工作機械・精密加工2社 2026年3月期通期——売上のアマダ、利益成長のオークマで明暗
今期の総括
売上規模のアマダ、利益成長のオークマ
工作機械業界は、国策・成長分野へのシフトで需要が底堅く推移しました。アマダは積極的なM&Aで売上高4,374億円と過去最高を更新。一方、オークマは航空・防衛向けの伸びを背景に、純利益が前年比30.9%増と爆発的な成長を遂げています。コスト増を跳ね返す稼ぐ力が問われる局面です。
業界全体の動き
工作機械業界は「二極化」が鮮明になりました。中国のEV関連が停滞する一方、日米の防衛・エネルギー分野への投資が加速しています。以下の3点が共通テーマです。
- 航空・宇宙・防衛・エネルギー関連の設備投資が下期に急伸
- 生成AIの普及に伴うデータセンターや半導体関連の需要が復活
- 原材料費、人件費、輸送費の高騰が続く「コスト高」の常態化
各社とも、従来の自動車依存から脱却し、成長産業へリソースを集中させています。
売上高ランキング
アマダが4,374億円で首位。積極的なM&Aにより、2位オークマとの売上規模の差を2,000億円以上に広げました。
営業利益率ランキング
アマダが10.2%と、高収益の目安とされる10%台を維持。オークマは6.6%に留まり、収益性の向上が課題です。
売上高 前年同期比
オークマが前年比14.1%増で首位。航空・エネルギー分野の強い需要を背景に、アマダを上回る成長率を記録しました。
純利益 前年同期比
オークマが30.9%増と爆増。生産性向上と価格転嫁が奏功し、減益となったアマダと明暗がはっきり分かれました。
勝者と敗者:利益成長でオークマが圧倒
利益の「伸び率」で勝ったのはオークマです。純利益は前年比30.9%増の126億円と、アマダの-5.7%を大きく引き離しました。オークマは価格転嫁と生産性向上を徹底し、増収分を効率よく利益に変えています。
一方、稼ぐ「規模」ではアマダが依然として強さを誇ります。営業利益は448億円で、オークマの約3倍です。しかし、米国関税や顧客工場の建設遅延が響き、増収減益となりました。
勝者
オークマ
苦戦
アマダ
営業利益ランキング
アマダが448億円でトップ。前年比では減益ですが、絶対的な利益額では依然として業界内で抜きん出た存在です。
注目の動き・戦略比較
両社は異なる戦略で成長を狙っています。
- アマダ: 「板金」の枠を超えた大型M&Aを連発。プレスや半導体基板加工の企業を買収し、事業領域を劇的に広げました。
- オークマ: 受注残を確実にこなす生産体制の強化に注力。高付加価値な複合加工機で、航空・防衛などの「固い需要」を確実に取り込みました。
アマダは同時に500億円の巨額な自社株買いを発表。資本効率の向上を急いでいます。
業界共通のリスク
好調な受注の一方で、以下の懸念が全社に共通しています。
- 地政学リスク: 米国の関税政策や、輸出規制による市場アクセスの制限
- 人手不足: 顧客側での工場建設遅延や、自社の熟練技能者の確保難
- 欧州景気: ドイツを中心とする欧州自動車産業の不振長期化
就活生・転職希望者へ
工作機械は「機械の母」と呼ばれ、日本の製造業の根幹です。現在はAIや半導体、航空・宇宙といった最先端分野との接点が急拡大しています。単なる「ものづくり」ではなく、ソフトウェアやグローバルな事業開発に携わりたい人にとって、非常にダイナミックな環境です。
