B2B通販・MRO大手4社、2025〜26年決算比較、成長の勝者とアスクル苦戦の明暗
4社の決算は、成長の勢いと事業リスクの差が鮮明になった。MonotaROは売上高15.9%増、営業利益24.6%増で利益率も首位。一方、アスクルはランサムウェア攻撃で売上高が16.8%減り、営業赤字に転落した。大塚商会は売上規模、ミスミは海外需要と製造サービスで存在感を示す。決算期は各社で異なるため、単純比較には注意したい。
今期の総括
成長と供給継続力の差
業界全体の動き
4社は同じB2B領域でも、成長の源泉が異なる。共通するテーマは、顧客のデジタル化と供給力の強化だ。
- 法人のIT需要が大塚商会を押し上げた。PC更新やAI、DXへの投資が続き、売上高は19.4%増となった。
- ネット集客と物流がMonotaROの成長を支えた。新規顧客を獲得し、売上高は15.9%増、営業利益は24.6%増。
- アジアの半導体・通信需要がミスミを後押しした。国内設備投資が鈍い中でも、売上高は9.8%増だった。
- 一方、アスクルの受注停止は、通販事業の弱点も示した。物流だけでなく、システムの継続性が売上を左右する。
売上高ランキング
営業利益ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
収益力ではMonotaROが最も目立つ。売上高は3,339億円、前年比15.9%増。営業利益は462億円、同24.6%増で、営業利益率は4社首位の13.8%だった。顧客獲得と物流強化が、増収以上の利益成長につながった。
アスクルは最も苦戦した。売上高は4,002億円、前年比16.8%減。営業損益は前期の140億円の黒字から、174億円の赤字へ転落した。2025年10月のランサムウェア攻撃で受注を止めた影響が大きい。
成長と供給継続力の差が、今期の明暗を分けた。大塚商会は売上高1兆3,228億円と最大で、前年比19.4%増。ただし営業利益率は6.8%で、MonotaROの収益性とは差がある。
- 好調
- MonotaRO
- 苦戦
- アスクル

営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
各社は、異なる方法で次の成長を狙う。
- アスクルは物流の再構築と顧客の呼び戻しを急ぐ。2027年5月期は売上高4,900億円、営業利益70億円を予想する。実現には受注の回復と再発防止が欠かせない。
- MonotaROは新規顧客と利便性を伸ばす。年間配当は前期の19円から33円へ増額し、上限100億円の自社株買いも示した。
- ミスミは米Fictivの買収で、デジタル製造の領域を広げる。独自サービス「meviy」の海外展開も進める。上限300億円の自社株買いも打ち出した。
- 大塚商会はPC販売に加え、AIやDXを含む「オフィスまるごと」の提案を強める。企業の人手不足やIT人材不足が、伴走支援の需要を生んでいる。
順位変化と構造トレンド
売上高の首位は大塚商会、営業利益率の首位はMonotaROだ。売上高ではミスミが4,414億円、アスクルが4,002億円、MonotaROが3,339億円の順となった。
ただし、各社の決算期は異なる。大塚商会とMonotaROは2025年12月期、ミスミは2026年3月期、アスクルは2026年5月期だ。単純な順位より、成長率や利益率、事業モデルを合わせて見る必要がある。
ネット通販の効率を磨く企業と、IT支援や製造サービスまで広げる企業。売るだけから課題解決へという変化が進んでいる。
業界共通のリスク
成長企業にも、共通する課題は残る。
- サイバー攻撃とシステム障害。アスクルの事例は、受注停止が売上と顧客基盤を損なう怖さを示した。
- 物流費や人件費の上昇。配送網の拡充は利便性を高める一方、利益を圧迫する可能性がある。
- 需要の変動。設備投資や半導体需要が弱まれば、ミスミなどの製造関連事業に影響が及ぶ。
- 顧客獲得競争の激化。広告や価格競争が強まると、MonotaROなどの利益率にも影響しうる。
- 投資回収の不確実さ。買収や物流・ITへの投資は、成長につながるまで時間がかかる。
就活生・転職希望者へ
企業ごとに、身につく仕事の力は違う。MonotaROでは、データを使った販促や物流改善に関わる機会がある。ミスミは海外事業や製造のデジタル化が軸だ。大塚商会は顧客への提案力、アスクルは安定した通販運営やシステム復旧が重要になる。
売上の伸びだけで選ばず、利益の出し方と投資先も見たい。特に、顧客の課題をどう解くか、障害時にどう事業を続けるかは、企業の強さと働き方を知る手がかりとなる。
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