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2026年3月期 第3四半期
3

大手電力3社・2026年3月期Q3——関西電力が利益率13%で独走、東京電力は廃炉費用で巨額赤字

電力業界
東京電力ホールディングス
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2026年3月期
決算レポート
原発再稼働
JERA
廃炉費用
インフラ投資

今期の総括

燃料安で減収も、原発と多角化が利益の明暗を分けた

大手電力3社の決算は、燃料価格の下落により全社が「減収」となりました。一方で利益面では、原発の稼働状況事業の多角化が勝敗を分けています。関西電力が圧倒的な収益力を見せる一方、東京電力HDは廃炉関連の特別損失により、6,000億円を超える巨額の最終赤字に転落しました。

業界全体の動き

電力業界を揺らした共通のテーマは以下の3点です。

  • 燃料費調整制度による減収: 燃料価格が下がり、電気料金が自動的に下がりました。これにより全社の売上が前年比で減少しています。
  • 原発の活用格差: 原発が動いている会社と、止まっている会社で利益率に大きな差が出ました。
  • 非電力事業の貢献: 発電・販売以外の事業(JERAや不動産など)が、利益の支えとなっています。

売上高ランキング

1位 最下位 業界平均

東電が規模で首位も、全社が減収。燃料価格の下落に伴う料金の自動値下げが主な要因です。

売上高 前年同期比

1位 最下位 業界平均

全社がマイナス成長ですが、これは燃料安によるもの。中部電力が最も減少幅を抑えました。

純利益 前年同期比

1位 業界平均

中部電のみが20%超の増益。JERAを通じたグローバルな燃料事業が利益を押し上げています。

勝者と敗者

今回の決算で最も好調な「勝者」は関西電力です。

  • 営業利益率13.1%という、インフラ企業としては異例の高水準を叩き出しました。
  • 営業利益3,878億円は3社でトップです。原発の安定稼働が、高い収益性を支えています。

一方で、最も苦戦した「敗者」は東京電力ホールディングスです。

  • 本業の利益は出ていますが、純利益は6,627億円の赤字となりました。
  • 廃炉に向けた「デブリ取り出し」費用として、約9,030億円の特損を出したことが致命傷です。
関西電力

勝者

関西電力

東京電力

苦戦

東京電力ホールディングス

営業利益ランキング

1位 最下位 業界平均

関西電力が利益額でトップ。売上規模で勝る東電を上回る、圧倒的な稼ぐ力を示しました。

営業利益率ランキング

1位 最下位 業界平均

関西電力が13.1%と独走。原発の安定稼働が、他社を引き離す利益率の源泉となっています。

注目の動き・戦略比較

各社の戦略には明確な色の違いが見られます。

  • 中部電力: 関連会社のJERAが好調で、純利益を21.2%も増やしました。自己資本比率も40%を超え、財務の強さが際立ちます。
  • 関西電力: 配当を60円から75円に増やすなど、株主還元を重視する姿勢を鮮明にしています。
  • 東京電力HD: 稼ぐ力はありますが、廃炉という「負の遺産」のコストが読みきれないリスクを露呈しました。

業界共通のリスク

投資家や就活生が知っておくべき共通リスクは以下の通りです。

  • 資源価格の再上昇: 円安や国際情勢で燃料費が上がれば、再び収益を圧迫します。
  • 原発再稼働の不透明感: 審査の遅れや中断は、将来のコスト増に直結します。
  • 巨額の設備投資: 脱炭素に向けた送電網の整備など、今後も重い投資が続きます。

就活生・転職希望者へ

電力会社は「安定したインフラ」から「変化の激しいエネルギー企業」に変わりました。

  • 安定を求めるなら、財務が盤石な中部電力が魅力的です。
  • 収益性と還元を重視する文化なら、関西電力が筆頭候補となります。
  • 東京電力HDは、廃炉という国家級の課題に挑む覚悟が問われる環境です。