サカイ、2027年3月期第1四半期決算は増収増益、単価上昇が寄与
サカイの2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比4.5%増、営業利益は3.6%増、純利益は9.4%増となり、増収増益でした。引越作業件数は横ばいでしたが、引越単価の上昇と連結子会社の増加が売上を押し上げました。中期経営計画に沿って付帯サービスや周辺事業も広げる一方、移動者数の減少や人件費上昇が課題です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 353億円 | +4.5% | 1,300億円 | 27% |
| 営業利益 | 56億円 | +3.6% | 130億円 | 43% |
| 純利益 | 38億円 | +9.4% | 87億円 | 44% |
| 営業利益率 | 15.7% | |||
この決算のポイント
- 1引越作業件数は前年同期比0.0%減にとどまる一方、引越単価は2.2%上昇
- 2引越事業の売上高は前年同期比3.9%増、主力事業が全体をけん引
- 3クリーンサービス事業の利益は人件費上昇などで前年同期比16.3%減
- 4年間配当予想は前期実績の98円から117円へ19円増配
- 5通期予想は据え置き、売上高130,013百万円、営業利益13,048百万円を計画
業績のポイント
サカイ(サカイ引越センター)の2027年3月期第1四半期は、売上高が353億6百万円(前年同期比4.5%増)、営業利益が55億53百万円(同3.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が38億14百万円(同9.4%増)でした。主力の引越単価上昇が増収を支えた決算です。
- 売上の押し上げ要因: 引越作業件数は前年同期比0.0%減でしたが、引越単価が2.2%上昇しました。
- 連結範囲の拡大: 関越物流とエヌケイパッケージを新たに連結し、売上高の増加に寄与しました。
- 利益の伸び: 経常利益は前年同期比4.0%増の56億68百万円。純利益は前年同期にあった投資有価証券評価損がなくなったこともあり、営業利益を上回る伸びとなりました。
引越業界では新設住宅着工戸数が増えた一方、移動者数の減少が続いており、需要環境は厳しいと会社は説明しています。そのなかで件数を大きく伸ばさずに単価を引き上げ、利益も確保した点が今回の決算の特徴です。ただし、連結子会社の追加も売上増に含まれるため、今後は既存事業の単価や採算性を保てるかが成長の質を測るポイントになります。
セグメント別動向
主力の引越事業は増収となり、電気工事事業やリユース事業も利益を伸ばしました。一方、クリーンサービス事業は人件費などの上昇で利益が減少し、事業ごとに明暗が分かれました。
引越事業は売上高301億40百万円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益49億58百万円でした。作業件数が前年並みでも単価が2.2%上がり、引越付随事業の売上も伸びました。グループの収益基盤を支える中核事業です。
電気工事事業は売上高16億21百万円(同20.7%増)、利益3億28百万円。クリーンサービス事業は売上高15億17百万円(同2.4%増)でしたが、利益は1億23百万円にとどまりました。リユース事業は売上高17億69百万円(同0.5%増)、利益90百万円で、新規出店店舗の営業基盤が整い収益性が改善しました。その他の売上高は2億58百万円(同41.9%増)です。
セグメント利益の伸び率は、リユース事業が前年の利益水準が小さかったこともあり大幅に上昇しました。対照的に、クリーンサービス事業は人件費などのコスト増が利益を圧迫しています。引越付帯サービスや周辺サービスの拡大を進める方針のもと、売上の拡大だけでなく、人件費上昇を吸収できる収益構造づくりが課題です。
- 引越+2.2%
- 電気工事+9.8%
- クリーン-16.3%
- リユース+850.8%
- その他+7.3%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 引越事業 | 301億円 | 85% | 50億円 | 16.5% |
| 電気工事事業 | 16億円 | 5% | 3億円 | 20.2% |
| クリーンサービス事業 | 15億円 | 4% | 1億円 | 8.1% |
| リユース事業 | 18億円 | 5% | 90百万円 | 5.1% |
| その他 | 3億円 | 1% | 2億円 | 59.7% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は1,232億24百万円で、前期末から59億67百万円減少しました。一方、自己資本比率は81.7%と前期末の76.8%から上昇しています。年間配当予想は前期実績から増額し、株主還元を強める計画です。
| 項目 | 2027年3月期1Q・予想 | 2026年3月期末・実績 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 123,224 | 129,191 | -5,967 |
| 自己資本比率 | 81.7% | 76.8% | +4.9ポイント |
| 現金及び預金(百万円) | 29,601 | 29,527 | +74 |
