食品強化型ドラッグストア4社・2027年期初決算比較、アオキ躍進とカワチ苦戦
食品を強化するドラッグストア4社は、売上成長と利益の両立で明暗が分かれた。クスリのアオキは食品・生鮮の拡充などを背景に増収増益となり、営業利益率も最も高い。一方、ゲンキーは増収でも販管費増で減益、カワチは天候不順も響き減収減益だった。食品を軸に成長力と採算力が分岐した。
今期の総括
食品を軸に成長力と採算力が分岐
業界全体の動き
結論は、生活必需品を食品で取り込みながら、費用をどこまで抑えられるかが業績を分けたことだ。4社の売上高前年比は業界平均6.1%に対し、クスリのアオキが上回り、カワチは前年割れとなった。
| 会社 | 売上高 前年比 | 営業利益 前年比 | 主な要因 |
|---|---|---|---|
| ゲンキー | 595億円 +6.2% | 28億円 -5.3% | 販管費増が利益圧迫 |
| コスモス薬品 | 2,867億円 +5.2% | 120億円 +3.1% | 低価格と食品需要 |
| クスリのアオキ | 1,590億円 +13.8% | 84億円 +16.0% | 食品・生鮮拡充 |
| カワチ | 1,441億円 -0.8% | 30億円 -6.2% | 天候不順で季節品低迷 |
- 食品の集客力: ゲンキーは食品が売上の約7割を占め、コスモス薬品も一般食品が最大の売上区分。アオキは食品・生鮮の販売実績が742億円に達した。
- 低価格と利益の両立: コスモス薬品は低価格販売で増収を確保した一方、インフレや人件費上昇が利益の伸びを抑えた。ゲンキーも売上総利益の増加を販管費増が上回った。
- 天候と季節商品: カワチは夏場の天候不順で季節商品の販売が伸び悩み、中間期は減収減益となった。
なお、各社の決算期間は同一ではない。ゲンキーとクスリのアオキ、コスモス薬品は第1四半期、カワチは中間期であり、売上規模の単純比較には期間差への留意が要る。食品は集客の柱となる一方、低価格競争や人件費、天候が採算を左右している。
売上高ランキング
売上高 前年同期比
勝者と敗者
最も勢いが目立つのはクスリのアオキで、売上高は前年同期比13.8%増、営業利益は16.0%増、純利益は36.4%増だった。対照的にカワチは中間期の売上高が0.8%減、営業利益が6.2%減、純利益が8.6%減となり、4社の中で唯一、売上高も前年を下回った。
- クスリのアオキ: 営業利益率は5.3%で、業界平均4.0%を上回る。大型店でのフード拡充や生鮮食品の販売強化、四国などでのドミナント化が業績を支えた。
- ゲンキー: 営業利益率は4.6%で平均を上回るが、営業利益は5.3%減。売上総利益が7億5,700万円増えた一方、販管費は9億1,000万円増えた。
- コスモス薬品: 営業利益率は4.19%で平均をわずかに上回る。増収を確保したが、営業利益の伸びは3.1%にとどまり、インフレや人件費上昇などが重荷となった。
- カワチ: 営業利益率は2.1%で4社中最も低く、業界平均も下回る。天候不順による季節商品の不振に加え、節約志向の強まりも販売環境に影響した。
利益の差は、売上規模だけでは説明できない。アオキは食品・生鮮の拡充と地域への出店を成長につなげた一方、ゲンキーは費用増が粗利益の増加を上回った。カワチでは天候要因が表面化し、低価格や販促だけでは補いきれなかった。増収を利益に変える力が分かれた。
- 好調
- クスリのアオキ
- 苦戦
- カワチ

営業利益ランキング
営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
各社は食品を集客に生かしつつ、出店、価格、店舗運営の組み合わせを探っている。出店を続ける企業でも、利益への結びつきには差が出ており、既存店の販売力と費用管理が問われる。
- ゲンキー: R店を9店舗出店し、期末店舗数は541店舗に拡大。食品売上高は420億4,300万円で全社売上高の約7割を占める。通期予想は売上高2,440億円、営業利益120億円を維持した。
- コスモス薬品: ローコスト運営と低価格販売を続け、一般食品1,805億円を含む売上拡大を図る。通期予想は売上高1兆1,900億円、営業利益430億円。
- クスリのアオキ: 大型店でフードカテゴリーを広げ、生鮮食品の取り扱いを強化。北信越や四国でのドミナント化を進め、通期予想は売上高6,400億円、営業利益320億円を据え置いた。
- カワチ: 栃木県に1店を新設する一方、宮城・茨城・千葉県で計3店を閉鎖。営業利益の通期予想を51億円に修正し、店舗網の見直しも進めている。
通期営業利益予想に対する進捗率は、ゲンキー23%、コスモス薬品28%、クスリのアオキ26%、カワチ59%。ただし、カワチは中間期の数値で、他社の第1四半期とは進捗期間が異なる。各社の通期予想や進捗率を横並びで評価する際は、決算期間の違いを踏まえる必要がある。出店数の拡大だけでなく、食品の販売力や店舗運営の効率が成長の質を左右する。
業界共通のリスク
