栗田工業、米大型水処理案件で下方修正、通期営業利益435億円は前期実績も下回る
栗田工業は、米国の電子産業向け大型水処理装置案件で工事損失を見込み、2027年3月期の通期営業利益予想を435億円に引き下げた。前回予想から220億円減り、前期実績の582億9000万円も下回る。一方、売上高予想は4550億円に引き上げ、前期実績を上回る。売上高増でも利益は下方修正となり、同案件の原価見積もり見直しが収益を圧迫する。配当予想は据え置いた。

開示の要点
- 通期営業利益
- 435億円
- 通期純利益
- 287億円
- 通期売上高
- 4550億円
- 工事損失影響
- 中間期200億円、通期236億円
- 個別特損
- 362億円
- 配当予想
- 変更なし
通期は売上高を上方修正、利益は引き下げ
2027年3月期の通期連結予想は、売上高を引き上げる一方、事業利益から親会社株主に帰属する当期利益までの各利益を下方修正した。前回予想と今回予想、前期実績は次の通り。
| 指標(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4250 | 4550 | 4028.89 |
| 事業利益 | 615 | 400 | 573.43 |
| 営業利益 | 655 | 435 | 582.9 |
| 税引前利益 | 650 | 430 | 581.6 |
| 親会社株主に帰属する当期利益 | 507 | 287 | 159.57 |
修正前との比較では、営業利益は220億円、当期利益は220億円の減少となる。前期実績との比較では、売上高は上回る一方で、事業利益、営業利益、税引前利益は下回り、当期利益は上回る。売上高の増加が利益の回復に直結しない見通しで、案件の追加コストが収益を押し下げる。
中間期も利益予想を大幅に下方修正
2027年3月期中間期の連結予想も、売上高を増額する一方、利益を引き下げた。前回予想と今回予想、前年同期実績を比べると次の通り。
| 指標(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前年同期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1980 | 2068 | 1893.38 |
| 事業利益 | 235 | 62 | 241.67 |
| 営業利益 | 280 | 94 | 254.08 |
| 税引前中間利益 | 278 | 111 | 252.24 |
| 親会社株主に帰属する中間利益 | 246 | 73 | 171.74 |
前回予想に比べると、営業利益は186億円、親会社株主に帰属する中間利益は173億円減る見込みだ。前年同期実績と比べても売上高は上回る一方、各利益は下回る。なお、会社はペンタゴン・テクノロジーズ・グループの事業を非継続事業として扱っており、利益項目によって集計範囲が異なる。
米国案件で設計・品質対応費用が膨らむ
業績修正の主因は、米国連結子会社クリタ・アメリカが施工中の電子産業向け水処理装置案件1件だ。設計の進展で必要な作業や残存工程が具体化し、工事原価の見積もりを大幅に引き上げた。
- 設計・認証対応: 米国固有の規格や設計認証、顧客要件への対応で設計に遅れが生じた。
- 追加作業: 品質上の課題を受け、設計の見直し、部材の追加調達、モジュールの再製作が必要になった。
- 利益への反映: 工事進行基準のもと、見積工事原価総額の増加で進捗率が低下し、これまで計上していた売上高と利益が減少する。受注高を原価が上回る見込みとなり、損失見込額を工事損失引当金に計上する。
- 売上高の増額要因: 薬品事業の売上進捗や装置事業の受注状況を踏まえた。
会社は、案件による前回予想からの減益影響を中間期200億円、通期236億円と見込む。売上高予想を引き上げても利益予想を大きく下げたのは、受注の伸びとは別に、個別案件の採算悪化が利益に直結したためだ。
完工に向け管理を強化、個別決算では評価損
会社は今回の修正予想に残存工程を含む工事原価の見通しを反映し、案件管理を強化して完工を目指す。中期経営計画「Pioneering Shared Value 2027(PSV-27計画)」の2028年3月期目標は変更しないとしている。
- 再発防止と知見活用: 本案件で得た設計・認証などの知見を後続案件に展開し、装置事業の案件遂行力と収益性の向上につなげる。
- 個別決算への影響: クリタ・アメリカの持株会社株式の実質価値低下を受け、中間期の個別決算で関係会社株式評価損362億円を計上する。評価損は連結決算で消去され、連結業績への影響はない。
- 今後の説明: 案件の状況と対応について、11月6日開催予定の決算説明会で説明する。
連結業績の焦点は、工事原価の見積もりが今回の水準からさらに変動するか、また残存工程を計画通り完了できるかに移る。 配当予想は変更していない。
開示前後の株価推移
開示当日の終値(2026/10/29)
7,147円
最新終値(2026/10/29)
7,147円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
栗田をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて機械業界の今
掲載54社栗田は機械業界の掲載54社中、売上高で14位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +17.1%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +14.1%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 17社下方 3社
- 営業利益率(業界)
- 9.6%
- 栗田+22.3%
- 機械(業界平均)+17.1%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は31社合計で売上高+14.5%・営業利益+25.8%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は7社、下回る企業は19社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは17社、下方修正は3社。修正幅が最も大きいのはTHK(営業利益+84.6%)。






タグ#栗田工業#業績予想修正#工事損失#水処理装置#電子産業#米国事業#連結決算
この記事はいかがでしたか?
登録不要・匿名で送信コメント
今回の修正では、売上高予想が前期実績を上回る一方、営業利益予想は前期実績を下回る。工事進行基準では原価見積もりの変更が進捗率や計上利益に影響するため、投資家は追加費用の有無だけでなく、残存工程の管理や完工までの見積もりの確度を確認したい。案件固有の損失を後続案件の採算改善につなげられるかが、装置事業の収益力を見極めるうえでの注目点となる。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。