| 年間配当(円) | 117(予想) | 98 | +19 |
配当予想の内訳は中間30円、期末87円で、前期実績の中間30円、期末68円から期末配当を引き上げます。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュ・フローの実績は短信から確認できません。総資産の減少は主に売掛金などの減少によるもので、自己資本比率の上昇と合わせ、財務の安定性は高い水準を保っています。自社株買いの実施については、この短信に記載がありません。
通期見通し
会社は2027年3月期の業績予想を据え置きました。通期売上高は1,300億13百万円(前期比4.2%増)、営業利益は130億48百万円(同3.8%増)、純利益は87億43百万円(同1.0%増)を見込みます。
| 項目 | 通期予想 | 前期比 | 1Q実績 | 通期予想に対する進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 130,013 | +4.2% | 35,306 | 27.2% |
| 営業利益(百万円) | 13,048 | +3.8% | 5,553 | 42.6% |
| 経常利益(百万円) | 13,368 | +1.0% | 5,668 | 42.4% |
| 純利益(百万円) | 8,743 | +1.0% | 3,814 | 43.6% |
第1四半期の営業利益進捗率は4割を超えていますが、引越需要は時期によって変動するため、単純に通期達成を判断する材料にはなりません。会社は、2026年5月に公表した予想から修正しておらず、今回の短信では予想を見直す新たな理由も示していません。今後は移動者数の動向や、人件費・原材料価格の上昇が通期の利益計画に与える影響が焦点です。
戦略トピック
サカイは2026年5月に策定した中期経営計画に基づき、引越サービスを中心とする事業基盤の強化と、引越付帯サービス・周辺サービスの拡大を進めています。第1四半期から関越物流とエヌケイパッケージを連結対象に加え、グループの事業範囲を広げました。
- 引越を軸にした事業強化: 中核の引越サービスに加え、引越に関連するサービスや周辺事業の拡大を目指します。
- 連結範囲の変更: 関越物流、エヌケイパッケージは、重要性が増したため連結対象となりました。短信では買収金額や取得条件の記載はありません。
- 周辺事業の採算改善: リユース事業では新規出店店舗の営業基盤が確立し、利益が前年同期を上回りました。
引越作業件数が伸び悩むなか、単価の引き上げだけに頼らず、付帯サービスや周辺領域を育てて収益源を増やせるかが中期計画の実行力を測るポイントです。新たに連結した会社の業績寄与や、既存事業との連携による効果は、今後の開示で確認したい材料です。
リスクと課題
引越需要を取り巻く環境には不透明さが残り、コスト上昇も利益を圧迫しています。会社が挙げる市場環境や事業の動きから、主な注意点を整理します。
- 移動者数の減少: 新設住宅着工戸数は増加しているものの、移動者数は減少が続いています。作業件数の伸び悩みが続けば、単価上昇だけで売上を伸ばすことが難しくなる可能性があります。
- 人件費などの上昇: クリーンサービス事業では人件費などの上昇を受け、利益が前年同期を下回りました。人手を要するサービスでコスト増を価格や生産性で吸収できるかが課題です。
- エネルギー・原材料価格と物価: 国際情勢を背景に価格上昇が続く場合、運営コストの増加を通じて利益を押し下げるおそれがあります。
- 業績予想の不確実性: 会社は一定の前提に基づく予想であり、実際の業績はさまざまな要因で変動すると説明しています。第1四半期の進捗だけで通期計画の達成を判断せず、需要と費用の推移を見極める必要があります。
今回は増収増益でしたが、引越作業件数そのものは増えていません。単価上昇や周辺事業の成長が続くかに加え、コスト増を吸収して利益率を維持できるかが、次の四半期以降の注目点です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/10)
2,948円
最新終値(2026/10/23)
3,060円+3.8%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#サカイ#決算#決算分析#四半期決算#引越業界#増収増益#配当増額#中期経営計画#人件費上昇
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コメント
引越作業件数が前年並みでも単価上昇で増収増益を確保した点は、価格設定とサービス提供力の強さを示しています。一方で、売上増には新たな連結子会社の寄与もあり、既存の引越需要が力強く回復した決算とは言いにくい印象です。
今後は、増配を支える利益成長を続けられるかが焦点です。クリーンサービス事業で表れた人件費上昇の影響を、付帯サービスや周辺事業の拡大でどこまで補えるかに注目します。
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掲載企業
株式会社サカイ引越センター
東証 9039
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