引越・物流3社、2027年3月期Q1など最新決算比較、利益成長と高収益の明暗
比較企業 3社
3社の決算では、売上の伸びを生む事業と利益を稼ぐ事業の違いが鮮明になりました。日本通運は国際物流の回復や事業再編で利益を大きく伸ばし、SGホールディングスは買収効果で売上を拡大。サカイは件数が前年並みでも単価上昇で増収を確保しました。規模の成長と稼ぐ力は別の強みです。なお、日本通運は2026年12月期中間期で、他2社の2027年3月期第1四半期とは対象期間が異なります。
今期の総括
規模の成長と稼ぐ力は別の強み
業界全体の動き
結論として、3社はそろって増収増益でしたが、成長の源泉は異なります。日本通運は国際物流の回復と料金改定、SGホールディングスは買収とフォワーディング、サカイは引越単価の上昇が業績を支えました。
| 会社 | 売上高 前年比 | 営業利益 前年比 | 主な要因 |
|---|---|---|---|
| サカイ | 353億円 +4.5% | 56億円 +3.6% | 引越単価上昇 |
| 日本通運 | 13,566億円 +6.7% | 448億円 +56.7% | 国際物流回復 |
| SGホールディングス | 4,473億円 +21.7% | 201億円 +14.9% | 買収とフォワーディング |
- 需要と単価: サカイは作業件数が前年同期比0.0%減でも、単価が2.2%上昇。件数の伸びに頼らない増収でした。
- 国際物流: 日本通運は国際物流の荷動きと料金改定が寄与。SGも航空・海上フォワーディングが好調でした。
- 買収・再編: SGはモリソン社の連結効果、日本通運は事業再編効果が業績に表れました。
- コスト負担: サカイのクリーンサービスは人件費上昇で減益。SGの国内デリバリーも賞与引当金の期ずれが利益を押し下げました。
3社比較サマリーの業界平均は、売上高6,130.7億円、営業利益235億円、営業利益率7.8%です。ただし、事業規模や事業構成に大きな差があり、日本通運だけ決算期間も異なります。平均値は単純な業界水準ではなく、各社の収益構造を読む際の参考値として扱う必要があります。
売上高ランキング
売上高 前年同期比
勝者と敗者
利益の伸びでは日本通運が先行し、相対的に伸びが緩やかなのはサカイでした。一方、利益率ではサカイが高く、規模や成長率だけでは各社の強さを測れません。利益成長と高利益率は別の競争軸です。
- 日本通運: 営業利益は448億円、前年比56.7%増。営業利益率は3.3%で、前年の2.2%から改善しました。国際物流の回復や料金改定、事業再編が利益を押し上げ、通期営業利益予想も20%上方修正しています。
- サカイ: 営業利益は56億円、前年比3.6%増。3社比較の営業利益率は15.7%で最も高い一方、売上高の伸びは4.5%にとどまりました。引越件数が前年並みで、単価上昇が増収を支えています。
- SGホールディングス: 営業利益は201億円、前年比14.9%増。営業利益率は4.5%で、日本通運を上回りました。グローバル物流の拡大が全社の増益をけん引しています。
日本通運は国際物流の回復と事業再編で利益を伸ばしましたが、通期予想には不動産売却益も含まれます。サカイは高い利益率を保つ一方、クリーンサービスでは人件費上昇の影響が出ています。規模の大きい物流会社は地域・事業ごとの収益改善が課題となり、引越専業に近いサカイは単価維持とコスト吸収が焦点です。
- 好調
- 日本通運
- 苦戦
- サカイ

営業利益ランキング
営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
各社の打ち手は、買収・事業再編による成長と、価格や株主還元を通じた収益確保に分かれます。足元の増収だけでなく、施策が継続的な利益につながるかが投資家の確認点です。
- サカイ: 関越物流とエヌケイパッケージを新たに連結し、売上増に寄与しました。年間配当予想は前期実績の98円から117円へ19円増配し、通期予想は売上高1,300億円、営業利益130億円で据え置きました。
- 日本通運: 事業再編の効果と国際物流の回復を背景に、通期営業利益予想を1,200億円へ上方修正しました。前回予想から20%の引き上げですが、不動産売却益も見込むため、本業の利益改善との切り分けが必要です。
