関西電力・2026年3月期Q3、純利益6.1%減の3,401億円——燃料価格下落で減収も、原発安定稼働で高水準の利益を維持
売上高
2.9兆円
-6.5%
通期予想
4.0兆円
営業利益
3,878億円
-3.0%
通期予想
4,500億円
純利益
3,402億円
-6.1%
通期予想
3,600億円
営業利益率
13.1%
関西電力は2026年1月30日、2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月)の連結純利益が前年同期比 6.1%減 の 3,401億円 だったと発表しました。燃料価格の低下に伴う燃料費調整制度の影響で、売上高は同 6.5%減 の 2兆9,491億円 となりましたが、原子力発電所の高い設備利用率を背景に、電力卸市場価格の変動をこなし、歴史的に高い利益水準を確保しています。通期の年間配当予想は前期から15円増となる 75円 を維持し、強固な収益力を基盤とした積極的な株主還元を継続する方針です。
業績のポイント
当第3四半期の業績は、前年同期の歴史的な最高益水準からはわずかに減少したものの、極めて堅調な推移となりました。連結売上高は 2兆9,491億円(前年同期比 6.5%減)、営業利益は 3,877億円(同 3.0%減)を記録しています。減収の主な要因は、燃料価格の下落が燃料費調整制度を通じて電気料金に反映されたことによる単価の下落です。一方で、経常利益は 4,622億円(同 1.5%増)と増益を確保しました。これは為替差損益の改善や受取配当金の増加など、営業外収益が寄与したためです。
利益面で大きな下支えとなったのは、原子力発電の安定的な稼働です。化石燃料価格の変動リスクを低減しつつ、低コストな電源を安定供給できたことが、他社と比較しても高い利益率を維持できる要因となっています。また、前年度に実施した料金改定による収益構造の改善も引き続き効果を発揮しており、エネルギー価格の変動に対する耐性が強まっていることが確認されました。純利益は 3,401億円(同 6.1%減)となりましたが、依然として通期計画に対する進捗率は高く、安定した収益基盤を示しています。
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力であるエネルギー事業を中心に、情報通信や生活・ビジネスソリューションなど非電力部門の動向も注目されます。
エネルギー事業は、売上高 2兆5,484億円(前年同期比 7.1%減)、セグメント利益 3,643億円(同 1.6%減)となりました。燃料価格下落による減収影響を受けたものの、原子力発電の活用により販売価格の競争力を維持しました。原子力発電所の設備利用率が計画通り高水準で推移したことが、燃料費の抑制と利益の安定化に直結しています。
送配電事業は、売上高 7,724億円(同 2.3%減)、セグメント利益 373億円(同 7.8%減)となりました。託送収益の変動などが利益を押し下げた形です。情報通信事業は、売上高 2,308億円(同 2.3%増)、セグメント利益 394億円(同 11.3%増)と増収増益を達成しました。法人向けソリューションやデータセンター需要の取り込みが奏功し、電力以外の成長エンジンとして存在感を高めています。
| セグメント | 売上高 | セグメント利益 | 前年同期比(利益) |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 2兆5,484億円 | 3,643億円 | △1.6% |
| 送配電 | 7,724億円 | 373億円 | △7.8% |
| 情報通信 | 2,308億円 | 394億円 | +11.3% |
| 生活・ビジネス | 1,355億円 | 177億円 | △13.5% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー事業 | 2.5兆円 | 86% | 3,643億円 | 14.3% |
| 送配電事業 | 7,725億円 | 26% | 373億円 | 4.8% |
| 情報通信事業 | 2,308億円 | 8% | 395億円 | 17.1% |
財務状況と資本政策
財務基盤の健全化が一段と進んでいます。総資産は前期末比 382億円増加 し、9兆6,909億円 となりました。純資産は利益の積み上がりにより 3,172億円増加 の 3兆4,247億円 となり、自己資本比率は前期末の31.8%から 34.9% へと 3.1ポイント向上 しました。電力会社として30%台半ばの自己資本比率を確保したことは、将来の脱炭素投資や設備更新に向けた投資余力が拡大していることを意味します。
資本政策においては、株主還元への積極姿勢が際立っています。2026年3月期の年間配当予想は、中間30円・期末45円の計 75円 としており、前期実績(60円)から 15円の増配 となる見込みです。これは、原子力発電の再稼働が進み、収益のボラティリティが低下したことによる自信の表れと言えます。キャッシュ・フローについても、営業活動によるキャッシュの獲得が堅調であり、有利子負債のコントロールと成長投資のバランスを重視した経営判断がなされています。
リスクと課題
今後の懸念材料として、以下の要因が挙げられます。
- 原子力発電所の稼働状況: 利益の源泉である原発の定期検査スケジュールの変更や、予期せぬトラブルによる稼働停止は、業績に甚大な影響を与えるリスクがあります。
- 燃料・市場価格の変動: LNGや石炭などの燃料価格の再騰騰や、卸電力取引所(JEPX)における価格の乱高下は、販売部門の利益を圧迫する要因となります。
- 競争環境の激化: 首都圏を含むエリア外販売や家庭向け市場での競争は続いており、顧客獲得コストの増加や離脱による販売電力量の減少が課題です。
- 規制・環境リスク: 脱炭素社会に向けたカーボン価格の導入や、送配電網の高度化に伴う投資負担の増加など、政策動向によるコスト増のリスクを抱えています。
通期見通し
関西電力は、2026年3月期の通期連結業績予想を据え置きました。売上高は前期比 6.6%減 の 4兆500億円、純利益は同 14.4%減 の 3,600億円 を見込んでいます。前年度の利益水準が極めて高かったため、前年比では減益となりますが、依然として中期経営計画の目標を上回る高水準な利益を見込む計画です。下半期においても原子力発電所の安定稼働を前提としつつ、燃料価格や為替の動向を注視しながら経営の効率化を進める方針です。
| 項目 | 前回発表予想 | 今回修正予想 | 前期実績(2025/3) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4兆500億円 | 4兆500億円 | 4兆3,374億円 |
| 営業利益 | 4,500億円 | 4,500億円 | 4,689億円 |
| 経常利益 | 4,900億円 | 4,900億円 | 5,313億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,600億円 | 3,600億円 | 4,206億円 |
関西電力の決算は、日本の電力会社の中でも群を抜いて安定した収益力を示しています。特に注目すべきは、純利益が3,400億円を超え、自己資本比率が 34.9% まで改善した点です。これは、原発再稼働という「武器」を最大限に活用できていることの証明であり、他電力と比較しても財務的な健全性が際立っています。
- 強み: 原発の安定稼働による低コスト電源の確保。為替や燃料価格の変動に対する耐性が高い。
- 懸念点: 利益水準が高すぎることで、将来的な料金引き下げ圧力や、規制面での議論が再燃する可能性。また、次なる成長エンジンである情報通信分野のさらなる拡大が求められます。
投資家にとっては、増配(75円)という明確な還元姿勢と、電力会社としてのディフェンシブ性を兼ね備えた内容と言えます。就活生にとっては、エネルギーの安定供給という社会的使命に加え、ITやソリューション分野への多角化を進める「変革期にあるインフラ企業」としての側面が魅力となるでしょう。
