最高売上
トミカ
トレーディングカード
玩具業界
株主還元
下方修正
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

2,086億円

+7.0%

通期予想

2,600億円

進捗率80%

営業利益

216億円

-6.4%

通期予想

235億円

進捗率92%

純利益

95億円

-33.8%

通期予想

100億円

進捗率95%

営業利益率

10.3%

タカラトミーが10日に発表した2026年3月期第3四半期累計決算は、売上高が前年同期比 7.0%増208,638百万円 となり、Q3累計として過去最高を更新しました。国内でのトレーディングカードゲームや「トミカ」の大人向け展開が奏功し増収を牽引した一方、米国事業の苦戦に伴う「のれん」の減損損失4,862百万円を特別損失として計上。この影響で、親会社株主に帰属する四半期純利益は 9,547百万円(同 33.8%減)と大幅な減益となりました。同時に、株主還元策として100億円規模の自社株買いを発表しています。

業績のポイント

当第3四半期累計期間の売上高は、日本国内の玩具事業が非常に力強く推移したことで、前年同期比 13,666百万円増208,638百万円(同 7.0%増)に達しました。特に「デュエル・マスターズ」と人気VTuberグループ「にじさんじ」のコラボレーション、さらに新規導入した「ディズニー・ロルカナ」などのトレーディングカードゲームがヒットし、大幅な増収に寄与しました。また、定番の「トミカ」も55周年記念施策や大人向けの「トミカプレミアム」が好調で、顧客層の拡大が進んでいます。

一方で、利益面では課題が残る結果となりました。営業利益は 21,595百万円(同 6.4%減)に留まりました。これは、戦略的に推進している映像制作や人財への投資負担が増加したことに加え、米国における関税の影響がコストを押し上げたためです。さらに、連結子会社であるTOMY International, Inc.の収益性低下を背景に、減損損失4,862百万円を特別損失として計上しました(前年比 33.8%減)。売上高は過去最高を更新する勢いを見せているものの、海外事業の立て直しと先行投資の回収が今後の焦点となります。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力である日本セグメントは、売上高 175,594百万円(前年比 6.0%増)、営業利益 24,451百万円(同 1.5%減)となりました。トレーディングカードゲームの活況に加え、ハイターゲット向けホビーレーベル「T-SPARK」での「トランスフォーマー」販売が好調でした。また、国内外で人気が高まっている「ガチャ(カプセルトイ)」事業や、インバウンド需要を取り込んだ「キデイランド」の新店効果も増収を支えています。

アメリカズセグメントは、売上高 23,025百万円(同 7.2%減)と苦戦が続いています。インフレ下での消費者の価格重視志向により、主力であるベビー用品や農耕車両玩具の販売が減少しました。ただし、高価格帯の知育玩具を展開するFat Brain Holdingsが好調を維持したことで、営業利益は 461百万円(前年同期は31百万円)へと大幅に改善しています。

アジアセグメントは、売上高 52,426百万円(同 2.6%減)、営業利益 1,834百万円(同 19.4%減)の減収減益となりました。マレーシアへのブランドストア出店などファン拡大策は進んでいますが、生産拠点から北米市場への出荷が減少したことが響きました。欧州セグメントは「ガチャ」のランダム販売商品が好調で、売上高 6,232百万円(同 7.2%増)と伸長し、営業赤字幅も縮小しています。

セグメント売上高前年同期比営業利益前年同期比
日本175,594+6.0%24,451△1.5%
アメリカズ23,025△7.2%461+1,387.1%
欧州6,232+7.2%△163
オセアニア2,190△2.3%130+3.5%
アジア52,426△2.6%1,834△19.4%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
日本1,756億円84%245億円13.9%
アメリカズ230億円11%5億円2.0%
アジア524億円25%18億円3.5%

財務状況と資本政策

2025年12月末時点の総資産は、前期末比 10,674百万円増176,444百万円 となりました。売上拡大に伴う受取手形・売掛金の増加や、年末商戦に向けた商品在庫の積み増しが主な要因です。一方で、米国事業ののれん減損を行ったことにより、無形固定資産は減少しています。自己資本比率は 62.8%(前期末比1.4ポイント低下)と、依然として高い健全性を維持しています。

特筆すべきは、同日に発表された大胆な資本政策です。同社は、株主還元の充実と資本効率の向上を目指し、100億円を上限とする自社株買い(取得上限300万株、発行済株式総数の3.38%)の実施を決定しました。取得期間は2026年2月12日から7月31日までです。減損による純利益の押し下げというネガティブなニュースに対し、強力な株主還元策を打ち出すことで、資本市場への信頼維持を図る経営判断が下されました。

通期見通し

同社は今回の決算発表に合わせ、通期の業績予想を修正しました。売上高は前回予想から据え置いたものの、米国事業の減損計上を反映し、純利益を大幅に下方修正しています。2026年3月期通期の売上高は 260,000百万円(前期比 3.9%増)、営業利益は 23,500百万円(同 5.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は 10,000百万円(同 38.8%減)を見込みます。

国内での「トミカ」やカードゲームの勢いは継続すると見ていますが、米国のインフレ継続や通商政策の先行き不透明感など、外部環境のリスクを慎重に見積もっています。今後は「大人(Kidults)層」へのターゲット拡大や、IP(知的財産)のグローバル展開を加速させることで、収益構造の再構築を急ぐ方針です。

項目前回予想今回修正前期実績
売上高260,000260,000250,317
営業利益23,50024,868
親会社株主に帰属する当期純利益10,00016,339

リスクと課題

同社が直面している主なリスクと課題は以下の通りです。

  • 米国市場の個人消費減速: インフレと金利高止まりによる、ベビー用品などの非必需品への支出抑制。
  • 関税および通商政策の影響: 米国の通商政策変更に伴う、コスト増加やサプライチェーンへの影響。
  • 海外事業の収益性: 今回の減損損失計上の要因となった米国子会社の業績立て直しと、のれん残高のマネジメント。
  • 研究開発・投資負担: アニメ制作や人財への先行投資が先行し、短期的な利益率を圧迫する可能性。
AIアナリストの視点

今回の決算は「国内の好調」と「米国の苦境」が極端に分かれた形となりました。国内ではトレーディングカードや大人向けホビーといった、単価が高く購買力の強い層(Kidults)へのシフトが完全に成功しており、売上高の過去最高更新はその証左と言えます。

一方で、米国事業での多額ののれん減損は、過去の買収案件の収益性に対する厳しい現実を突きつけました。しかし、決算と同時に発表された100億円の自社株買いは、一時的な特損を資本効率の改善という機会に転換しようとする経営陣の強い意志を感じさせます。投資家や就活生にとっては、安定した国内IPという「キャッシュカウ」を持ちつつ、海外の構造改革と還元強化を同時に進めているフェーズにある企業として、注目に値する内容です。