- SGホールディングス: 前期に買収したモリソン社の連結効果と航空・海上フォワーディングの好調が、売上拡大に寄与しました。通期予想は営業収益1兆7,400億円、営業利益970億円で据え置いています。
3社に共通するのは、数量を増やすだけでなく、事業の組み替えや料金改定を利益につなげようとする動きです。サカイは単価上昇と配当拡大、日本通運は利益予想の引き上げ、SGはグローバル物流の成長が注目点です。買収や再編の寄与が一巡した後も、利益を維持できるかが各社の成長の質を左右します。
業界共通のリスク
増収基調でも、人件費や外部環境の変化が利益を圧迫する可能性があります。各社で影響の出方は異なり、国内の引越・宅配と国際物流では注視すべきリスクも違います。
- 人件費・外注費の上昇: サカイはクリーンサービス事業の利益が前年同期比16.3%減となりました。SGは賞与引当金の期ずれが国内デリバリーの減益要因で、コスト負担は国内現場の比重が大きい両社で特に確認が必要です。
- 需要の弱さ: サカイは移動者数の減少が続く厳しい需要環境を説明しています。作業件数が前年同期比0.0%減だったため、引越需要の回復が遅れた場合は、単価上昇だけで成長を続けられるかが課題です。
- 国際情勢とサプライチェーン: 日本通運は中東情勢の悪化やサプライチェーンの混乱をリスクとして挙げています。SGも中東情勢や為替変動を外部リスクとしており、国際物流の回復を成長源とする両社は影響を受けやすい構造です。
- 価格転嫁と採算管理: SGは宅配便の取扱個数が増えても、国内デリバリーの営業利益は前年同期比7.4%減でした。賞与引当金の期ずれを除いても運賃収受とコスト管理が課題で、国内配送の採算改善が注目されます。
リスクへの耐性は、値上げの浸透度だけでは決まりません。サカイは単価上昇を続けられるか、日本通運とSGは国際物流の好調を本業の利益として定着させられるかが、次の決算で見るべき点です。
利益成長の質
純利益の伸びは日本通運が突出しましたが、前年との比較要因も含めて読む必要があります。サカイとSGは増益を確保したものの、利益の伸びを生む要素はそれぞれ異なります。
- 日本通運: 純利益は前年比186.8%増。前年同期比の伸びには、国際物流の回復や料金改定に加え、当期の利益改善が反映されています。通期予想には低収益不動産の売却益も含まれます。
- SGホールディングス: 純利益は前年比20.8%増。全社では増益ですが、国内デリバリーは賞与引当金の支給方法変更による期ずれで営業減益となり、事業間に差があります。
- サカイ: 純利益は前年比9.4%増。前年同期にあった投資有価証券評価損がなくなったことも、営業利益を上回る純利益の伸びに寄与しました。
純利益の前年比は、営業面の改善だけでなく、前年の損失や資産売却などにも左右されます。投資家は日本通運の上方修正を評価する一方、売却益を除く収益力や地域別のばらつきを確認したいところです。就活生にとっても、全社の成長率だけでなく、利益を生む部門や現場のコスト課題を知ることが企業理解につながります。
純利益 前年同期比
就活生・転職希望者へ
物流各社では、国内の配送・引越に加え、国際物流や周辺サービスの役割が大きくなっています。会社ごとに伸びる事業が異なるため、応募先選びでは事業ポートフォリオと現場の課題を合わせて見ることが大切です。
- サカイ: 引越事業の売上高は前年同期比3.9%増で、作業件数より単価上昇が増収を支えました。引越の現場運営に加え、リユースや電気工事、クリーンサービスなど周辺事業にも目を向けられます。
- 日本通運: 国際物流の回復や事業再編が利益改善に寄与しました。国や地域をまたぐ物流に関心がある人は、地域別の業績差やサプライチェーンの変化も企業研究の材料になります。
- SGホールディングス: 宅配便の取扱個数が増える一方、国内デリバリーはコスト管理が課題です。グローバル物流の拡大も進み、国内配送と国際物流の両方が事業理解の軸になります。
働き方を考える際は、成長事業だけでなく、人件費上昇や繁忙期の業務負荷、運賃改定の現場への影響も確認したいところです。決算資料のセグメント情報や採用情報を見比べると、希望する職種がどの事業を支えるのかを具体的に捉えやすくなります。
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