共通課題は、低価格を維持しながら人件費や運営費の増加を吸収することだ。食品強化は来店機会を増やす一方、利益を確保できるとは限らず、天候や競争環境の変化も業績を揺らす。
- 人件費・販管費の上昇: コスモス薬品ではインフレや人件費上昇が利益の伸びを抑え、ゲンキーでは販管費増が粗利益の伸びを上回った。今回のデータでは、費用増の影響が数字に表れたゲンキーが特に注視される。
- 低価格競争と採算: 生活防衛意識に応える値下げや販促は集客に寄与する一方、利益を確保しにくくする。低価格戦略を続けるコスモス薬品や、販促を進めるカワチは、販売増と利益の両立が課題となる。
- 天候による季節商品の変動: カワチでは夏場の天候不順が季節商品の販売を押し下げた。季節商品の影響が決算に現れた同社は、今回の4社で特に天候リスクが確認しやすい。
- 出店後の費用負担: ゲンキーは9店を出店し、アオキも新店や地域密度の向上を進めている。出店の効果を売上や利益につなげられるかが焦点であり、特に出店拡大と販管費増が同時に見られるゲンキーはコスト管理が重要だ。
業界全体の売上成長だけを見ると、店舗網拡大や食品強化の効果を見誤る可能性がある。投資家は利益率や販管費の動き、通期予想の維持・修正を合わせて確認したい。就職先を考える学生にとっても、食品の売場づくりだけでなく、価格競争や店舗運営の効率化が事業の重要なテーマとなる。
順位変化と構造トレンド
売上規模ではコスモス薬品が最大だが、伸び率と利益率ではクスリのアオキが強さを示した。純利益の伸びにも差があり、規模の大きさと成長の勢いが一致しない構図となった。
- クスリのアオキ: 純利益は前年同期比36.4%増。売上高と営業利益も2桁増となり、食品・生鮮の強化や地域密度向上が業績に表れた。
- コスモス薬品: 純利益は1.0%増。売上高は5.2%増だったが、営業利益の伸びは3.1%で、利益の成長は売上を下回った。
- ゲンキー: 純利益は7.8%減。新規出店などで増収を確保した一方、販管費や支払利息の増加が利益を押し下げた。
- カワチ: 中間純利益は8.6%減。季節商品の販売不振などが響き、減収減益となった。
食品を強化する方向性は共通していても、売上を利益に結びつける道筋は異なる。アオキは食品・生鮮とドミナント化、ゲンキーはローコスト運営と出店後の費用管理、コスモス薬品は低価格とコスト抑制がそれぞれ焦点となる。カワチは天候要因を含む販売回復と、店舗網の見直しが課題だ。純利益の伸びは、売上の勢いだけでなく費用や営業外要因の影響も受けるため、営業利益とあわせて見る必要がある。
純利益 前年同期比
就活生・転職希望者へ
食品強化型ドラッグストアの仕事は、医薬品の知識だけでなく、日々の買い物を支える食品の販売や店舗運営にも広がっている。今回の決算からは、商品の売れ行きに加え、価格や費用、出店地域の選び方が企業の業績を左右することが読み取れる。
- 売場づくりに関心がある人: ゲンキーでは食品が売上の約7割を占め、アオキは食品・生鮮の販売を強化している。食品の品ぞろえや売場運営が事業の重要な要素となっている。
- 店舗運営を志望する人: ゲンキーの出店拡大やアオキのドミナント化は、店舗数だけでなく地域での運営力が問われることを示す。売上を伸ばしつつ費用を管理する視点が必要になる。
- 変化への対応を重視する人: カワチの中間期では天候不順が季節商品の販売に影響した。小売の現場では、消費者の節約志向や商品の需要変化に応じた対応が重要となる。
投資家は、食品の売上比率や増収率だけでなく、営業利益率と販管費の推移を確認したい。就活生・転職希望者は、希望職種が商品販売、店舗運営、出店戦略のどこに関わるかを調べると、企業ごとの特徴を捉えやすい。業界の成長を支えるのは、来店客を集める商品力と、それを持続可能な利益に変える運営力だ。
食品強化型ドラッグストアを比較
年収・業績・株価を並べて小売業界の今
掲載56社- 業界の株価(1年)
- +3.5%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +11.2%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 6社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 6.3%
- 足元の業績今期第1四半期累計は23社合計で売上高+10.7%・営業利益+21.0%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は16社、下回る企業は9社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは6社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは4℃HD(営業利益+19.4%)。






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