竹内製作所・2026年2月期通期、売上高・各利益で過去最高を更新——北米インフラ需要が牽引、27年2月期は初の中間配当へ
売上高
2,253億円
+5.7%
通期予想
2,440億円
営業利益
377億円
+1.5%
通期予想
373億円
純利益
283億円
+8.3%
通期予想
259億円
営業利益率
16.7%
中小型建設機械メーカーの竹内製作所が10日に発表した2026年2月期連結決算は、売上高が前期比 5.7%増 の 2,252億8,400万円 、純利益が 8.3%増 の 282億7,000万円 となり、すべての段階利益で過去最高を更新しました。米国での関税コスト増や為替のマイナス影響を、北米を中心とした堅調なインフラ・建設需要と製品価格への転嫁で跳ね返した格好です。あわせて、次期から中間配当の実施と増配(年間220円予想)も公表し、株主還元を一段と強化する姿勢を鮮明にしています。
竹内製作所 2026年2月期 通期決算
さくら × けんじ の対話形式解説
業績のポイント
2026年2月期の業績は、主力市場である欧米での販売が底堅く推移し、増収増益を達成しました。売上高は 2,252億8,400万円 (前期比 +5.7% )、営業利益は 376億8,700万円 (同 +1.5% )、親会社株主に帰属する当期純利益は 282億7,000万円 (同 +8.3% )となり、3期連続の過去最高益を記録しています。
利益面での大きな逆風となったのは、米国による関税措置です。当期において 31億6,700万円 の減益要因(総額 51億3,800万円 のコスト増に対し、価格転嫁で 19億7,100万円 を回収)となりましたが、売上高の増加や前期に発生した電池式ショベル関連部品の評価減が縮小したことで、増益を確保しました。地政学的なコスト増を製品競争力による価格転嫁で補う、粘り強い経営が数値に表れています。
業績推移(通期)
セグメント別動向
地域別の業績では、最大市場である北米の好調と英国の回復が際立ちました。一方で、フランスや日本(欧州向け輸出)では利益面で課題が残る結果となっています。
| セグメント | 売上高 | 前年比 | セグメント利益 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 678億円 | +1.0% | 313億円 | △8.6% |
| 米国 | 1,287億円 | +7.2% | 67億円 | △38.3% |
| 英国 | 179億円 | +23.6% | 12億円 | +147.7% |
| フランス | 107億円 | △4.8% | 5億円 | △29.2% |
米国では住宅ローン金利の高止まりにより住宅向けミニショベルは低調でしたが、インフラ投資を背景にクローラーローダーが絶好調を維持しました。しかし、前述の関税コストや大手レンタル会社向けの販売比率上昇(ボリュームディスカウント)により、利益率は低下しています。英国は建設機械市場の底打ちに加え、製品の買い替え需要が活発化したことで大幅な増益を達成。日本セグメントは欧州向け出荷が堅調だったものの、米国子会社向けの生産調整などが響き減益となりました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 678億円 | 30% | 314億円 | 46.2% |
| 米国 | 1,287億円 | 57% | 67億円 | 5.2% |
| 英国 | 180億円 | 8% | 12億円 | 6.9% |
| フランス | 108億円 | 5% | 6億円 | 5.4% |
財務状況と資本政策
自己資本比率は前期末の 76.7% から 83.0% へとさらに向上し、極めて強固な財務基盤を維持しています。総資産は前年末比 74億1,400万円 増の 2,251億3,300万円 となりました。現金及び預金が 106億8,800万円 増加した一方で、棚卸資産の圧縮が進むなど、キャッシュフローの質も改善しています。
株主還元については、2026年2月期の年間配当を 210円 (前期比 10円増 )としました。さらに特筆すべきは、2027年2月期より中間配当制度を導入することです。これまで期末一括配当のみでしたが、年2回の配当実施へ変更し、次期の年間配当は 220円 (中間110円・期末110円)とさらなる増配を計画しています。これは「第四次中期経営計画」に基づく、株主への利益還元の機会充実を目的とした経営判断です。
通期見通し
2027年2月期の通期予想は、売上高が過去最高を更新する 2,440億円 を見込む一方、利益面では微減となる保守的な見通しを立てています。これは米国の鉄鋼派生製品に対する 25% の追加関税の影響(約 112億円 の減益要因と試算)を織り込んでいるためです。
| 項目 | 2026年2月期実績 | 2027年2月期予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,252億円 | 2,440億円 | +8.3% |
| 営業利益 | 376億円 | 373億円 | △1.0% |
| 純利益 | 282億円 | 259億円 | △8.4% |
想定為替レートは1米ドル= 147.00円 と、前期( 149.97円 )に比べ円高方向に設定しています。これにより為替差損 10億円 を見込んでおり、外部環境の不透明さを考慮した慎重な計画となっています。ただし、欧米での住宅市場の回復やAIデータセンター建設に伴う電力インフラ需要など、中長期的な成長シナリオは不変であると強調しています。
リスクと課題
同社が直面する主なリスクは以下の通りです。
- 通商政策のリスク: 米国による鉄鋼・アルミニウム関税の適用拡大。2026年4月から施行された鉄鋼派生製品への 25% 関税が利益を圧迫する最大の要因となっています。
- 為替変動: 売上の多くを海外が占めるため、円高進行は円建ての収益を押し下げます。次期は円高前提の予算を組んでいます。
- 金利動向: 米国の政策金利引き下げが遅延した場合、住宅ローン金利の高止まりを通じてミニショベルの需要回復が遅れる可能性があります。
竹内製作所の決算からは、外部環境の荒波を「製品力」と「財務の厚み」で乗り越える強い企業体質が伺えます。特に、米国での追加関税という大きな減益要因がありながら過去最高益を叩き出した点は、同社製品の代替困難な価値を証明しています。
投資家・就活生への注目ポイントは以下の2点です。
- 資本政策の転換: 長年続けてきた期末一括配当から、中間配当を含む年2回配当へ切り替えたことは、機関投資家からの要望に応えつつ、経営への自信を示唆しています。
- 市場の質的変化: 住宅向けが苦戦しても非住宅・インフラ向け(クローラーローダー)でカバーできる製品ポートフォリオの強みがあります。今後はAI関連のインフラ整備が新たな追い風になる可能性が高いでしょう。
懸念材料はやはり米国の保護貿易的な動きですが、すでに 112億円 もの関税影響を次期予想に織り込んでおり、ここからの「ネガティブサプライズ」は限定的と見ることもできます。
